中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

苦戦・善戦・・・中国ビジネス!

2011-01-11 19:11:52 | 中国
異論反論オブジェクションと言う、故筑紫哲也氏の番組がありましたが、今日は中国に見るビジネスの勝ち組、負け組みについて、いくつか事例を分析してみたいと思います。中国に進出する企業は後を絶たない状況ですが、進出企業の総数からすると、なかなか成功確率が低いような印象を持ってしまいます。実際、あるシンクタンクの方にデータをお聞きしますと、ここ3年くらいに進出した企業は、10%も成功していないとのことでした。

まずは苦戦の原因を探ると、大きく3つの要因が考えられます。

 ①本社の市場把握、戦略の誤りによる人員配置の問題

 ②一般消費材ビジネスにおける世界企業との規模の違い

 ③中国の感性を無視したネーミングでの失敗

①については、以前のブログにも述べましたが、真水の市場がどれだけいるか?各省ごとに一つの国ぐらいの市場があり、それぞれに特性が大きく違っていることなどを理解しないまま、本社が勝手に目標設定をしてしまうケースです。当然、現場では単純に13億の市場をもとに掛け算をした目標設定が降りてきて、さらには「現地化を勧めましょう!」と言ういい加減なコンサルティングに乗せられ、まだ地力もついていない状態にも関わらず、現場にエースがいない、参謀・兵隊ともに不在の状況に陥るパターンです。

②は、食品関係で特に苦戦を強いられているケースですが、日本では超大手ブランドでも、中国では欧米系を中心にした巨大メーカーとは規模においては話にならない・・・広告費だけも二桁は額が違うのが実情で、日本のエース企業を二つ合わせても勝てないパターンです。成功事例といわれたサントリーでも、局地戦で成功した上海の伸びよりも中国全土が伸びてしまうため、全中国市場では苦戦を強いられています。

③は私の前職のように、RECRUIT(瑞可利)で浸透させてきた社名を、欧米重視の本社の考え方でRGF(艾杰飞)なる中国人には理解不能な社名に変更してしまうブランディングが苦戦の原因になる可能性もあります。

逆に、善戦している企業は、これも以前に言及した、ヤクルトのような一つの町で成功したら隣の町に進出する、いわゆる脳の神経細胞戦略的な地道な取り組みの企業です。大きな中国の一つ一つの小さな市場を意識していることに勝因がありそうな気がします。また10年以上前から本格的に取り組んでいる、技術力のある品質重視のメーカーさんは、厳しいといわれる中でもかなりの成功をおさめているようです。

そろそろ勝ち組と負け組みのパターンは顕著になってきている中で、まずは最低限の調査をして、自らの採るべき戦略を本社、現場双方の密な情報共有によって確立する。当たり前のことが結局は重要な気がします。




留学生・・・学歴のイメージと現実のギャップ!

2011-01-05 19:10:19 | 中国
私の卒業大学は、今はなき、大阪外国語大学です。2008年に国立大学の統合で、なんと大阪大学に吸収された形になりました。国立大学と言えば同じですが、やはり「阪大」と「大阪外大」では、偏差値、認知度、総合力で差異があるわけで、もう24年前に大阪外大を卒業した私が、現阪大です!とはおこがましくて言えません。ある学生団体の機関紙にOBとして紹介された時に、私が阪大OBになっていて、しかも私一人しか関西の大学は紹介されていない・・・そんなケースもありましたが、阪大のOBの方には、「失礼しました~」って感じです。

また、同じ大阪外国語大学でも、英語学科と私の専攻ポルトガル・ブラジル語学科では、受験段階の偏差値にも大きな差があります。国や言語で差別をしているわけではありませんが、やはり人気言語、実用言語などその時々の社会のニーズで競争率も変わり、合格ラインも変わってくるわけです。

ただ、そのような日本人の中での違いに比べると、留学生枠に関してはさらに学歴のイメージと現実のギャップは大きくなります。外国語大学の日本語学科を例にとれば、世界中から留学生が来るわけですが、彼らが国立大学とは言え、総合的な共通テストを受けるわけでもないですし、一部私立大学に至っては、お金の問題で入学の可否が決まる場合もあります。また、少子化の影響で、マンモス私立で中下位の大学は、積極的に中国人も含めた留学生獲得を推進していて、多少情報や資金的余裕がない中国の地方の苦学生が、奨学金制度を利用して、夢の日本に留学してくるケースもあります。いざ、入学してみると、日本人の間での偏差値はこんなに低いのかと後悔したところで時すでに遅し、就職活動をしてみると、外国人のハンディがある上に学歴ではねられる・・・・某有名大学に入った留学生より、実は彼らのほうが全然優秀だった・・・と言うことも多く見受けられます。

国士舘大学の21世紀アジア学部、最近はわかりませんが、2、3年前に卒業した中国人留学生の中には、非常に優秀な学生を多く見かけました。片や、面接に来た某有名大学の留学生が、基礎学力からして日本の大学の偏差値イメージにまったく及ばない・・・そのようなケースもあります。逆も真なりで、北京大学に入学できる中国人はごく一部のエリートですが、留学枠なら普通の高校からでもすぐに入れてしまいます。血のにじむような受験戦争をしている中国国内と、留学枠の事情は別次元なのです。

漢和塾で開発した、J-Pass(Japan Business Pass)=日系企業適応能力資格は、日本語力や、日本のビジネスマナーはもちろんですが、どちらかと言うと、中国語、中国の一般教養、文章力など、基礎学力が露呈される項目を中心にチェックをする適正試験です。学歴のイメージと、上手な日本語に惑わされる前に、まずは留学生の母国語での実力、偏差値をしっかり見極める・・・優秀な留学生がいます!と登録だけして売り込みにくる人材紹介会社を信用する前に、人事の担当者が理解しておくべきことがあります。是非、ご相談ください!


