KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

The Clashの学習(4)

2007-03-11 22:45:08 | MUSIC
しばらく中断していましたが、The Clash学習の4回目です。取り上げる作品は「London Calling」。名盤です。



「London Calling」は'79年12月にUK、翌'80年1月にUSで発売された、Clash 3作目のアルバム。前作に比べ、セールス的にも躍進した作品です。2枚組みのアルバムですが、1枚組みの価格で発売されたとのこと。自分たちのミッションはレコード会社のお偉方に金を稼がせ喜ばせることではなく、ファンにできるだけ多くの音楽を届けること、というのが彼らの考え方だったということです。なかなか偉い。

まずジャケットが印象的です。Paul Simononがベースをステージにたたきつけようとする一瞬の写真を使ったもので、青春時代のやり場のない焦燥みたいなものがよく出ています。このままじゃ行き場がなくて、何をやってもうまくいかない、自分の未来にゴメンネといった感覚でしょうか。フォトグラファーはフォーカスが甘いので使いたくなかったそうですが、Joeがこれしかない的に説得したとのこと。その結果、PUNK MUSICを象徴するようなジャケットになりました。

楽曲的にはより多彩なスタイルになって、洗練されてきています。ROCK'N ROLLあり、60年代風POPチューン、SKA、HARD ROCK、REGGAEありと、なかなかイカしております。歌詞は政治性が強くなっているのでしょうが、表現がどちらかというと思索的・抽象的になってきて、ちょっと難解な感じがしました。スラング系の言い回しがわからず理解できてないのかもしれませんが。このあたりはミッキー森脇氏の解説が欲しいところです。

NAPSTERでは全曲連続ですが、発売時は

Side one

1. London Calling
2. Brand New Cadillac
3. Jimmy Jazz
4. Hateful
5. Rudie Can't Fail

Side two

1. Spanish Bombs
2. The Right Profile
3. Lost in the Supermarket
4. Clampdown
5. The Guns of Brixton

Side three

1. Wrong 'Em Boyo
2. Death or Glory
3. Koka Kola
4. The Card Cheat

Side four

1. Lover's Rock
2. Four Horsemen
3. I'm Not Down
4. Revolution Rock
5. Train in Vain


という構成でした。


London Calling

アルバムのタイトル曲であり、Clash自身の代表作の一つでもあります。終末観、預言的な雰囲気を持った曲です。「London Calling」とは第二次世界大戦中BBCがstation identificationに使用していたフレーズとのこと。

London Calling 遠い街へ
宣戦が布告され 闘いが街にやってくる
London Calling 地下世界へ
戸棚から出てきなさい 少年少女よ


といった歌詞で始まり、終末的な心象風景が語られていきます。背景には'79年にあったスリーマイルの核施設の事故に起因した終末的世界観があるそうです。また、PUNKブームが去ってビジネス的にうまくいっていない当時の彼らの状況も、歌詞のトーンに影響しているとのこと。
曲調はREGGAEのベースラインにPUNKっぽいギターが絡むというもので、Joeのボーカルもどこか悲壮さが漂う感じです。

Rudie Can't Fail

SKA風の曲。歌詞はよくわかりませんが、下品で無茶苦茶で役立たずだけど自由に生きたい。だけど、それは困難なことだ。といった感じかな。

Spanish Bombs

スペイン内戦をテーマとした曲。

「人々を自由に」
'39年のあの日からのこだまが聞こえるか?


Clampdown

「Clampdown」とは何でしょうか。Yahoo辞書を見ると、断固たる取り締まり、法律[条例]の厳格な施行とあります。非寛容な体制といった意味でしょうか。
歌詞は色々な解釈ができるようで、一説にはナチのことを歌ったものだといいます。

彼のターバンを取り去って、彼らは言った この男はユダヤ人か?
彼らはClampdownのために働いている
彼らはポスターを貼る 私たちはあなたより収入がよい
私たちはClampdownのために働いているから


こういった歌詞がナチの世界を彷彿とさせます。
また、別な解釈では資本主義経済を歌っているという説

君は成長し穏やかになった
そしてClampdownのために働いている
君は青と茶を着始める
そしてClampdownのために働いている
君は誰かをボスとして
そのため、自分が大きくなったと感じる


青と茶がビジネススーツを連想させ、自分を殺してよい仕事、よい地位を求めることの非人間性を歌ったといった感じでしょうか。

Joe Strummerは外交官の家に生れ、中産階級として育ったものの、そんな自分の境遇に反発して、自他とも認める社会主義者として発言していました。そういった彼の価値観、政治観が表現されていると考えてよいでしょう。

曲調としてはHARD ROCKっぽい重厚な曲です。

Koka Kola

Koka Kola advertising and kokaine
Strolling down the Broadway in the rain
Neon light sign says it
I read it in the paper - they're crazy!


こちらも資本主義への批判が読み取れます。「Koka Kolaの広告とKokaine」というのはちょっと刺激的です。曲としては正統派PUNKっぽい曲調です。

Revolution Rock

REGGAE調の曲。

革命ロック それはできたての新しいロック
悪い、悪いロック こいつが革命ロック

皆は君の席を粉々にする そしてこの新しいビートにロックする
この音楽がこの国をすりつぶす
この音楽がセンセーションを引き起こす
ママとパパに言いな すべてはうまくいくと
感じないかい? 無視はできない
うまくいく


このアルバムの曲はほとんどJoe StrummerとMick Jonesが書いていますが、この曲はEdwards/Rayとクレジットされています。誰だか知りませんが、70-80年のペシミスティックな楽観主義みたいなもの(?)が出ていて、やっぱREGGAEだよね、といった感じでした。

以上、「London Calling」を聞いてきましたが、音楽的にはPOP化していくものの、メッセージはどんどん政治的になっていくThe Clash。まだこの頃は時代とマッチしていたんでしょうか。80年初頭、日本はもう政治の季節は終焉し、おちゃらけた感じになっていましたが、イギリス、ロンドンはまだ燃えていたのでしょう。ただ、この後党派性みたいなものが出てきて自家中毒してしまう運命にあるのではないか、次回はそのへんを学ぼうと思います。

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