2008年6月2日(月)~5日(水)
台風5号ナクリーは日本の南海上を進み、本州には影響がないとの天気予報を真に受けて、行動を開始したのです。
2日の月曜はセール明けのため、早朝5時起きで支度をし、八ヶ岳はオーレン小屋の登山口である桜平を目指した。
飯田まで国道を使い、飯田からは中央道にて諏訪ICで降りる。そこからビーナスラインで八ヶ岳方面へ向かい、途中を右折し帰りに寄った縄文の湯の前をとおり、フォレストカントリークラブ三井の森を過ぎると、柄沢鉱泉と夏沢鉱泉の分かれ道となり、ここからダートの林道が始まる。ここからあと30分ほどでこぼこの林道にゆられながら車を走らせる。
平日と言う事もあり、12時過ぎの時間でも桜平の手前の一番ゲートに近い駐車場が空いていた。ラッキー。
靴を履き替えたり、支度を済ませて、歩き始める。
今回は、はじめてのテント泊。ここからならテント場のあるオーレン小屋までコースタイムで1時間半。ゆっくり歩いても2時間という距離と森林限界以上を手軽に楽しめることができるので、ここを選んだ。
ゲートを超えて広い林道を夏沢鉱泉まで歩いて行く。夏沢鉱泉を利用される方は、送迎のサービスなどあるため、四駆の車でこの林道を乗せてくれるらしい。
ゲートを超えてすに川を渡ると設置されて真新しい仮説のトイレがある。まだ利用される人も少ないのかキレイで快適だった。
今回はテントを背負っているので、家で測ったところ13キロのザックを背負っている。まだ数回しか使っていないザックなので設定が出ていないのか背負いづらい。これから自分の背中に合うように少しずつ設定を出していこうと思う。
相方の膝がよくないので、出来るだけ私が背負っているため60Lのザックの両横と上にマットなどを縛り付けてあるためバランスがよくない。これからもテント泊で相方と二人で行くのなら重心が低くなるようにもう少し大きめのザックが必要かもしれない。
持ち物は、プロモンテ山岳用2人用テントVL-22・isukaマットレス165・折りたたみ式マットレス・isuka3シーズン用シュラフ・isuka夏用シュラフ・isukaゴアテックスシュラフカバー・ロングスパッツ・軽アイゼン・合羽上下・ダウンジャケット2組・フリース・ストーブ・ガスカートリッジ・コーヒー(粉、07年ブラジル・カルモデミナス・サンタイネース農園)・トラベルプレスミニ・ココア・行動食2日分・アルファ米2食分。
足りない食料は、小屋で食べようと計画。
35歳からはじめた山歩きなので、出来るだけ軽量の物を購入した結果、13キロで収まった。
相方のペースに合わせゆっくりと歩いて40分ほどすると、芽吹いたばかりの木々の隙間から夏沢鉱泉が見えてきた。
ここまでの途中、林道脇に残雪が残っていた。
ここも水洗トイレがあるという噂だ。
夏沢鉱泉を過ぎ、沢を超えるための橋を渡ろうとすると、その先の登山道に残雪が残っていた。
でも、軽アイゼンが必要なほどではなく、気を付けてゆっくりと歩けばなにも問題はなかった。
これまたはじめての残雪残る山歩きだったので、以外と面白くそのあとのオーレン小屋までの道中は本当に早く感じた。
オーレン小屋が見えてきたときその先に硫黄岳が覆いかぶさるようにそびえているのが、雲の切れ間から見えた。
明日は天狗岳。明後日は硫黄岳に登り下山する予定。
今日2日(月)の天気予報では、夕方から雨マークだったので、オーレン小屋到着後すぐに受付を済ませ、テント場へと向かい、テントを張ることに。
テントは小屋側が用意してくれてあるスノコの上にテントを張ることに。そうすると、テントが汚れることなく、それに空気の層が出来るのでこの時期は温かい。
スノコの上なので、ペグを差し込むことが出来ず、周りにある大きめの石を使い縄を張った。
なんと今回はテント場を相方と二人で貸し切りだった。ラッキーと思ったのは、ここまで。
この後、今晩後悔する羽目に。
テントを張り終えるともう4時ころになっていたので、小屋でビールを購入し、飲みながら晩ご飯の用意をした。
売店のビールは普通に棚に並んでいたが、冷蔵庫に入れてあったかのようにともて冷えていた。オーレン小屋の標高は2330mもあるのだ、冷えるはずだ。
