今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

鯉のデザート

2010年07月15日 21時49分00秒 | きもの
来週が梅雨明けというけれど、
もうトーキョーはその兆し。
今日なんて軽くて涼しい風がひゅーと吹き、何度も吹き、
夜になれば、きれいな水色の空に三日月が浮かんでいる。

いいね、夏だよ!
大すき。


さて本日は、比佐子さんのお誕生日。
恒例のバースデーランチは、ご近所の
ハイアットリージェンシー東京の中華レストラン
「翡翠宮(ひすいきゅう)」でそれぞれすきな麺をたべる。

ここはインテリアの基調カラーのグリーンが
きれいで落ち着くところがすき。
あれはヒスイのグリーン。


で、今日は写真日記でいきます。



お誕生日だと伝えたら、デザートを
バースデー仕様にしてくださった。

鯉の杏仁豆腐。

わお。
鮮やかなブルーゼリーはリキュールで。
京都の東郷青児な喫茶「ソワレ」の魅惑のゼリーみたい。



ポマードでぺったりと撫でつけた髪型が素敵な給仕くん。
清潔感があって、オールド・アジアン(日本も含む)な感じがとてもいい。
あとで口に出して褒めたら、赤い顔をしちゃうのもレトロでいい。





皇太后さまからは花束のプレゼント。
「皇太后」って本当にメッセージにあるの。



比佐子さんへのプレゼントは、
田中さんからは手彫はんこ、
姐さんとワタシからは「実用ものですので」と
バレエのレッスンで着られるTシャツ。



立ちで4ショット。
姐さんは竪絽に胡粉でカゴメ地紋を染め出したきもの、
比佐子さんは麻の夏結城、田中さんは夏結城、
ワタシは夏大島。


秋櫻舎に戻って来たら来たで、今日は来客多し。
うれしいね。

まずは大江さん。



大江さんは誌面や広告、パンフレットのデザイナー。
今回新しく作ったKOSMOS屋のパンフレットも氏によるデザイン。
いつもおしゃれでマイペース。
気づけば、先日行ってきたポルトガルの旅行話で
田中さんとめちゃめちゃ盛り上がってる。



ときに比佐子さんも加わる。
やはり盛り上がる。

なぜなら



これだ。こんなのを作っちゃったのだ。
仕事とかじゃなくて、全くの余興で。
ぜーんぶ手描きで。
大江さんにとっては、描いたり作ったりすることは
食べることと同じなんだろう。

前々から「ポルトガルに呼ばれてるのっ」と云っている田中さん。
どれだけ大江さんの出没を待ちわびていたことか、
土産話を聴きたがっていたことか。
もらった「ポルトガル双六」を手に1枚。

「ぜったいに行く!」と断言してました。





大江さんのレザーハンチングと、
比佐子さんと田中さんのうち履き。

それから久美子さんも来社。
今や「きものふーる」の女将さんだ。

めっぽう美人で、話し出したら、
ちょっとハスキーな色っぽい声と
その話している内容が全く
つながっていない明るい久美子さん。

この日も美しいまま面白いのは、
相変わらず。


「今日ね、ワタシ、気張ってんのよ。これ、一張羅なの。
もってるきものの中で一番高価なの!」

超スペシャルな越後上布だ。

「でもね、誰も何も云ってくれないの。
違うきものを着てるときのほうが褒められるの!
ガクーーーっよ、もうガっっっクリくるわよ!!」

あ、それは来ますね。

で、久美子さん、
この状態を自分なりに分析したところ、
着方が悪いのか、コーディネイトが悪いのかの
2点に行き着いたのだという。

そして、比佐子さんに直談判。

「先生、いったいどこが悪いんでしょうか!」




比佐子さんに両方アドバイスを受けつつも、
着ているもののチェックを忘れない久美子さん。

「先生の、それなーに?」

「麻の夏結城よ」

「・・・なにそれーーー!!」

最後はワタシと姐さんも思わず加わって
一緒に云ってましたが(速攻で)。
そんなんあるのかと、あったのかと。
麻って。

半ば興奮気味に、

「結城に麻ってあるんですか!」

「あるわよ」

またもや、さらり。
そうですか。ありますか。

見れば、いかにも涼しそうで、
きけば、実際に涼しいのだそう。
厳密には、たて糸に真綿の手つむぎ糸、
よこ糸に麻を使っており、
ここ大事なんですけど、

世界で2反しかないんだそうな。

道理で。
見かけないはずだ(笑)

