皿の下のランチョンマットに記載されていたのだが、こちら1925年開業、90年の歴史を誇るレストランなのだそうだ。
しかし店内のインテリアや調度品は非常にカジュアルで、BGMも有線のJ-POP。雰囲気は例えるならばファミリーレストラン風であり、「歴史ある洋食店でござい」という重厚さはどこにもない。
だが、運ばれてきたトルコライスの盛り付けの美しさにその伝統の一端を垣間見る思いがした。ご覧のように、オムライス、ポークカツ、ナポリタンが純白の楕円の皿を綺麗に三分割し、サラダの緑が王冠のように鎮座している。
ナポリタンはケチャップの風味が強く、ハムの量が多い。カツにかけられたデミグラスソースは少なめだが、パン粉がぴっと立った衣のサクサク感と肉自体の味を引き立てている。オムライスは中のチキンライスも含めてあっさりとしたやさしい味わいだ。結果的に、左のオムライスから右のナポリタンに向けて徐々に味が濃くなっていくグラデーションを描いている。サラダのドレッシングはフレンチかオニオンを選べるのだが、オニオンドレッシングにも手抜きのなさを感じた。
見た目は普通、でも仕事はきちんと。これも京都の懐の深さか。あるいはやはり京都では90年くらいの歴史で老舗面をしてはならない掟でもあるのか。ともあれ、常連客のテーブルにコックが足を運び丁寧に挨拶をしているのはいい光景だった。
スター食堂のトルコライス 1058円
京都市中京区新京極通四条上ル西側
075-221-2555
11:30~22:00(L.O.21:00)
無休