薫るクロニクル。

日常生活で思ったことや、趣味の山歩きの話しなど、思いついたことを綴る記録です。

サクリファイス <近藤史恵・著>

2008年07月03日 14時38分44秒 | 本。
 本の話題がでてくるということは、勘のいい方なら気付いていると思うのだが、店が暇になってきているということ。でも、これはサービス業なら毎年のこと。この時期は諦めて本を読んだり、休みを取って山へと向う。(笑)

 08年本屋大賞第二位といういことでこの本を手にしてみた。が、数ヶ月間は寝かして熟成させていた。
本の帯にも書いてあるのだが、<サクリファイス>とは「犠牲」という意味のタイトル。
そんな題名とは知らずに読み始める。主人公はロードレーサー。といえばバイクを連想するだろうけど、自転車のロードレースだった。

 あまり知られていないロードレースを舞台にして、チームやそのエースが勝ちを掴む為にアシストする主人公の気持ちを表現する。
 本を開いてすぐにあるレース中の事故を連想させる文章。そして、<教えてほしい。どこからやりなおせば、この結果を避けられたのだろう。後悔せずに済むのだろう。>という書き出し。
 チーム内での人間模様やチームメイトやレースでの心理戦。そして、エースが起こしたという3年前の事故をきっかけに、ストーリーは流れてゆく。
 それには、主人公がはじめて付き合った女性が絡んでくる。今でも忘れることのできない気持ちが心を締め付け、レーサーなら誰でも目指す舞台ヨーロッパのバイクチーム移籍を夢見るさなか、その事故は訪れる。
 その事故はどうして起きてしまったのか?そして、十字架を背負うことと引き換えに真実を見つけだす。

 知ることによって背負う重さと、知らないでいることの幸せ。読み終えた後、成長する主人公に清々しさを覚えた。人は成長していくんだな。

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