かめ設計室*3丁目通信

2005年4月より、西新宿にて一級建築士事務所かめ設計室がはじまりました。3丁目からのかめバー通信。

川と山と島

2005年07月29日 | 仕 事
設計で考えた事をもう少々。
・敷地の環境(背景となる山々と早川)に生かされるように建物は、開放的で、小さくあること。
・敷地にもともとある木々(サクラ、イロハモミジ、アカマツ)をなるべく残すこと。
・建物はなるべく木々と調和するように配慮すること。
そのために建物の配置と大きさ、高さにいちばん気を使いました。建物は3棟(管理棟・石と木の温泉)の分棟型にして敷地に配置する。3つの棟は内庭と外庭を持つようにする。まず最初に、敷地にある木を残して庭や風呂の位置を決めてから、建物の位置を決めた格好になります。
この場所は、早川町西山の湯島という地名です。文字通り、川があり、山があり、そして湯が沸き上がる島を。ここの地名のように、この環境(川と山)に浮かぶもう一つの環境(湯の島)をつくりたい。と考えていました。

掛け流しの温泉

2005年07月28日 | 仕 事
西山温泉郷・湯島の湯は、間もなくオープンを迎えます。早川町西山は、さらに奥の奈良田とともに昔から湯治場として栄えた所です。ここに源泉温度44度湯量毎分250リットルという絶好の温泉が出ました。ここで町は温泉施設の指名コンペを開催。当案が選ばれました。
ここ西山温泉の設計で考えたことを少々。
・なるべく温泉の原点に帰ること。
・温泉は湯量、温度とも掛け流しに最適ですから、
 とにかく涌かしも冷ましもしないこと。
・シャワーやカランなどもつけないこと。
 これは温泉作法の問題です。
・お湯が目に見えて敷地を巡ること。
 温泉が涌き、流れ、溜まり、また大地に返る。
これらは湯樋というアイデアによって実現しています。湯樋を通すことで温度を最適にしよう考えました。写真は洗い場を通っている湯樋の様子です。通常カランやシャワーなどがあるところです。湯樋から杓でお湯をくみ出して使います。この樋が敷地を巡り、外の浴槽に流れ込みます。44度だった温泉が浴槽内42度となりました。
チャラチャラ流れるお湯の音が、環境を少し変えられたかなぁと思っています。

剣持勇と親父の椅子

2005年07月22日 | 籐 の椅子
親父が作った籐の椅子です。彼は僕の小さい頃から籐の乳母車を作り続けていました。関東ではあまりなじみが無いらしいが、関西や東北では農家に一台かならず籐の乳母車はありました。畑仕事の間、赤子は乳母車から空だけを見上げて過ごします。こんな郷愁をさそう乳母車は、やはり時代の流れにのれませんでした。円高により東南アジアの籐製品が安価に輸入されました。それでも作り続けていましたが、さすがに需要は途絶え、滋賀県で最後の籐製品製造業者としての看板を下ろしました。誇りに思います。
引退した彼に、剣持勇の『籐の丸椅子』の試作を依頼しました。MOMAの永久コレクションに選ばれた日本人初の作品です。実はこの椅子を作れる職人は日本でただ一人なんだそうです。それを聞いて、もしや?と試してみたのです。雑誌にその制作過程が紹介されていたので、それを参考に、図面はありませんでした。もともとこの椅子には図面は無いそうです。2日でこんな試作品を仕上げました。そのスピードと感覚には改めて脱帽です。
籐は水に浸しておくと,水を吸い上げよく曲がる。火をかけても同様です。その強さとしなやかさは竹をしのぐと思います。籐という素材の建築への応用は僕の宿題かもしれません。いずれにせよこの剣持の籐のスツールは、職人がいなくなれば値段が高騰するはずですね。今でも定価は16万くらいするようです。LIVING DESIGN CENTER OZONE - ラウンジチェア

沢田マンション物語

2005年07月19日 | 建 築
商店街の近くに新しくマンションが建った。工事中の看板には“フランス人建築家の設計によるマンション”という、おかしな売り文句だったが、完成したので見に行ってみると、意外とよかった。何が良かったのかというと、建物が敷地や道の境界線から退いていて、上層はセットバックしていて、廻りのスケールに馴染ませようとしていること。商店街に続く道に面して植裁されていたこと。各部屋のテラスがとても広いこと。様々な大きさの特徴のある部屋がつくられていたこと。そんなことだ。そんなことが、なかなか他では出来ていない。未だに箱形&ビル型マンションがガンガン造られているのだ。
マンションに暮らすということは、実はたくさんの自由が束縛されている。生活にひろがる地面がない。高層になると自分の足では地上に降りられない。はやりの間仕切りのない広い空間も結局は空間を均質化していき、お隣さんと顔をあわせるのもたくさんの同じドアが並ぶ無機質な廊下である。感覚は麻痺してこないだろうか?人々の暮らしが、たくさんの同じドアの並ぶ箱の中に閉じこめられている。。。
そんな事を考えながら、もっともっと人間的な自由で豊かなマンション構想を頭の中で想い描いていたら、この本に出会った。
この人達は夫婦二人の自力工事でマンションを建ててしまうというすごい人物なのだが、それにも増して、マンションが生き生きとしているのがもっとすごい。これは人々が生き生きしている証だ。これが暮らしだ。
負けずにこんな皆が楽しく暮らせるようなマンションをつくりたいものだ。