テント場へは小屋前の小川を渡って行くのだが、夏になればその小川の水も飲めると言う。今は雪解け水だから飲まない方がいいと言われ、その手前の水道を使うように言われた。その水道の水は別のキレイな沢からひっぱってあるから大丈夫なのだそうだ。水はとても冷たく、そして甘くて美味しかった。用意していた2.5Lのウォータージャグと500mlの水筒に水を詰めてテント泊の用意。
ビールのおつまみのお菓子も今回ちゃんと持ってきていたので、おつまみを食べながら空きっ腹にビールを流し込む。
標高が高いせいもあるのか350ml1本ですぐにいい気分になり、アルファ米も美味しく感じる。
オーレン小屋にはお風呂もあるのだが、酔ってしまったので、もう横になることにした。水洗トイレが設置してあるので、キレイなトイレで用を済ませることに。
二人で貸し切りのテント場へ帰ってくると、なにやら黒い影がフワッとボクのテントから舞い上がった。なんだ!と近寄ると、フライシートの下に置いていた、お菓子のゴミ袋が荒らされている。
カラスだった。
こんな標高の場所にも、カラスがゴミを狙いにくる。ゴミはテント内に入れよう。
暗くなる前にテントへ潜り込み、寝る用意をする。
今晩は雨が降るとの予報だったので、シュラフカバーの中にシュラフを押し込んだ。これは雨や結露でシュラフが濡れると温かくならないと本で読んだため、ゴアテックスのシュラフカバーを購入したのだった。
相方は3シーズン用の-6℃まで対応のシュラフだからいいが、私のシュラフは夏用のペラペラ。なのでダウンジャケットを2組持ってきていて、ひとつは着て、もうひとつはジップを閉めた状態でシュラフに押し込み首を足先にして足を突っ込み寒さをしのぐ作戦。これがうまく行き、全然寒くなく逆に暑いくらいだった。問題は天候だったのだ。
以外と空は明るく、暗くなってきたのが7時半くらいだった。
このくらいからポツリポツリと雨がテントのフライシートを叩き始めた。
心地のよいテントを叩く雨音と、ビールの酔いと昨日までの疲れが手伝って知らないうちに寝てしまっていた。
どのくらい寝ていたのか、急に激しく叩き付ける大粒の雨の音で目が覚めた。すると風もかなり吹いているのが周りの木の音で判る。かなりの風だ。
ビールを飲むとおしっこが近くなる。しかし、今出て行くのは合羽を着込まないといけない。面倒臭い。ガマンしよう。
おしっこがしたいのもあって、もう寝付けない。しかし、風と雨はだんだんと強くなってきている。
すると急に上空の稜線付近にビュオ~~~ウ~~~。ゴォ~~~~~~。と、けたたましい風のうなる音が薄いテント地を越えて聞こえてきた。その音はだんだんと近づいてくると、いきなりテントを押しつぶさんとばかりに襲いかかってきた。
ひぃ~~~ぇ~~~~!!テントはなんとか持ちこたえているが、気が気でならない。
もう眠れない。
台風の影響は無いという天気予報だったが、それは平地に限ったことなのだろう。山は別だった。
朝方、といってもまだ深夜、だんだんとその強烈な風は収まっていき、ガマンしていたおしっこを二人そろって行くことができた。
折りたたみ傘を持ってきてはいたが、きっと役に立たないと思い、合羽を着て二人してヘッドライトを点け、まだ暗い豪雨の中、夜のトイレへと向かった。
すっきりとしてテントへと帰ってきても、また合羽を着てあの雨の降る外に出て行きたくないので、極力水分は控え、いろんな意味でガマンのテント泊初日を迎えていた。
一息つくと、今度は雨がテント内に入りこんでいることが判った。タオルで拭き取り、ジップを開きフライとの間の前室で絞る。
強風のため石で抑えていた縄がゆるみ、フライがインナーテントに張り付き結露が戻ってきていることと、強風のためフライシートの隙間から風雨が振り込み、ジッパー部からポタポタと入り込んできているみたい。
でも、ここで活躍したのがシュラフカバー。ゴアテックスを選んだ甲斐があり、シュラフは全く濡れないし、蒸れない。これは今回よかったと思えた点。高かったけどこの状況でも快適に過ごせたのはシュラフカバーのお陰だろう。
