日本の美を伝えたい 鎌倉設計工房の仕事 524
■ECC Venezia国際建築展(5月~11月Veneziaにて) 参加してNo.2
(ECC国際建築展は大学や会社、個人のアーティストが対象、
国単位で開催されるベネチアビエンナーレの一環として、同時に開催)
http://timespaceexistence.com https://www.instagram.com/ecc_italy/
展示会場Palazzo Bembo(ギャラリー#20に展示) の紹介は
⇒https://ecc-italy.eu/locations/palazzobembo
そもそもECC Italy(ECC―European Cultural Centre)とは、
馴染みがなく、一昨年、招聘の案内を受けたときは戸惑った。
参加するにしても準備や費用、コロナ渦での開催有無など、
決断が必要だった。決め手となったのは以下の招聘理由
「 鎌倉設計工房の場合は添付の様な建築が ECC チームから注目されました。
(現在Veneziaで展示中の画像,添付のもの)また、べんがら顔料の使用や
日本の伝統+現代のミックスもとても興味深いポイントと考えられます。
今年の展覧会では特に持続可能性、斬新的な素材、そして自然環境と
の相互関係が課題にもなっています。
藤本様のアプローチは私たちが企画している展覧会に適している
と評価されました。鎌倉設計工房の建築スタイルや素材は
外国人の観賞者の興味を引き、ベネチアの国際建築展にて是非とも
紹介させていただければと考えております 」(原文のまま、記名の招待状は英語)
そうか、そういえば、私たちのクライアントには、
海外での生活体験が長かった方や、ご夫妻のどちらかが外国の方であることが度々ある。
海外の方の方が日本の文化を深く見、美意識を育んでいるのでは?
と思うことも。
そのように感じ始めたのは北鎌倉に福井県の古民家を移築再生した
「北鎌倉古民家ミュージアム」にかかわった2000年以降のこと。
今日、和風の感覚であれば木部は素木(塗装をしない木)のままにするのだが、
この時は江戸時代の古材と色感を合わせる為、新材にはべんがらを塗った。
天井一面塗りたくったところもある。すると移築前の「古民家時代」の
縄文的な力強さが現れていた。
赤いべんがらに墨を混ぜ木部に塗ると、独特の陰影を持つ濃い紫となる。
重伝建調査の学生時代以来、決してなじみがなかったわけではないが、
今更ながら光の当たり具合で変化するその魅力に取りつかれた。
弊社のHP(https://www.kamakobo.com)を見、
果たしてECCもその魅力にきずいたのだろうか?!
思うに伝統的素材べんがらの使用は木造の魅力を引きだすことにある。
木を活かすには素木にすればよいとは限らない。
通常は壁や天井の中に隠れてしまう柱や梁、細かな根太、
屋根組の母屋や垂木などを現し、そのまま見せてべんがらを塗る、
すると柱や梁の角がシャープに見え、
光の当たる面の裏側におぼろげな影ができる。
光によって杢目が浮き上がる幽玄味もある、
つまり「モダニズム+伝統のミックス」そのもの。
その点が木造である事とともに持続可能性と映る。
べんがらに焦点あて、今の感性で空間を構成してきた。
今後も日本の力強い美を掘り起こし
、空間に反映してゆく事に力を注いでゆきたい。