かめ設計室・夏

2005年07月18日 | 仕 事
最近の設計活動です。

1)現場監理をしていた甲府の平成桜座、飲食店も7月にオープン。(山田)
  こちら桜座公式ページもご覧ください。

2)早川町の西山温泉湯島の湯がお盆にはオープン。掛け流し温泉です。(羽渕)

3)熊本の住宅は、実施設計の真っ最中。お盆までには・・(山田、羽渕、難波、酒井)

4)北海道にてアイスホテル建設!プロジェクト共同参加。(山田、羽渕)
  
  

『猫額洞』

2005年07月16日 | 見 聞
かめ設計室からほど近い中野区の川島通り商店街に、よく立ち寄る『猫額洞』という古本屋があります。名前の通りの小さな店に入った時の,店主と客との距離感が何とも言えない。本屋に行く時は欲しい本があって行く事が多いが,古本屋に行く事にそういう意味での目的は無い。実にふらりと入るのだ。その体内空気と時間を楽しむだけで出て行く事も多い。失礼な話です。
ここの店主の世界観に近しいモノを感じていましたが、このたびひょんな事から中野区の古書『猫額洞』のホームページとリンクさせていただく事になりました。この中の、『猫額洞の日々』というコラムに象設計集団に関するコメントいただいています。
ドーモアラベスカ(象設計集団設計の住宅)の住人は多くの本と多くの猫に囲まれて暮らしています。しばらくの間そこから象の東京事務所に通っていた時期がありました。多くの教養と多くの猫に驚いた事を思い出します。本好きは猫好きなのかな。

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もうすぐ竣工検査

2005年07月13日 | 仕 事
西山温泉は、昔の中学校跡地に建っています。校舎はもう無いけれど,体育館と広いグランドの脇が敷地でした。教員住宅のような宿泊棟もグランド脇に出来ています。新築工事にしてはなんとも貧相な立地なのが残念だったのですが、迫りくる山やまと眼下の早川に呼応した建物をつくることにしました。
川側にある露天風呂とその周りの植栽の工事が少しずつ進み、現場もようやく落ち着いてきました。職人さんも工事の峠を越えたような満足感で、気分よく働いているようにみえました。誰よりも棟梁はこの建物をとっても気に入ってくれています。来週は設計者の竣工検査です。

あんずジャム

2005年07月10日 | かめ バー
日曜日。近所の川島通り商店街に,ジャムの材料を買いに行く。梅が欲しかったけど既になく、この季節には代わってあんずが並んでいました。まずは、あんずといちごをジャムに、なんちゃんウメジュースに習って、あんずジュースを仕込みました。明日はリンゴをジャムにしよう。ジャムにすると酸味が強くなって、疲れを取ってくれそう。
梅雨が開けたら、かめの飲み会をやろうかと話しています。それに向けての買い出しや仕込みに余念はありません。このブログみんな見てくれてるかな?おーい、いかがですかぁ?

西山温泉まもなく

2005年07月06日 | 仕 事
今月末に竣工を迎える早川町の温泉現場です。南アルプスの懐に立つこの温泉、実は浴槽は露天風呂だけなのです。早川町は人口1600人程度。にも関わらずこの合併の嵐の中、町単独で生きる事にしたのです。だからと言うのか予算もあまりなく、内風呂つくる前に露天風呂だけ作ってオープンしちゃおう、という英断なのです。すばらしい!
4坪の管理棟、4坪の脱衣場がふたつ、それに洗い場がついた小さな施設です。早川という川の上流に面して建っており、その川向こうには緑豊かな山やまが壁のようです。本当はそんな写真で決めたいところですが、写真はアプローチから右手に管理棟を,左手に脱衣場を見ています。実はこの奥の外構(露天風呂周り)部分が、もう石工事、木工事、植栽工事と梅雨とで、ぐちゃぐちゃでまだ見せらないのでした。残念。
また明日から現場に行ってきます。

リフォーム

2005年07月04日 | 仕 事
わがマンションの2階ワンルームが空いて、リフォーム工事が始まりました。
誰か仲間が引っ越して来たら近所付き合いができますね。
都心に部屋を探している方、いかがですか?(このブログ誰が見てるんだろうな)
家賃は7万くらいか。たぶん30m2くらいで、2面採光でベランダ付き。玄関入ってまず風呂、右に進むと真ん中に台所、その左右に二つの居室というユニークなプラン。タイル張りのやたら大きな風呂が自慢だったけど、今日見たらユニットバスが入っていました。
以前階段でオーナーと会い、これからリフォームするんだと話を聞きました。あんまり予算がないとのことだったので、設計しましょうかとも言えずでしたが。
そういえば向かいに建った5棟の建売住宅も未だ3棟は売れず、売り手も苦労している様子。これも元あった豪邸を解体するところから見ていますが、こんなに近所で建築工事がいろいろあるのに、窓から毎日眺めるだけで、何もする事が出来ないと言うのも残念な話だなぁ、と、そんな事を考えながら、また今週も遠く山梨のそれぞれの現場に通います・・・・・

甲府/桜座6月

2005年07月02日 | 見 聞
6月25日、桜座柿おとしを迎えました。洗い流した砂利敷きの上、古在の木を磨き椅子として並べる等の準備が行われました。チンドン屋が街を練り歩き、立ち見満員御礼の中、武田朋子さんの能管・篠笛、藤井弘樹氏指揮のコーラス、ジンタらムータのチンドン、田中泯氏の舞踏、中沢新一氏の講演や地元の方の昔の桜座話等、様々なジャンルで刺激的でした。
ほとんどがマイクを通さず生音のままで、お客さんも耳を大きく開いて集中しながら演じ手と客の間にも緊張感のある空間です。これぞ芝居小屋!