絣で織り出されているのは竹。
これもまたよし。



3人で談笑の図。
いいねえ、みーんなきものを着ているけど、みーんな違う。
みーんな思い思いにすきなようにきている。

そして夏。

浴衣の着つけレッスンも
しているのでぜひ。

おやつとトイレ

2010年07月13日 22時04分58秒 | 芸能・アート
今日は横尾さんの真っ赤な「ART PLANET」Tシャツに
黒のストレッチ・パンツという夏の出で立ちだったのに、
なぜか涼しい日で、夕方には肌寒いほど。

暑かったり、寒かったり。
色ーんな日があるけれど、ワタシたちは
生きているので、いちいち全部覚えてなどいない。
「神秘的」ってこういうところですごくおもう。

さて、お中元シーズンということで、
おいしいおやつ第二弾。

またまた京都。
和菓子の老舗「老松」の「夏柑糖」。



これは夏みかんの果汁と寒天を固めたという
シンプルでよくありそーなお菓子なのだけども、
香り高く、固さがすばらしく、なんともうまい。
叶姉妹も大すきというところも素敵。
あと京都の老舗ならではで、ラッピングセンスも美しい。



加えて。
比佐子さんのブログで、歌舞伎や文楽では
女性トイレは長蛇の列をなす一方で、
男性トイレはガラガラとあったけれど、

http://blog.goo.ne.jp/kosmos8/e/c1d8da49fc91e44ee32f817641ea16dc

同じ伝統芸能でも、落語は逆かも。
真逆かも。

女性に人気の噺家の会ならば、
女子トイレもそこそこ混むが、
それでも男性陣のトイレ行列という珍しい光景が
常に見られるのが落語という芸能。
それだけ男の人が多い。

一番びっくりしたのは
TBS落語研究会か。

この会は、伝統と格式ある落語会として大変有名で、
会場はいつも文楽公演をやる国立劇場小劇場。

ふつーの会と大きく違うのは「ご常連席」があること。
月に一度開かれるのだが、ご常連席は年間を通して
同じ席をキープできちゃうのだ。
冬の最中のご常連席発売日は徹夜組が続出である。

で、ステータス感いっぱいのこの会。
一度だけワタシは代理で行ったことがある。
ご常連席の一人が入院しちゃったとかで席が空いた。

「小三治がトリ。来る?」

「行く!」

ふたつ返事で馳せ参じたのだけど、
これがまあ、いやあ、びっくりのし通しで。

まず件のトイレ事情。
この会ではなんと、2つある女子トイレの
1個をつぶして、男子トイレにしていたのだ。

次に、お客が笑わない・・・!すごいから。
全くではもちろんないけれど、他の会なら
軽く笑いが出るようなところでもそうそう出ない。
ちょっとやそっとじゃ笑わない。

いいなあ。
やっぱりね、その人の人生は笑いどころに映るもの。
おかしみっていうのは、決して笑いとイコールにはならないから。

会場を見渡せば、仕立てと生地がよい、
バッジのついた背広を着ている殿方率も多く、
ああ、Tシャツ&パンツで来なくてよかったよと
思ったのも懐かしい思い出。

ちょっと緊張する落語の会は初めてだったけれど、
浮いてる感を覚えるのも初めてだったけど、
それでもワタシは、こういう会があるのはいいなと思う。
オトナの男たちがこっそりと、プライベートで、
そして独りで憩う場ってやっぱり日本から
消えてはならないなあと。


というわけで。
とっ散らかったままですが、
それではまた。


ふたりオンリー

2010年07月09日 22時40分20秒 | きもの
本日花金。

「KOSMOS」7月号の発送完了~!

新顔は「きもので東京遊び」第一弾のレポート。
比佐子さんのエッセイも、今回は7月ならではのテーマ。


今日の秋櫻舎は
比佐子さんとワタシのふたりだけ。
よってふたりで黙々と発送作業に勤しむ終日。
外は雨。
グラジオーラスはイエロー。

黒いロングスリップドレス1枚という
まるでイタリーのマダームみたいな比佐子さんと、
姐さんにもらった「男ウケが抜群にいい」というワンピース
(しかしヒラヒラもしていなければ、露出もしていない・・・深い)
を着たワタシはどーみても異星人同士。

