中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

中国人観光客歓迎!ちょっとその前に・・・

2010-06-01 15:10:56 | 中国
以前にもお話しましたが、前職(リクルート)は、海外旅行情報「ABROAD」、国内旅行情報「じゃらん」の営業をしていました。リクルートは38歳早期退職制度を利用して退職、あれから7年以上が経ちますが、中国語研修会社の世界に踏み出したはずの私のもとに、以前の本業、観光の相談が舞い込むことが日に日に増えてきました。

ご存知のように、中国からの観光客は、査証制限の緩和など、この先も日本の観光、流通、さらには飲食、家電、すべての商材において期待の星にはなりそうです。また、実際に少子化の日本の市場を考えれば、死活問題とも言えるくらい重要なマーケットではあります。

ただ、一概に、中国人歓迎!と期待しても実際には数多くの困難が待ち受けています。

まず第一に、中国人と言ってもどこの中国人、いつの中国人、どんな中国人なのか?

観光庁の掛け声の元、外国人の観光客を呼び込むキャンペーンは始っているが、いくつかの極論があります。

    1、外国人か日本人かの2極論       2、欧米かアジアかの2極論
    3、アジアと中国の一元論         4、中国人と言う一元論

この4番目の「中国人」でさえ、東西南北、省ごとの違い、世代の違い、階級の違い、さらに本来の個人差もあるわけで、中国人対策セミナーなどが流行っているようですが、一体どの中国人をターゲットにするのでしょうか?

その次に重要なのは、どのような目的で来るのか、逆に言えば、どの目的の層を狙うのかです。

   買い物、温泉、料理、景色、観光、風情、体験、スキー、桜、観光拠点・・・

過去に「じゃらん」が編集の切り口にしていた目的別だけでも、様々なプランが必要なわけです。相手を知らずして、待ち受ける宿泊施設側の体制も決まりません。中国人対策を叫ぶ前に、自分の宿の強み、弱みを把握し、さらに中国人の分析を細分化し、それにあわせた対応をとる必要があります。

が、実は最後に重要なのは、「うちは日本人でやって行く!」と言う選択かも知れません。これは「中国人お断り!」と言う意味ではなく、縮小すると言われる日本人マーケットで、本当に戦える戦略、売りがあれば、結果的には、リピーターが増えて眼力の高まる中国人観光客が、是非行ってみたい魅力のある宿になっているかもしれないからです。日本人にさえ売れないものを、外国人だからと言って易々と売れるのは初期段階だけです。中国人に期待!をよせるその前に、自ら、そして相手のことで知るべきことは膨大にあるのではないでしょうか?



ユニクロの社員教育と退職の特番を見て・・・

2010-06-01 11:41:56 | 中国
珍しく自宅で、ガイアの夜明けを見ることができました。画面に目をやったらユニクロの中国での開店準備の様子が報道されていました。30歳前後の現地責任者の男性が、開店までのカウントダウンの焦りの中、中国人社員に檄を飛ばし、開店にこぎつけると言うもの。

結果的には、300人いた社員のうち2割にあたる60人が開店までに辞めてしまいました。これは、一般的によく言われる「中国人はすぐやめる」「給料が高いところに簡単にうつる」と言う現象を映し出してはいましたが、本当にそれは、中国人側の問題なのでしょうか?報酬としては月給4万円(2,500元程度)は、上海など都市部では、すでに安い部類に入ってしまうのかも知れません。上海現地法人設立2期目の弊社でさえ月給3,500元ですので、単純な金額比較はできませんが、確かに忙しさの割には満足のいく報酬ではないのかも知れません。

が、問題は報酬だけでしょうか?テレビに文句言ってどうするの?と妻に叱られましたが、陳列の悪さや、棚のホコリについて、叱責を繰り返すそのマネージャーの言葉は、すべて日本語、通訳を介してでしか、その「檄」は届きません。日本人同士、中国人同士でも職場で叱責があるのは当たり前ですが、しかめつらをした「外人」が「外国語」で何やら怒っていて、それを同じ中国人の通訳と通して聞いたとして、どんな気分になるでしょうか?

彼が中国語が話せないことが問題ではありません。私とて長年勉強はしていますが、中国語ではビジネスはまだまだ渡りあえません。ただ、叱る時は通訳にではなく、本人の目を見て言うべきです。その際に拙くても中国語で言うことができれば、上司の「思い」は多少なりとも通じるのではないでしょうか?あるいは、常日頃から、彼らとどこまでの信頼関係が築けているか・・・信頼関係には、「言葉」も重要な役割を果たす!と私は思います。

ま、何事も経験ですし、柳井社長の「給料上げたければ利益をあげろ!」と言う言葉は非常に理にかなっています。給料を上げないと辞める!ではなく、仮に今上がらなくても辞めない関係づくり、これは私も含めて、中国の採用・マネジメントを考える上で大きな課題です。

同じ番組で、NECの若手の海外研修制度が報じられていました。中国(都市部)よりも遥かに過酷な環境で経験を積むのは非常にいいことではありますが、同業のライバル他社では、30年も前から欧米に、10年も前から中国に、社員を現地研修に出しています。しかも若手ではなく、5~10年目の「仕事のできる中堅」を各部署ごとに毎年送り出しています。四半世紀もの差は、今、そして10年後に影響がないわけがありません。

今日はこれもまた珍しく自宅でブログ・・・人さまの文句を言う前に、わが身を振り返ってみることにします。