かめ設計室*3丁目通信

2005年4月より、西新宿にて一級建築士事務所かめ設計室がはじまりました。3丁目からのかめバー通信。

ハンマー投げと建築と

2007年08月28日 | 見 聞
 世界陸上のハンマー投げを見て,つい力が入った。室伏は残念ながらメダルに届かなかったが、そもそもただただスポーツを見るのが好きなので、結果はあまり気にしない。最近の結果偏重のメディアには全く感心しない。
 ハンマー投げは、遠心力を利用して遠くに玉を飛ばす。遠心力を大きくするには、同等の求心力が必要だ。そのバランスを間違えるからみんな体が振られて、ファールになる。

 馬場璋造さんが、建築のアイデアコンペのコンセプトづくりを、ハンマー投げみたいに例えていた。糸の先に付けた玉を振り回すとき、糸は長くするほど遠心力は強くなる。しかし長くして回転が早くなりすぎると,糸は切れて玉は飛んでいってしまう。コンセプトづくりもこれと同じだと。飛んでいっちゃうくらいの危うさをもった案の評価は高いのだそうだ。飛んでいってはいけないから、ここでもやはりそのバランスが問われる。

 室伏はこの遠心力と回転スピードの危ういほどのバランスを武器に世界で勝負している。ファールは一度もなかったが、遠くへ飛ばなかった。ぎりぎりの勝負なんだろう。引きつける力とスピードなら往年の千代の富士もよかったか。飛んでいっちゃう朝青龍と引きつける側のバランスが崩れると、引きこもるしかないというのも何とも現代的だ。

[かめ設計室]HP

多重脳

2007年08月24日 | 見 聞
 ヒトの脳には3つの部分があって、は虫類恐竜時代の脳と、下等ほ乳類時代の辺縁系脳と、新皮質と呼ばれる発達した前頭葉を作っている部分とが、ドーナツ状に折り重なって進化しているということになっている。
 は虫類恐竜時代の脳は、攻撃行動やナワバリ争い、儀式的行動に関わるらしい。また、精神薬やサイケな薬などの多くは、辺縁系の脳に働くのだそうだ。

 突然凶暴になったり、まじめな事を考えていても下半身が別人格だったりするアンバランスな感覚は、何も僕だけではなく最初から頭がそういう事になっているのだと知ってちょっと安心したりして。誰にでも何億年もの記憶が詰まっていると思えばワクワクする。

[かめ設計室]HP

高層ビルは好きじゃない

2007年08月21日 | 見 聞
 高層ビルは好きじゃない。だけど西新宿の高層ビル群はデザインも重さがあって、割にいい。足下の大ケヤキの木陰を自転車で駆け抜ける。その時の風は、上京した田舎者の都市生活気分をささやかに満たしてくれる。道路幅が広く、建物は人間スケールを超えて、はっきりと人間を排除している。どうせ高層ビルを建てるならこのくらいが潔くていい。汐留や品川なんかは混みいりすぎて全然ダメだ。高層ビルは全く好きじゃない。
 ところで我が家から見えていた都庁が、間もなく隠れてしまう。住民反対もむなしく、どうしようもない高層ビルがすぐ近所に建ってしまうからだ。ダウンタウンな3丁目にいきなりの高層ビルは合法的テロか。今日もまた少し西新宿が消えていく。

[かめ設計室]HP

標茶の家、終盤

2007年08月12日 | 仕 事
 仕上工事に入ると現場は待った無しの状態になる。棟上げから下地工事に至る過程では、先延ばしにしていたことも全部決定しなければならない。
 今回は足しげく現場に通ってくれるお施主さんで、いろいろと設計者と一緒に考えていただいた。棚の高さや奥行き、タイルの色や建具の金物、洗面器や照明器具、スイッチの位置まで一緒に悩んだ。仕上工事も終盤に差し掛かると、家が出来てくる喜びと反比例するように,家の事をあれこれと考える楽しみが減っていく。これが何だか寂しいんだよ、とお施主さんが言っていた。

 今日、新宿三越の閉店時間にたまたま居合わせた。閉店を知らせる音楽がかかる中、ジュンク堂で本を探していた。上階にある事がわかり急いでエスカレータで上ろうとすると、上りのはずのエスカレータが下っている。おかしいな、と思いながら反対側のエスカレータにまわると、そこも下りエスカレータだ。なるほどとは思いつつ仕方なく下りしかないエスカレータを下りながら、僕も何だか寂しかった。

現場写真アップ→[かめ設計室]HP

売春捜査官2007 黒谷友香バージョン

2007年08月08日 | 見 聞
 「今、義理と人情、そして正義は女がやっております!」

 何をそんなに、つかこうへいなんだ、自分でもそれを確かめるようにまた足を運んでしまった。
 『熱海殺人事件』の2007年バージョン『売春捜査官』は新宿紀伊国屋ホールで黒谷友香も熱演中。売春する女刑事。ホモの部下。女子アナ。在日朝鮮人。まだまだ閉鎖的な男性社会に生きるゴタゴタの人間たち。

 「だから、何を勘弁すりゃいいんです。60億とも言われる人間がこの広い地球に生まれ、ふたり出会い、たかだか6、70年生きていくのに、死ぬほど愛してくれるか、殺すほど憎むかしてくれなきゃ女はやってられないんだ!あたしゃ裸でも何でも好きにしてくれって言ってんのに、何を勘弁すりゃいいんです!」
 男が情けなくなり,女は元気になるという時代認識はどうも違うらしい。男が冴える時,女は凛とする。女が美しい時,男は立つ。つかさんの叫びだ。そんな男と女がいつもどこか孤独であるとは、阿久悠も歌にしたことだろう。

[かめ設計室]HP

俺たちの歌

2007年08月06日 | 見 聞
 子どもの頃、暇で暇で仕方がなかった。遊んで遊んでまだ遊んでも埋め尽くせない時間が余っていた。大人はどうしてそんなに忙しいんだとうらやましく思っていたことを今でも思い出す。余った時間をどうすればいいんだと、ぼーっと家の暗い天井を見上げながらボールを天井に当たるか当たらないかのぎりぎりに向かって投げては掴みまた投げていた。子どもこそが哲学者だ。
 実は大人も大した事はしていない。忙しくしているだけでそれが有意義かどうかは別問題だ。
 ずっとこうしていたいと思いながら、明日のため体調のためにと家路につくテイタラクではありますが、今年も打ち上がった電光石火の茅ヶ崎花火と俺たちの歌、ありがとうK君と愉快な仲間。

阿久悠への手紙

2007年08月05日 | 流行建築通信
 あなたが歌に時代を重ねたから、その歌はもう一度時代を逆照射できる。建築の立場から、そんなつもりで書いた11枚の手紙。あれから35年、街は今では山本リンダがいっぱいですものね。

かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信1/透明人間
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信3/UFO
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信6/ペッパー警部
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信14/サウスポー
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信15/サウスポー 続編
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信16/S・O・S
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信17/ウォンテッド
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信19/じんじんさせて
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信24/カサブランカ・ダンディ
かめ設計室*3丁目通信 流行建築通信26/バス・ストップ
かめ設計室*3丁目通信 『どうにもとまらない』