おやつは、京都の角田恵美さんが毎年お中元に
くださる「和久傳」の「西湖」をいただく。
「せいこ」と読みます。



この京都の老舗高級料亭のレンコン菓子は
のど越しで涼を誘うのだ。
和三盆の甘さが絶妙なのも実に京都的絶妙さ。

1本残ったのを「佐川の奥井くんに」と比佐子さんが云うので、
「ちわーす」と集荷に来た奥井くんに手渡したら

「え、もうたべちゃうの?」

「うん、喰う」

笹を剥き、つるんと出てきたヤツを
口ですくい取るようにして、そこから一気。

「んめえーー!!!なにこれ、めちゃめちゃ美味いんだけど!」

いや、めちゃめちゃ反応が新鮮なんだけど!
育ち盛りの高校生かと。
肉体仕事の男の人はしかし、
色々とダイレクトでかわいいなあ。
はやいしね。


というわけで。
みなさま、よき週末を。

そしてお手元に届く
「KOSMOS」をお楽しみに。

新橋で團十郎、渋谷で撮影

2010年07月08日 22時47分00秒 | 芸能・アート
今日はトーキョー、久しぶりに晴れた。
うれしいなあ。

さて今週前半。
まずは姐さんとふたりで
夕方からこそこそと新橋演舞場へ。



お目当ては團十郎丈の歌舞伎十八番「暫」。
荒事の代表格ともいうべき演目だ。

「しーばーらぁーーくぅーーー」

はじめは花道の奥から、團十郎演じる
鎌倉権五郎の声だけが響き渡る。
この時点でワタシはきゃあきゃあなのだけど、
歌舞伎の常で、なかなかヒーローは姿を見せない。
舞台上の役者陣とのやりとりも、まだ奥に引っ込んだまま。
なかなか出てこない。

が、ぱっと暖簾があがれば、
あの柿色の素襖を着て
巨大にふくれた團十郎が花道に!

「成田やっ」

歌舞伎役者の中では、一番の贔屓。
なんといっても團十郎のあの華が大すき。
大輪だ。

三枡紋が白抜きで染め上げられたおーっきな
お袖がすごく面白くて、かっこいい。
視覚効果がすばらしい。



ちなみにこの柿色は、荒事の色で、
市川一門のカラーとして裃(かみしも)には
必ず使用することになっているそうだ。
確かによく見るな。

天真爛漫、のびやかにおおらかに演じる團十郎。
いいなあ。

カーーっと痰を切るときのような音を
連続で出しながら見栄をきったり、
これまた物干し竿か?というくらいの大刀を一振りすると、
ぐるり取り囲んでいた男たちの首がぽろぽろっと落ちちゃったり。
歌舞伎ならではの誇大演出がてんこ盛り。

さすが成田屋の十八番だ。
派手でスケールが大きくて、明るい。
楽しませて、厄払いし、浄化する。
本当にすっきりする。すーっきりである。

今流行っているパワースポット詣でもいいけれど、
ワタシはけっこう前から團十郎詣で派です。

脇を固める三津五郎、福助という配役もよかった。
どっちも色気があって芸達者なので、
ずーっと楽しい。

ちなみに二幕目の「傾城反魂香」は
吉右衛門であろうとなかろうと、
クサくて見ていられなかった・・・。

近松ものは、いったん文楽で見てしまうと、
なかなか歌舞伎では満足できなくなってしまう。
浄瑠璃を科白に書き下ろしていくと、
どうしても論理や理屈が入ってくる、
だからクサくなるんだろう。
云い換えれば、情だけをテコに、雪崩れるように
展開していくのが、近松作品のリズムであり、
肝なのではないかなと思う。

幕間は、姐さんとふたりで、
ロビーを行き交うきもの女性をチェーック。

さすがに歌舞伎は、きもの率が高い。
ただ「あっ」と目をひく人というのは、
着ているものよりも、むしろ身のこなしが
美しい人ばかり。
着慣れている人はすぐに分かるし。

でも考えてみれば、普段ワタシたちは常に動いていて、
雑誌みたいに静止しているわけではないのだから、
動画の美しさに惹かれるのは当然といえば当然だ。

終演後、姐さんと記念撮影。
両者とも夏の装い。
7月です。



続いて明くる日は、朝から撮影。
被写体の田中さんは、比佐子さんの高校時代の
幼なじみで、今回撮るのは遺影である。

着付けは比佐子さん、
ヘアメークは川辺サチコ先生と茅さん、
カメラマンは皆木ちゃん。

朝9時にサチコ先生のサロンに
集合して作業開始。



田中さんのヘアメークを待っている間、
皆木ちゃんが撮影用のセッティングをするために、
仮モデルを務めている比佐子さん。
仮なのに、プロの腕がうずくのか、
さっと入って櫛を入れるサチコ先生。





