金沢大学がんセンターブログ

金沢大学がん高度先進治療センター医局における
日々の出来事を適宜更新していきます。

日本癌学会奨励賞を受賞して

2014-11-25 14:08:49 | 日記

やや旧聞になりますが、9月下旬に横浜で行われた日本癌学会において奨励賞を受賞しました。癌学会の奨励賞は、がん研究を行っている若手研究者の登竜門とされており、当科の矢野教授も受賞されております。このような賞は、各地を転々としている私のようなものには無縁のものと思っておりましたが、矢野先生と大学院時代の恩師である高橋隆先生(名古屋大学)にご推薦をいただき、このたび受賞することができました。ブログに書くのはやや気恥ずかしくもあり逃げ回っていましたが、南條先生より指名もあり、ここにご報告させていただきます。

 もともと、当時(今でも)それほど多くない腫瘍内科の研修を終え、10年前に研究を始めたときには大学院を卒業した後はがんの臨床一本に戻ろうと思っていました。残念ながら進行・再発のがん患者さんの多くはなくなられることが多く、自分の仕事は坊主のようなものと自嘲気味に言っていましたが、人間の最期に立ち会えるという点においては人生勉強になる点も多くやりがいも感じていました。実験を始めたきっかけは、指導していただいた上田龍三先生(現愛知医大)の強い勧めでしたが、「何か結果が出たら大手を振ってやめられるだろう」などと思っているうちに、時間のたつのは早いものではや10年も経ってしまいました。その間、「人類に役に立つ何かの結果」が出ることもなく、自分の才能のなさを自覚しながら現在も研究を続けています。

思えば10年前に名古屋→ボストン→金沢と各地を転戦することになろうとは思いもしませんでした。実験についても大学院生時代に高橋隆先生に言われ、何言ってんだかと思っていたことを、今になって大学院生に同じように話しているのに気付くと、「ああ、あの時そんなことを思って高橋先生は話をされていたんだなあ」と感じることも多いです。まだまだ満足する結果は出せていませんが、10年前予想もしなかった環境に今自分がいるように、数年後に思いもよらない結果が得られることを期待して今後も努力したいと思います。

衣斐