次に朝方トイレに出たときに、張り縄をしっかりと張り直し、幾分風は収まってきていたけど、重しに使う石を大きいものを追加しておいた。
二日目の6/3は風と雨のため、山歩きの予定は中止に。残念。
身動きのとれないテント内で閉じこもるのは苦痛になり、お昼近くに小屋へと食事を取りに行くことに。
なんでもオーレン小屋の人気メニューはボルシチらしい。
それを二人分注文し、こたつで温まらせてもらう。
まだ11時くらいだったので、のんびりと注文を待っていると、温かいボルシチが運ばれてきた。
食べると身も心も温まり、ほっとする。食事とは偉大だ。
食事を済ませこたつで温まらせていただいていると、この天気の中、小屋を利用する登山者が二人現れた。
話しを聞いていると先生らしい。
まだ若い男女の二人だった。
話しに参加しながら伺っていると、この諏訪周辺の中学校では、八ヶ岳登山の課外授業があるらしい。林間学校と言った感じだろうか。
毎年この時期になると、先生がたが下見に登山され、山道の状態や小屋主と話しをして、内容を煮詰めて行くのだそうだ。
だから昨日、トイレでの会話で他の登山者から先生ですか?と聞かれたのか納得した。
その学校の団体八ヶ岳登山は7月の平日行われるそうなので、その時期の平日は混んでいるらしい。土日は無いらしいので、7月に小屋を利用するのなら土日にしたほうがよいみたいだ。
しばらくゆっくりさせてもらい、もう今夜はテントで過ごすのが苦痛になり、小屋に避難させてもらうことにした。素泊まりだ。
これでゆっくりとお風呂にも浸かれる。
しばらく小屋でゆっくりとして、雨が小降りになってきてから、テントを撤収した。
濡れてはならないものから防水の袋に押し込み、ザックの中にしまい、テントだけ残して取りあえずザックを小屋に運んだ。
大きめのビニール袋を持ってきていたので、テントは取りあえずその中に押し込み、明日乾かしてから下山しようと考えた。
4時ころになるとお風呂の用意をしてくれて、山なのでシャンプーなどは使えないけど、豪雨のため寝付けなかった疲れた体をほぐしてくれた。
下山のとき軽くしたかったので、素泊まりにして、持参していたアルファ米と昼に食べようとしていたカップヌードルのカレーをビールと一緒に食べた。すると今日小屋を利用するのは先生と我々の2組、4人だけだったので、気を利かせてくれて、山菜の天ぷらと6/1の山開き前日の夜に行ったオーレン小屋祭に使った鹿肉と鴨肉の薫製を一切れずつご馳走になった。これがまた美味しく、オーレン小屋の優しさが嬉しかった。
今度はテントではなく、小屋泊にして、馬肉のすき焼きの晩ご飯を食べようと決意する。次回の天狗岳リベンジはいつにしようか?
その日の晩は、個室を用意してくれて、ふかふかの毛布と布団に横になり、熟睡した。
8時にはもう寝ていたので、朝2時ころには目が覚めた。
まだ暗いなか、窓から見える峰の松目の山の輪郭とそれに繋がる硫黄岳の輪郭が暗くても理解できる。
今日は雲がかかっていない。登れる。と思うと嬉しくなってきた。
先生がたは、硫黄岳からご来光を見るといって2時半ころ出向いて行ったが、僕たちはのんびりとして4時に起き、支度をしていたら5時過ぎ出発になってしまった。
まだ雲は峰の松目にはかかっておらず、雲海と山の上に広がる雲の隙間のなかに居ることが判った。
早朝に昨日まで居たテント場へと行くと、なにやら黒いものが動く気配を感じると、その黒いものは山へと逃げていってしまった。カモシカだった。今度こそラッキー。
今日は最終日。硫黄岳往復と下山。
支度を済ませ、今日はロングスパッツを履く。
オーレン小屋から登山道へと入るともう残雪がお出迎え。踏み固められていないところや、雪や登山道がゆるんできているため、ズボッと抜け落ちるところがある。これは霜柱が溶けだしてきているためなるらしい。気が抜けないが、面白い。(笑)
はじめての残雪だけど、雪のある時期はキレイだし、歩いてみて楽しかった。
台風5号ナクリーは日本の南海上を進み、本州には影響がないとの天気予報を真に受けて、行動を開始したのです。
