かめ設計室*3丁目通信

2005年4月より、西新宿にて一級建築士事務所かめ設計室がはじまりました。3丁目からのかめバー通信。

橋はなぜ落ちたのか 前編

2006年05月30日 | トータル アーキテクト
 建築模型の初心者に多いが、ある棒と同じ長さの棒を10本切り出す場合、いま切った棒をあてて次の棒を切るということを続ければ次第に誤差が出てきてしまう。そうならないように最初の棒を定規にすればいい。少しのミスも見逃しているうちにとんでもなく異なった結果として表れてしまう。伝言ゲームと同じ理屈だ。
 棒を切り出すくらいならすぐに気がつくが、関わる人が多ければ多いほどミスは知らぬ間に増大する。挿絵は「Typical Project Life(典型的なプロジェクトの一生)」と題されている。クライアントは右下のようなモノを望んだのにそうならなかったという笑えない笑い話。
 こういうことは社会の中にもいっぱい潜んでいるが、このミスコミュニケーションが人命に関わる事になったなら。設計者はいつもそういうきわどい立場に立たされている。

今夜、すべてのバーで 6

2006年05月29日 | かめ バー
 一年前の今日、そっと始めたブログも、いつの間にか多くの方々に読んでいただき、その反応も上がりはしても下がる事はありません。おかげさまです。
 何かのきっかけになればと始めたブログは、単なる独り言だけど、でも日記を書くのも恥ずかしいし、誰が読んでるかわからないし、でもどこかで反応は期待もし、でも厳しいコメントもあるし、でも媚びるのも嫌だしと、油断すると「でもでもでも」のぬるいブログになってしまいます。何で書いているのさ、と言われても答えもありません。
 あなたが読んでいるからでしょうか。いつもありがとう。
 また明日から、シャキッと書いていきますよっ。
 応援、よろしくぅ~。

流行建築通信19/じんじんさせて

2006年05月26日 | 流行建築通信
 だめだめ女を口説くのは
 どこにもあるよな手じゃダメよ
 心がじんじん
 しびれてみたい
 『じんじんさせて』
 (山本リンダ 1972年)

 万博景気を後押しするように、山本リンダの曲は上昇する株価のテーマソングにもなった。「『どうにもとまらない』」にはじまり、「狂わせたいの」(72年)、「じんじんさせて」(72年)、「狙いうち」(73年)、「燃えつきそう」(73年)、「ぎらぎら燃えて」(73年)、「きりきり舞い」(73年)、ここまで揃えばこれも阿久悠の狙い撃ちだろう。そして時代はオイルショックに入っていく。

 ところで歌詞の中の「女」を「クライアント」に変えてみると、ちょっとおもしろい。

 だめだめ女を口説くのは
 どこにもあるよな手じゃダメよ
 心がじんじん
 しびれてみたい
 朝も昼も夜もかまわず押しかけて
 愛で金で地位であれこれ口説くけど
 それじゃまだ燃えないわ
 あきらめて

楽観と悲観

2006年05月22日 | トータル アーキテクト
 碁には楽観派と悲観派がある。
 形勢判断においてである。
 悲観派は概して長考派が多い。
 自分が劣勢だと思うから、
 最善手を求めて長考してしまう。
 また妥協する事がない。
 常にいっぱいの手を選ぶ。
      (藤沢秀行)

 碁は建築と似たところがあるようです。
 僕らは、生活では楽観派、仕事では悲観派かな。
 先立つものも何もない暮らしに焦ることはないかわりに、仕事はああでもないこうでもないと長考に入っていく。

満来

2006年05月19日 | 見 聞
 世田谷線山下駅(小田急線豪徳寺)のすぐ近く、小さな商店街に小さな中華料理の店があります。テーブルは4つで16席、カウンター3席。メニューに注目。圧巻。ラーメン並200円ですよ。なるととねぎとチャーシューとメンマ。醤油ラーメンの王道。店の雰囲気もばっちり。
 別にラーメン通でも何でもありません。ラーメン戦争などと騒いでいますが、まずスタンダードからお願いします。何も足さない、何も引かない。このなつかしの味は、十勝の丸美ヶ丘温泉のラーメン以来か・・・

水平動線と垂直動線

2006年05月17日 | 建 築
 コメント(空の値段)にあるように、高層ビルでは地上に降りてこない天上人はいるんだろうな。都庁が霞んで見えないときがあります。雨の夜は亡霊みたい。
 こんな話を聞きました。「これまでの街は、水平移動が原則だった。近づいて来る人がわかる。何を話そうかと準備する。追いかけることもできる。立ち止まることもできる。立ち話の風景は日常だった。でも、高層マンションや高層ビルのような垂直移動の街はこうはいかない。エスカレータはあっ!という間にすれ違う。エレベータはすれ違うこともない。行き違えるのみ。」
 そうそう、エレベータに乗り合わせても話しづらいか気まずいかです。

あさやん 4

2006年05月14日 | あさやん
 この間、新宿PIT INNでの山下洋輔ゴールデン・ウィーク 3DAYS SESSION ライブに行き、緊張しながら山下氏にあさやんCD本を渡してきました。この日のライブは山下洋輔(P)金子飛鳥(Vn)柳原旭(el-B)八尋知洋(Per)はじめて聴いた金子飛鳥さんのヴァイオリン素晴らしかった!いろんな音が絡み合って生き生きとした、もっともっと聴いていたい楽しいライブでした。

