かめ設計室*3丁目通信

2005年4月より、西新宿にて一級建築士事務所かめ設計室がはじまりました。3丁目からのかめバー通信。

甲府/桜座5月

2005年06月28日 | 仕 事
大まかな骨格と電気設備等の工事が終わると、飲食店部の自力工事が始まりました。カウンターにブロックを積み、材木を発注し、墨付け、刻んでゆきます。作業には元型枠大工の橋本氏とここの店長になる小沢氏が主力となり甲府の人々の手も借りながらコツコツと造ってゆきました。
店としても、初めから全てを設定して作り込んでいくのではなく、使いながら、(劇場の試行錯誤の変化の様に)変化・増殖・解体・成長していくような方針です。

甲府/桜座4月

2005年06月28日 | 仕 事
甲府の商店街の外れに建っているガラス倉庫だったこの建物は、クラブやスーパーなど様々に中身を変えつつ、そしてまた骨と皮だけになった姿で存在していました。
今日の劇場では、多様な使い勝手を売りとしながら、実は床には釘一本打てないような、立派で自由のない建築がほとんどです。この廃墟のような空間の自由さを武器として、このまま、又、試行錯誤し、そして少しずつ造りながら(又は壊しながら)、発信の場として使っていこうという桜座のプロジェクトです。
導入部に飲食店〈キャラバン・サライ〉が入り、6月25日の柿落としに向けて、最小限ではありますが、給排水、厨房、衛生等の整備をしていきました。

十勝の熱い夜

2005年06月27日 | あさやん
6月19日。帯広から車で30分。ひたすら畑をまっしぐらに走った田舎の万年公民館にたくさんの人がやってきました。公民館は森の中のようになり、爽やかな十勝も、ジャズと酒と皆熱くなりました。
「今夜こうして皆が集まってくれたのも、うまい酒が飲めるのも、楽しくジャズが聞けるのも、全てオレのおかげ。」と、動かない指に重力をかけながらもとても熱い音を聞かせてくれました。
帯広のジャズシーンに大きな影響を与えてきたあさやんは、前々から皆からCDづくりをせがまれていたのですが、本人はそういうの大嫌いで、今までの音はほとんど残されていませんでした。メディアに出て有名になっていくジャズマン達と違う、ジャズの生き方をしてきたあさやんを、今回は強引に説得し、廻りが勝手に動き、録音ライブまでこぎつけたようです。
12月に発売するCD(限定発売)制作にもかかわっていきたいと思います。かめ設計室でも予約受付ますので是非お早めに。

あさやん

2005年06月24日 | あさやん
十勝であさやんに会って来ました。
万年公民館でのジャズコンサートもありました。
秋にもう一度ライブをやって、それと一緒にしてCDを作るそうです。
クリスマスにはCD発売に伴うコンサートも予定しています。
ジャズや音楽の事はほとんどわからないけど、
あさやんとその仲間たちの間にある演奏中の呼吸(息)は、
集団で設計する事を学んだ僕たちの、それはもうあこがれですね。

素敵なあさやんの言葉です。

「音楽が好きだ、ジャズが好きだ、ラッパが好きだ、っていうのと、
 うまいもんが好き、酒が好き、女が好き、っていうのと、ちょっと違って、
 音楽とかラッパとかジャズっていうのは、大事なんだよね。
 もうちょっと大事なんだよ。」

ひかり保育所

2005年06月21日 | 建 築
象設計集団在籍時(2001年)に担当していたひかり保育所です。十勝に行くと必ず訪れる大切な場所です。自力建設、ワークショップ、直営工事、古材使用といろいろな試みをしましたが、何より施主である渡来さんが、未だにこつこつ建物に手を入れ続けている事が、この場所の魅力です。今回訪れた日も、足場を組み上げて塔から飛び出した見晴し台を作っていました。あれから4年がたとうかというのにまだ足場がかかっています。

この建物は渡来さんの保育精神が立ち上がったものだと感じます。しかし渡来さんは「ひかり保育所には、保育理念や保育目標はない」と言います。その訳は「私達が子供と接してきた中で、何が一番子供にとって良いことなのか、良い保育なのか、常に考えているものの、今だ結論に達せず、今後とも結論は出ないと思っているから」だと。だから、建物も未だに作り続けられているのかもしれません。
詳しくはひかり保育所ホームページをご覧ください。(ブックマーク参照)

建物を訪れた人は皆、驚きと感動を受けていくのだとうれしそうに話してくれます。感動を与えられる場所づくりは、かめ設計室の何よりの目標です。「ここの保育所を巣立った子どもたちが、どんな人間になっていくのかが、一番の楽しみです」と良枝先生はおっしゃっていました。同じ気持ちです。

十勝/いつもの風景

2005年06月21日 | 
事務所は廃校になった小学校を借りています。若者達は同じ敷地に建つ元教員住宅の宿舎からグランドをてくてく歩いて事務所に通います。
東京の人混みや、高層ビルや、地下鉄や、こまこました住宅地で暮らしていて、一年ぶりにこの地に立つのに、なぜかいつもの風景です。おおきい・ちいさい・ひくい・たかい・ひろい・せまい・とおくてちかい・ちかくてとおい、、、みんな逆転します。

十勝/広い空・広い心

2005年06月20日 | 
松山千春の歌ではありませんが、十勝特集をしばらく書こうと思います。10年程を過ごしていた場所には、「帰る」という感覚に近いものがあります。「帰る」ところがあるというのはとてもありがたい事だと、つくづく感じます。
大好きな人たちと会ってきました。標茶から会いに来てくれた大島君夫婦。樋口さん。あさやん。ママ。レイ子さん。ひかり保育所の渡来さん。棟梁。とおるさん。たけみ。みのるさん。まっちゃん。のぶさん。みつるさん。きみちゃん。・・・十勝の人は感情をストレートにあらわしてくれるのでとてもさわやかです。出会った時も、別れる時も、手を握り、抱き合います。こっちは泣きそうになるのに、笑顔です。
写真のような場所と、東京とでは、人びとの作法もテンションもやっぱり違うんだろうな。