2日の月曜はセール明けのため、早朝5時起きで支度をし、八ヶ岳はオーレン小屋の登山口である桜平を目指した。
飯田まで国道を使い、飯田からは中央道にて諏訪ICで降りる。そこからビーナスラインで八ヶ岳方面へ向かい、途中を右折し帰りに寄った縄文の湯の前をとおり、フォレストカントリークラブ三井の森を過ぎると、柄沢鉱泉と夏沢鉱泉の分かれ道となり、ここからダートの林道が始まる。ここからあと30分ほどでこぼこの林道にゆられながら車を走らせる。
平日と言う事もあり、12時過ぎの時間でも桜平の手前の一番ゲートに近い駐車場が空いていた。ラッキー。
靴を履き替えたり、支度を済ませて、歩き始める。
今回は、はじめてのテント泊。ここからならテント場のあるオーレン小屋までコースタイムで1時間半。ゆっくり歩いても2時間という距離と森林限界以上を手軽に楽しめることができるので、ここを選んだ。
ゲートを超えて広い林道を夏沢鉱泉まで歩いて行く。夏沢鉱泉を利用される方は、送迎のサービスなどあるため、四駆の車でこの林道を乗せてくれるらしい。
ゲートを超えてすに川を渡ると設置されて真新しい仮説のトイレがある。まだ利用される人も少ないのかキレイで快適だった。
今回はテントを背負っているので、家で測ったところ13キロのザックを背負っている。まだ数回しか使っていないザックなので設定が出ていないのか背負いづらい。これから自分の背中に合うように少しずつ設定を出していこうと思う。
相方の膝がよくないので、出来るだけ私が背負っているため60Lのザックの両横と上にマットなどを縛り付けてあるためバランスがよくない。これからもテント泊で相方と二人で行くのなら重心が低くなるようにもう少し大きめのザックが必要かもしれない。
持ち物は、プロモンテ山岳用2人用テントVL-22・isukaマットレス165・折りたたみ式マットレス・isuka3シーズン用シュラフ・isuka夏用シュラフ・isukaゴアテックスシュラフカバー・ロングスパッツ・軽アイゼン・合羽上下・ダウンジャケット2組・フリース・ストーブ・ガスカートリッジ・コーヒー(粉、07年ブラジル・カルモデミナス・サンタイネース農園)・トラベルプレスミニ・ココア・行動食2日分・アルファ米2食分。
足りない食料は、小屋で食べようと計画。
35歳からはじめた山歩きなので、出来るだけ軽量の物を購入した結果、13キロで収まった。
相方のペースに合わせゆっくりと歩いて40分ほどすると、芽吹いたばかりの木々の隙間から夏沢鉱泉が見えてきた。
ここまでの途中、林道脇に残雪が残っていた。
ここも水洗トイレがあるという噂だ。
夏沢鉱泉を過ぎ、沢を超えるための橋を渡ろうとすると、その先の登山道に残雪が残っていた。
でも、軽アイゼンが必要なほどではなく、気を付けてゆっくりと歩けばなにも問題はなかった。
これまたはじめての残雪残る山歩きだったので、以外と面白くそのあとのオーレン小屋までの道中は本当に早く感じた。
オーレン小屋が見えてきたときその先に硫黄岳が覆いかぶさるようにそびえているのが、雲の切れ間から見えた。
明日は天狗岳。明後日は硫黄岳に登り下山する予定。
今日2日(月)の天気予報では、夕方から雨マークだったので、オーレン小屋到着後すぐに受付を済ませ、テント場へと向かい、テントを張ることに。
テントは小屋側が用意してくれてあるスノコの上にテントを張ることに。そうすると、テントが汚れることなく、それに空気の層が出来るのでこの時期は温かい。
スノコの上なので、ペグを差し込むことが出来ず、周りにある大きめの石を使い縄を張った。
なんと今回はテント場を相方と二人で貸し切りだった。ラッキーと思ったのは、ここまで。
この後、今晩後悔する羽目に。
テントを張り終えるともう4時ころになっていたので、小屋でビールを購入し、飲みながら晩ご飯の用意をした。
売店のビールは普通に棚に並んでいたが、冷蔵庫に入れてあったかのようにともて冷えていた。オーレン小屋の標高は2330mもあるのだ、冷えるはずだ。
