薫るクロニクル。

日常生活で思ったことや、趣味の山歩きの話しなど、思いついたことを綴る記録です。

ゴールデン・スランバー。<著者:伊坂幸太郎>

2008年04月25日 17時06分33秒 | 本。
 2008年の本屋大賞を見事受賞した伊坂幸太郎さんの著書です。
本屋大賞は本屋さんが選ぶ今一番読んでもらいたい本を投票によってきめた賞ということで、ニュースで初めて知ったのだが、伊坂幸太郎さんの本は以前に読んだことがあったので、どんなだろう?と購入を決めた。

「首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、国家的陰謀から逃げ切れるのか? 」そんなJFKの事件と重なるような内容の小説だった。
時間軸が過去の大学生のころへと戻ったり、現実の時間へと戻ったり、ページが進むにつれて感情移入してゆく自分が判る。

ゴールデン・スランバーとは本書のなかに度々使われるビートルズの最後のアルバムの中にある曲名らしい。”らしい”という表現は、わたしは知らなかったからだ。でも、本を読み進むにつれてその曲が収録されているアルバムを聴いてみたくなってきている自分がいる。主人公はその曲を編集しているポール・マッカートニーと自分をだぶらせ、どんな気持ちでその曲を編集したのだろうと思いを募らせる。

 現在でも、告訴をされた時点で無罪を勝ち取ることは至難の業という話しを聞いたことがあるが、えん罪によって犯人に仕立て上がられた人が現在もいるのかも知れないと考えると、もし自分がそんな目にあったら、果たして無罪を手にすることができるのだろうか?そんなことを読みながら考えていた。

 この本はテンポよく読め面白い。だが、読み終えたあとには爽快感とは違う余韻をひきずった。どちらかと言えば現代を象徴するような白でも黒でもない灰色のけだるさのような感覚だったように思う。さすが本屋大賞を勝ち取っただけのことはある。
買って読む価値がある本だと感じた。他の受賞作品もチョックしてみようと思う。

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