時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

あきない世傳金と銀<特別巻/下> 幾世の鈴 其之弐

2024-03-11 | 読書
今回は
江戸に留まり
小間物商「菊栄」店主として
新たな流行りを生みだすべく
精進を重ねる
第二話『菊日和』

姉への
嫉妬や憎しみに囚われ続ける結が
苦悩の果てに漸く辿り着く
第三話『行合の空』
について



第二話『菊日和』について

菊栄と幸は
五鈴屋四代目徳兵衛の前妻と後妻と言う
普通に考えると
相容れない関係なのですが
この二人は
血縁を遥かに超える
深い縁がありました
女性が店の主として表に出ることが
叶わない時代に
己の知恵と才覚を
遺憾なく発揮
見事に道を切り開きました
幸も苦労したけれど
菊栄とて
五鈴屋四代目徳兵衛から離縁され
実家に戻り
傾いていた紅屋の立て直しに
尽力するも
立て直したと思ったら
実家に戻っていた義理姉が
戻ってきて
菊栄は半ば追い出された形になり
家族にはあまり恵まれませんでした
それでも
江戸で「菊栄」を
大きくしていったわけです
正直
幸には江戸に留まって
共に生きて欲しかったと思います
それでも
幸の幸せを願い
大阪へと送り出しました
人としてとても優れた人です
幸が近くにいないのは
確かに淋しいけれど
江戸には
現本両替商「井筒屋」三代目当主保晴にして
元五鈴屋五代目当主
惣次がいます!
お互い
自らの意思で
江戸の町に来て
職種は違えど
それぞれの商いを大きくして参りました

大阪「紅屋」が人手に渡り
兄夫婦は路頭に迷う寸前と
惣次から聞いた菊栄が
才も徳もない者が、何の精進もせず
暖簾を守れるほど、商いは甘くない
血縁を理由に紅屋の身代を取り返しても良いことはない
と言い切る菊栄の店「菊栄」は
盤石です
かつて
犬猿の仲だった
義理姉と弟ですが
商いに関しては
最高のパートナーになること
間違いなし!

第三話『行合の空』について

結のその後は
聞きたくも読みたくも
知りたくもなかった
と言うのが
正直な気持ちです
音羽屋忠兵衛は
江戸での失敗から
性根が入れ替わったのか
地に足をつけ
二人の娘を大切に育てながら
宿屋の主として
誠実に
生きていこうと
びっくりするくらい
真ともな人間になっている一方
結は
いまだに
こんなはずではなかったと
ブツブツぶつぶつ
その挙句
忠兵衛と娘二人を捨て
五鈴屋から盗んだ図案片手に
男に走ろうとするから
あきれ果てます
それでも
最後は
改心して
真っ当に生きていく
人になってました
これは
筆者の優しさなのでしょうけど
男に捨てられて
どこぞで
野垂れ死んでも良かったのでは?
と思いました

幸の長女・桂が考案した
手作り守りの中身が
最終的に❛鈴❜になってて
そのお守りが
人の手を経て
大阪にいる幸の手元に
届くわけです
勿論
幸は
そのお守りの出所が
結いの宿屋とは
知る由もないんですけど
ここまでせんでも…

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