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荘子:斉物論第二(10) 以 指 ? 指 之 非 指 , 不 若 以 非 指 ? 指 之 非 指 也 ; 以 馬 ? 馬 之 非 馬 , 不 若 以 非 馬 ? 馬 之 非 馬 也 。天 地 一 指 也 , 萬 物 一 馬 也 。 |
指を以て指の指に非ざるを喩(さと)すは、指に非ざるを以て指の指に非ざるを喩すに若(し)かざるなり、馬を以て馬の馬に非ざるを喩すは、馬に非ざるを以て馬の馬に非ざるを喩すに若かざるなり。天地は一指なり、萬物は一馬なり。
詭弁学派のうちには、まず指という個物の存在を認めたあとで、指が指でないことを論証しようとするものがある。しかしそれは、最初から指という個物を越えた一般者から出発して、そのあとで指が指でないことを論証するのには及ばない。
また、まず馬という個物の存在を認めたあとで、馬が馬でないことを論証しようとするものがある。しかしそれは、最初から馬という個物を越えた一般者から出発して、そのあとで馬が馬でないことを論証するのには及ばない。
無差別の道枢の立場からみれば、天地は一本の指であるともいえるし、万物は一頭の馬であるともいえるのである。
※喩
■音
【ピンイン】[yu4]
【呉音・漢音】ユ
【訓読み】さとす、さとる、たとえる、たとえ
■解字
会意兼形声。兪(ユ)は中身をくりぬいてつくった丸木舟。じゃまな部分を抜きとる意を含む。
喩は「口+音符兪」で、疑問やしこりを抜き去ること。
■意味
さとす。さとる。疑問を解いてはっきりとわからせる。はっきりとわかる。《同義語》⇒諭。
「君子喩於義=君子は義に喩る」〔論語・里仁〕
▼「指を以て指の指に非ざるを喩(あき)らかにするは、指に非ざるを以て指の指に非ざるを喩(あき)らかにするに若(し)かざるなり」(福永光司)