話題は口角かな。
「笑うときはここをあげるの、ここ」
みたいな感じだろう(たぶん)。

サチコ先生の足元はゴールドのバレエシューズ。
もちろんレペットですよ。

その日の比佐子さんはたて絽のきもの。
裾に葦の友禅。絽ちりめんの帯は海。

さあ、着付けも終わって撮影本番。






よく見えないけど、脇で姐さんが
レフ板を持っております。

もともと美しい田中さんなのだけど、
おきものを着てヘアメークを整えると、
冗談抜きで女優さんのよう。
笑顔も体の角度も、ちょっと云うと、
次の瞬間にはその通りにしてくださるのもすごい。

この日、田中さんが着てらしたのは
絽紬の縞のきものに、
金糸入りで竹が織られている絽つづれの帯。
で、なんとこのきものは、その昔比佐子さんが
デザインしたきものシリーズ「ひさじま」
の一品だそうで、比佐子さんも

「ええー懐かしい!」

撮影終了後は、皆木ちゃんと姐さん、ワタシの3人は
表参道の某フラワーショップのオフィスへ。
皆木ちゃんの撮影モデルの助っ人で。
ギブ&テイクです。

しかしながら、ひっさしぶりにここら辺に来たけれど、
新宿のほうがわけの分かんないパワーがあって面白いなあ。

中に通されると、いろんな雑誌でよーーく見る
植物いっぱい、水の流れるオフィスが・・・。
ここの会社だったんだ。



皆木ちゃんのセッティングの合間に1枚。
母の日の店員用のTシャツを着て、エプロンつけて、
首から下の撮影です(笑)

そんなこんなで毎日ビュンビュンと
風のようだ。

4万6千日さま

2010年07月02日 23時00分35秒 | きもの
4万6千日さま、お暑い盛りでございます。

とくれば、ああ「船徳」がききたい!
って落語です。

ちなみに「4万6千日」というのは
観音様のご縁日である毎月18日とは別に、
功徳日というものがあるのだけど、
とくに浅草寺では7月10日の功徳日に参拝すれば、
4万6千日分のご利益を得られるというところから
この日を「4万6千日」と呼ぶのだそうな。

年になおせば126年分。
1回行けば、今生ぶんは余裕でまかなえちゃう。

しかし、夏越の大祓いといい、4万6千日といい、
こういう風習は裏を返せば、
人は生きていると、たくさんの罪を重ね、
そして重ねているという自覚があるということ。
とはいえ、人は罪を背負ったまま生きるほど
強くはないし、暗くもない。
だからとりあえず、チャラにして、軽くなってさ、
またがんばろう!と切り替えの儀式を
やるんじゃないかな。
だって、生きていれば、明日は来るんだもの。

名物の「ほおずき市」も
9日から10日にかけて行われる。
で、ワタシはワタシでこの時期ゆえに
ほおづきの帯をしめるのであった。

おやつはまた例の
おいしい岐阜のアイス最中。



ワタシはコーヒー味が一番すきだった。
すみません、邪道です。

午後は比佐子さん、顔料を取り出して
なにやら描いていると思ったら、
夏のおきものがほしいというお客さまのために、
デザイン画を描いているのだった。



帯は決まっているので、当然帯と合うもの、
そして他にはご予算とご本人の好み、
こちらからみたお客様の雰囲気、
比佐子さんのセンス・・・と色々な要素を
ミックスさせて何枚かのデザイン画ができあがる。

で、できたそれを今度はお客さまにお見せして
そこでまたイメージがふくらんだり、修正したり、
付け加えたりとやり取りしていき、
こうして1枚のオンリーワンのきものを
つくっていくのだ。

きものは作っていくプロセスも
かなりというか、相当楽しい。
このプロセスの楽しさも当たり前のように
体験してもらう、というのが秋櫻舎かもしれん。

大体プロセスに加われば、それを着るときの
親密感も全然違ってくる。

「あの人はきものが体になじんでるね~」

なんてよく褒め言葉できくけれど、
なじむのは、何もきものを着てきた年数だけではなくて、
愛着度みたいなものも大きいと思う。

だって愛着があれば、距離が近づくもん。
近づけば、親密になる。
ついでに云えば、
これって人でも同じじゃなかろうか。


さいごに1枚。



夕方、比佐子さんがホースで水遣りをして
うれしそーな緑になった植物たち。
コスモスももはや咲いてしまっています。