テント場へは小屋前の小川を渡って行くのだが、夏になればその小川の水も飲めると言う。今は雪解け水だから飲まない方がいいと言われ、その手前の水道を使うように言われた。その水道の水は別のキレイな沢からひっぱってあるから大丈夫なのだそうだ。水はとても冷たく、そして甘くて美味しかった。用意していた2.5Lのウォータージャグと500mlの水筒に水を詰めてテント泊の用意。
ビールのおつまみのお菓子も今回ちゃんと持ってきていたので、おつまみを食べながら空きっ腹にビールを流し込む。
標高が高いせいもあるのか350ml1本ですぐにいい気分になり、アルファ米も美味しく感じる。
オーレン小屋にはお風呂もあるのだが、酔ってしまったので、もう横になることにした。水洗トイレが設置してあるので、キレイなトイレで用を済ませることに。
二人で貸し切りのテント場へ帰ってくると、なにやら黒い影がフワッとボクのテントから舞い上がった。なんだ!と近寄ると、フライシートの下に置いていた、お菓子のゴミ袋が荒らされている。
カラスだった。
こんな標高の場所にも、カラスがゴミを狙いにくる。ゴミはテント内に入れよう。
暗くなる前にテントへ潜り込み、寝る用意をする。
今晩は雨が降るとの予報だったので、シュラフカバーの中にシュラフを押し込んだ。これは雨や結露でシュラフが濡れると温かくならないと本で読んだため、ゴアテックスのシュラフカバーを購入したのだった。
相方は3シーズン用の-6℃まで対応のシュラフだからいいが、私のシュラフは夏用のペラペラ。なのでダウンジャケットを2組持ってきていて、ひとつは着て、もうひとつはジップを閉めた状態でシュラフに押し込み首を足先にして足を突っ込み寒さをしのぐ作戦。これがうまく行き、全然寒くなく逆に暑いくらいだった。問題は天候だったのだ。
以外と空は明るく、暗くなってきたのが7時半くらいだった。
このくらいからポツリポツリと雨がテントのフライシートを叩き始めた。
心地のよいテントを叩く雨音と、ビールの酔いと昨日までの疲れが手伝って知らないうちに寝てしまっていた。
どのくらい寝ていたのか、急に激しく叩き付ける大粒の雨の音で目が覚めた。すると風もかなり吹いているのが周りの木の音で判る。かなりの風だ。
ビールを飲むとおしっこが近くなる。しかし、今出て行くのは合羽を着込まないといけない。面倒臭い。ガマンしよう。
おしっこがしたいのもあって、もう寝付けない。しかし、風と雨はだんだんと強くなってきている。
すると急に上空の稜線付近にビュオ~~~ウ~~~。ゴォ~~~~~~。と、けたたましい風のうなる音が薄いテント地を越えて聞こえてきた。その音はだんだんと近づいてくると、いきなりテントを押しつぶさんとばかりに襲いかかってきた。
ひぃ~~~ぇ~~~~!!テントはなんとか持ちこたえているが、気が気でならない。
もう眠れない。
台風の影響は無いという天気予報だったが、それは平地に限ったことなのだろう。山は別だった。
朝方、といってもまだ深夜、だんだんとその強烈な風は収まっていき、ガマンしていたおしっこを二人そろって行くことができた。
折りたたみ傘を持ってきてはいたが、きっと役に立たないと思い、合羽を着て二人してヘッドライトを点け、まだ暗い豪雨の中、夜のトイレへと向かった。
すっきりとしてテントへと帰ってきても、また合羽を着てあの雨の降る外に出て行きたくないので、極力水分は控え、いろんな意味でガマンのテント泊初日を迎えていた。
一息つくと、今度は雨がテント内に入りこんでいることが判った。タオルで拭き取り、ジップを開きフライとの間の前室で絞る。
強風のため石で抑えていた縄がゆるみ、フライがインナーテントに張り付き結露が戻ってきていることと、強風のためフライシートの隙間から風雨が振り込み、ジッパー部からポタポタと入り込んできているみたい。
でも、ここで活躍したのがシュラフカバー。ゴアテックスを選んだ甲斐があり、シュラフは全く濡れないし、蒸れない。これは今回よかったと思えた点。高かったけどこの状況でも快適に過ごせたのはシュラフカバーのお陰だろう。
次に朝方トイレに出たときに、張り縄をしっかりと張り直し、幾分風は収まってきていたけど、重しに使う石を大きいものを追加しておいた。