2012年に向けて・・・「焦らず急ぐ!」

2011-01-02 11:33:18 | 中国
昨日は、ニューイヤー駅伝の感化されて、いつものジョギングモードから、珍しくレースモードで12kmも走ってしまいました。二日続けて、海の向こうに富士山も見ることができました。昨年の上海マラソンの反省もあり、やはり練習あっての本番、結果に対しては練習は嘘もつきますが、練習なくしてラッキーも転がり込みません。

朝からいくつかの番組で、中国のニュースが流れていました。相変わらず、軍事力の脅威だとか貧富の差などと言ったテーマでしたが、ある解説員がようやく、中国の中にも二つの勢力がある、と分析。同じ分析を、昨年の秋の時点で報道していれば、もう少し冷静に尖閣問題が対処できたのではと思いました。

2012年に向けて、すでに決まってしまった習近平国家主席の地位。この1~2年は、国際協調路線を取ってきた現政権に対して、軍部、高級官僚、資産階級が中心になる新政権の攻勢がどこまで強くなるか。首相が誰になるか・・・中国の教授、公務員など関係者に聞いても明確な答えはなく、私ごときではわからない政治の裏闘争が続いていて、2012年に向けて激化すると見ています。

中国ビジネスを、単純に市場の可能性だけ考えている企業はいないかと思いますが、反日デモ、餃子事件など、数々の事件があったこの数年とは違い、2012年までの間では、ビジネスの土俵の根幹を揺るがすような政治的リスクも発生するかも知れない・・・暗い予想を年始からしていますが、このことを「想定内」において、その上で、慎重かつ大胆に中国ビジネスに取り組む。少なくとも私はそのような心構えでいます。

また、リーマンショックも懐かしい言葉に感じますが、レバレッジをきかせたアメリカの天文学的不良債権を考えると、他国を引き摺り下ろす金融テロ的な動きが再度起きないとも限りません。為替の話は、本来の業績の頑張りなど吹っ飛ぶような要因になり、各国が自国の通貨安戦略をとりたがる今の状況は、2012年に向けて時限爆弾を抱えているような気がします。

ま、誰でもわかるようなリスクを並べ立ててみましたが、隕石衝突、火山の大爆発など、避けられない自然の脅威を除いては、地球が滅ぶわけでもないですし、最悪の事態を想定しながらも、理想を描いていきたいです。

私事ですが、1月から漢和塾に新しい社員が加わりました。また、一つ責任が増えて、緊張感の高い年になりそうですが、焦らず急ぐ!で頑張りたいと思います。


世界が羨んだ日本の再興のために・・

2011-01-01 11:30:58 | 中国
新年おめでとうございます。本年も単純で感情的ではありますが、思いのままを表現したいと思います。

今年も正月は晴天で始まりました。印象だけかも知れませんが、元旦は、晴れた日の確率が多いような・・・

そんなことは過去の気象状況を調べればわかりますが、和歌山⇒大阪⇒東京⇒札幌⇒大阪⇒東京と転勤を繰り返していたのですが、なぜか元旦の初詣に嵐だったり、傘をさして参道を歩いた記憶もありません。

そんなこととは別に、2011年はスタートしましたが、新聞には誰々更迭だの、内閣改造だの、世界の潮流とは関係のない低次元な話題ばかり。年明け早々、ちょっとがっかりです。内閣改造って、大臣って何のためにいるのか、その存在を否定するようなもの。持ち回りに近い総理大臣も含めて、日本は、社長のいない会社だと言ってきましたが、部長も課長もいない・・・平社員は、日本で最も優秀なはずの官僚。気持ちをお察しします。

以前にも申し上げましたが、中国を新興国と言うのは誤りで、あえて言えば再興国だと思いますが、いくつかの困難を乗り越えながらもこの30年をかけて、世界の表舞台に戻ってきました。30年前と言えば、日本は世界も羨む国、あんな小さな島国が、どうしてあんなにお金持ちなんだろう。大金を持って、海外旅行に出かけ、多少の顰蹙を買いながらも、実際、製品も技術も勤勉さもフットワークもあったような気がします。

その後、バブルで絶頂を迎えた後は、どうも自信をなくしているように思えます。最近の若い方は海外志向ではないとか、日本の市場は縮小するばかりだとか、消極的なニュースも流れてきます。

が、本気で考え、仕事をすれば、恐れることはないのではないでしょうか?グローバル化とは、別に相手の土俵に乗ることではなく、できることなら世界の基準を変えるくらいの発信力を持つことだと思います。まずは、日本で、日本人として確かな技術やサービスを磨くこと。その上で、世界の潮流を観察して、時にはその波に乗り遅れないようにしつつも、乗らなくてもいい波もあるような気がします。

最近、よく似たコメントばかりの気がしますが、本来は、株式会社日本の社長(総理)や役員(大臣)が戦略を立て、営業をすれば済むことです。が、ここは一つ、私どもビジネスマン、特に経験も知識もある40代、50代の中でも、チャレンジ精神と好奇心旺盛な人たちを中心に、世界が羨む日本を再興していきたいものですね。

今年もよろしくお願いします。