 先日、あさやんCD本の注文をこのブログからいただきました。(うれしい。。)
私の知らない、若い頃のあさやんを知っている方が、当時のあさやんの様子を書いて下さったので、載せさせて頂きますね。

 ・・・もうかれこれ40年近く経ちますが、横浜で初めてプロとして活動を始めたバンドで浅倉さんとご一緒させていただきました。当時浅倉さんは鎌倉に住んでいて、昼は海で日に焼け、夜は横浜で演奏という日々でした。私が上手く吹けないフレーズがあると、こういう風に吹くといかしているんだと、休憩時間に自分で吹いて、とても親切に教えてくれました。
 当時、若手トランペッターでは、日野皓正さんと浅倉さんが注目を浴びていました。
派手で音数が多く、吹きまくる日野さんに較べ、浅倉さんは控えめで、数少ない音で、それに勝るとも劣らない効果を上げており、全てが対照的だったのが印象的でした。ぜひもう一度、あの暖かい音色を聴きたいのです。・・・

 本日発送させて頂きます。

ジャズに恋して - in Love with JAZZ
まだ在庫ありますので、みなさんも是非♪♪

人口密度と環境

2006年05月13日 | 数の風景
 ニッポンイチの人口密度は中野区、次いで豊島区となる。この2区は数字以上に密度は多い気がする。TB記事にあるようにアパートや下宿が多い。住民票さえ移していない多くの学生まで含めればさらに跳ね上がるはずだ。
 ただ、密度と比例するようにその環境は悪いのかと言えばそうでもない。消防車も入れない(4mに満たない)道路こその安らぎがある。子供が道で遊ぶ。植木が道に溢れ、静かでとても暮らしやすい。そりゃぁ災害の時には危険かもしれないが、普段は間違いなく安全だ。まちをつくる尺度は一つではない。こういう場所は密集市街地として国は共同立替えを推奨する。僕たちの住む場所も密集市街地に指定されている。だが住民は誰も相手にしない。
 繰り返すが、ニッポンイチの人口密度を誇る中野区は、ほとんどの建物が既存不適格だろうが、かなり暮らしやすい町だ。建築基準法は誰のためにあるのだろうか。

命のスープ

2006年05月10日 | かめ バー
 『あなたのために』というスープの本があります。スープつくりに裏付けされた生き方の本みたいです。料理人の遺言のような迫力さえあります。著者は辰巳芳子、81歳。彼女を特集する番組が始まっています。NHK教育『知るを楽しむ』で5月に計4回毎週水曜日です。今夜はその2回目。かめバー推薦、ご賞味下さい。
 NHK知るを楽しむ NHK教育テレビ 午後1025~1050

 それだけスープにこだわるきっかけは?という聞き手の質問に、「スープで父の病気の相手をしたという、その時の手応え、手応えが私の思いを育てた。」と仰る(第一回放送)。手応えという言葉を2度繰り返すあたりの語り口がしみるんです。料理の素材にも言葉にも、実に「ていねいに」向き合っておられます。

空の値段

2006年05月08日 | 数の風景
 第3次産業は都市をほとんど埋め尽くす。サービス業、運輸業、通信業、金融業、都市をつくる金とモノと情報が人を追い越しつづける。成長するしか道はない。
 最近は空まで金に換えられるらしい。「空中権」と言うのがある。それを売買できる。いつの間にか建築基準法にも書いてある。つまり、そちらの容積が余っているから買い取って、こちらに上乗せして規制以上の高いビルを建てられるという仕組みだ。東京駅周辺のこの頃のバブリーな開発風景はこの適用区域ゆえだ。今年3月JR東日本はこの再開発を『東京ステーションシティ』と命名した。もう誰も止められない。歴史的建造物を守りつつ開発を進められるようにするという大儀だが、悪用されないことを願う。
 そして空の売買はこんなところでも始まっている。→PhilPark
 あなたならどこの上空に住みたいですか?

イエモン

2006年05月06日 | 見 聞
ある日のバス。女子高生の早口会話。
A「何聞いてんの?」
B「イエモン」
A「イエモン?」
B「知らない?」
A「知らねっ」
A「ていうか、お茶なら知ってる」
B「それ伊右衛門じゃん」
A「はははっ、違うの?」
B「イエローモンキー」
A「なにそれ?猿?」
C「カラオケ行く?」
A「イエスイエスイエス」

数の風景

2006年05月03日 | 数の風景
 東京に暮らし始めてから、人や建物の密度に驚く事が多いです。それもわかり切った事なのでしょうが、改めて客観的に考えてみてもいいかという態度です。
 数値(GNPや人口密度)から風景を推し量ってみたらどんな話になるか、という内容の記事がいくつかたまっているので、『数の風景』というカテゴリーで整理してみました。以下はその連載記事です。
 他にも、少々カテゴリーを小分けしました。

 ニッポンイチの風景/中野編
 ニッポンイチの風景/新宿編
 ニッポンイチの風景/続中野編
 ニッポンイチの風景/西新宿5丁目編

 ところで、住宅は余っている

 国内総生産的風景
 国内総生産的風景2
 国内総生産的風景3