二日目の6/3は風と雨のため、山歩きの予定は中止に。残念。
身動きのとれないテント内で閉じこもるのは苦痛になり、お昼近くに小屋へと食事を取りに行くことに。
なんでもオーレン小屋の人気メニューはボルシチらしい。
それを二人分注文し、こたつで温まらせてもらう。
まだ11時くらいだったので、のんびりと注文を待っていると、温かいボルシチが運ばれてきた。
食べると身も心も温まり、ほっとする。食事とは偉大だ。
食事を済ませこたつで温まらせていただいていると、この天気の中、小屋を利用する登山者が二人現れた。
話しを聞いていると先生らしい。
まだ若い男女の二人だった。
話しに参加しながら伺っていると、この諏訪周辺の中学校では、八ヶ岳登山の課外授業があるらしい。林間学校と言った感じだろうか。
毎年この時期になると、先生がたが下見に登山され、山道の状態や小屋主と話しをして、内容を煮詰めて行くのだそうだ。
だから昨日、トイレでの会話で他の登山者から先生ですか?と聞かれたのか納得した。
その学校の団体八ヶ岳登山は7月の平日行われるそうなので、その時期の平日は混んでいるらしい。土日は無いらしいので、7月に小屋を利用するのなら土日にしたほうがよいみたいだ。
しばらくゆっくりさせてもらい、もう今夜はテントで過ごすのが苦痛になり、小屋に避難させてもらうことにした。素泊まりだ。
これでゆっくりとお風呂にも浸かれる。
しばらく小屋でゆっくりとして、雨が小降りになってきてから、テントを撤収した。
濡れてはならないものから防水の袋に押し込み、ザックの中にしまい、テントだけ残して取りあえずザックを小屋に運んだ。
大きめのビニール袋を持ってきていたので、テントは取りあえずその中に押し込み、明日乾かしてから下山しようと考えた。
4時ころになるとお風呂の用意をしてくれて、山なのでシャンプーなどは使えないけど、豪雨のため寝付けなかった疲れた体をほぐしてくれた。
下山のとき軽くしたかったので、素泊まりにして、持参していたアルファ米と昼に食べようとしていたカップヌードルのカレーをビールと一緒に食べた。すると今日小屋を利用するのは先生と我々の2組、4人だけだったので、気を利かせてくれて、山菜の天ぷらと6/1の山開き前日の夜に行ったオーレン小屋祭に使った鹿肉と鴨肉の薫製を一切れずつご馳走になった。これがまた美味しく、オーレン小屋の優しさが嬉しかった。
今度はテントではなく、小屋泊にして、馬肉のすき焼きの晩ご飯を食べようと決意する。次回の天狗岳リベンジはいつにしようか?
その日の晩は、個室を用意してくれて、ふかふかの毛布と布団に横になり、熟睡した。
8時にはもう寝ていたので、朝2時ころには目が覚めた。
まだ暗いなか、窓から見える峰の松目の山の輪郭とそれに繋がる硫黄岳の輪郭が暗くても理解できる。
今日は雲がかかっていない。登れる。と思うと嬉しくなってきた。
先生がたは、硫黄岳からご来光を見るといって2時半ころ出向いて行ったが、僕たちはのんびりとして4時に起き、支度をしていたら5時過ぎ出発になってしまった。
まだ雲は峰の松目にはかかっておらず、雲海と山の上に広がる雲の隙間のなかに居ることが判った。
早朝に昨日まで居たテント場へと行くと、なにやら黒いものが動く気配を感じると、その黒いものは山へと逃げていってしまった。カモシカだった。今度こそラッキー。
今日は最終日。硫黄岳往復と下山。
支度を済ませ、今日はロングスパッツを履く。
オーレン小屋から登山道へと入るともう残雪がお出迎え。踏み固められていないところや、雪や登山道がゆるんできているため、ズボッと抜け落ちるところがある。これは霜柱が溶けだしてきているためなるらしい。気が抜けないが、面白い。(笑)
はじめての残雪だけど、雪のある時期はキレイだし、歩いてみて楽しかった。
残雪は夏沢峠までの樹林帯まで。稜線にでると雪はなく、硫黄岳の急斜面には雪は全くなく安全に歩くことができた。
写真はガスが出始めた硫黄岳方面。
ガスの切れ目からときどき硫黄岳の姿が見えた。
途中、2500mの表示。硫黄岳は2760mだからあと260m。