空間に恋して

2005年06月15日 | 建 築
そういえば象設計集団の本『空間に恋して』を、かめ設計室でも販売しております。私たちが関わったここ10年の十勝での活動もこれに詳しいです。知人でまだ持っていない人は、酒持参で買いに来てください。おいしい料理でお迎えします。どうぞ、かめ共々象も今後ともよろしくお願いします。
というのも今週末、久しぶりに里帰りのごとく、十勝へ行って参ります!

梅酒

2005年06月12日 | かめ バー
よい季節になり、八百屋さんの野菜もどんどん安くなってきた。黄色く熟れかかってきた甘酸っぱい香りの良い梅を買い、焼酎&ウオッカに漬け込んでみました。
晩夏には梅酒がバーに並びます。お楽しみに。

天津飯

2005年06月12日 | かめ バー
大根の皮の酢醤油付け、串揚げに続き、天津飯も隠れた定番メニューのひとつです。トロ~リあんかけ。幻の一品まであと一歩!

現場から学ぶ

2005年06月12日 | 仕 事
早川町の温泉現場に行っていました。オープンを2ヶ月後にひかえ、現場では様々な職種の人たちが動いています。とは言え小さな現場なので、各業種とも一人か二人です。基礎工事から始まり、最後の家具や塗装に至るまで、業種と性格の相関を感じる事は少なくありません。
今回、建具は全て木製にしたので、建具工事が多くあります。建具屋は、66歳と61歳のコンビです。二人ともの家も訪ね、教わる事も多く、親しくさせていただいています。とても細やかに、誠実に、こんな若造にも接してもらっています。ありがたい事です。
先日も仕事場を訪ね、駅まで送っていただく車中、家族の話しや仕事の話などしていましたが、駅に着いた時に思いも寄らぬこんな言葉をかけられました。
「人生がんばっていたら、必ずおテントさんがちゃんと見ていてくれるのよ。あんたもダイジョウブだ。」現場から学ぶことは、建築の事だけではありません。

田中泯独舞『赤光』

2005年06月07日 | 見 聞
また泯さんを見に行った。興味の尽きない人です。『赤光』とは斎藤茂吉の処女歌集。
松岡正剛が8首を選歌。太鼓の大倉正之助。能管の一噌幸弘。田中泯の独舞。

斎藤茂吉と言えば、
「死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる」
「のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳ねの母は死にたまふなり」
が有名ですね。大正2年、茂吉は母の危篤の知らせをうけて山形に帰郷、その死を歌って『赤光』は生まれています。
日本語はとても豊かで「しんしんと」などのオノマトペがとても多い。男は「うじうじ」して、女は「さばさば」し、太陽は「きらきら」光り、雪は「しんしん」降る。梅雨は「じとじと」して、雨は「しとしと」降り、「ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん 」となる。去年こんな話を、桃花村で泯さんと話した事がありました。舞台の泯さんは、日本語が音にならない音を言葉にするように、音にならない言葉にならないところを、身体が踊っているのかもしれません。

山梨の小さな温泉

2005年06月06日 | 仕 事
早稲田大学の研究室に所属して進めている山梨県早川町のプロジェクトです。現在、工事の現場監理を隔週で通っています。今年の夏にはオープンというスピード仕事です。添付写真は、地元産経新聞で紹介された記事です。
まず早川町という場所が魅力です。96%が山。人口密度は4人/km2。これは縄文時代の人口密度、つまりほ乳類の生息密度にほぼ等しいようです。ちなみに日本で最も密集している市区町村は、かめ設計室の窓から見える風景、中野区で2万人/km2です。縄文と21世紀。5千倍。ここを行き来する感覚はなかなかすごいです。ぜひ、温泉につかりに来てください。

メゾンドヒミコ試写会

2005年06月03日 | 見 聞
この秋公開の映画、犬童監督の『メゾン・ド・ヒミコ』の内覧試写会に六本木に出かけました。田中泯さんが出演している関係で招待いただきました。製作にあたったアスミックエースの小さな試写室でしたが、映画製作の舞台裏にほんの少し近づけた気がしました。主演のオダギリジョーにも会えたし。
主演は、オダギリジョー/柴咲コウ/田中泯ですが、舞台となったゲイの老人ホームの人たちもよかった。
そして、この映画のプロデューサー小川さんのこんな言葉が印象的でした。
「人生がそうであるように、その道程でさまざまなことを体験するうちに何かがわかってくる、そんな映画づくりがあってもいいのではないかと思います。わからないものに触れようとすること、他者とその場所にいっしょにいること、経験をすること。それがこの映画のテーマとも重なると考えます。」

クリープ階段

2005年06月01日 | 建 築
クリープを入れたコーヒーカップみたいな写真は、丹下健三設計の山梨文化会館のコアに内蔵されている階段を最下階から見上げたものです。左回り(半時計回り)で昇っていきます。この左回りというのが気になって記憶の限り思い浮かべても、トラック競技もフィギュアスケートもハンマー投げも野球もかめ設計室のあるマンション階段も全部が左回りです。
らせん階段で思い出すのがU研究室の海星学園。「階段は意思だ」と言った松崎さん(U研)が書いたらせん階段を見てみたら、なんと右回りでした。ここにどんな意思を込めたのだろう?気になって仕方ない。
(H)