日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 292
「数寄屋ルネサンス」
天井板の他に
今回のプロジェクトには
水屋があるので
塗り壁下の腰板も
合わせて選んでいます。
1ミリ以下の厚さしかない貼り物の板と異なり
3センチ厚の無垢の杉板は森に立っていた頃の風格があります。
水屋の正面と両脇の三方向に腰板を使用します。
三枚に切り落とすので、もったいないのですが、
一枚板から取ると、三方向の木目の流れが自然なものとなります。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 291
「数寄屋ルネサンス」
周囲はテーブルにしたいような
材木ばかりです。
が、それはひとまずおいて
そこに杉棹縁天井板を立てかけ
垂直方向の木目を合わせるべく、
組み合わせを考えます。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 290
「数寄屋ルネサンス」
前回のブログ写真で
天井板に使われていた杉材です。
場所は東京デズニ―ランドにちかい
浦安の木材センター。
問屋さんがいくつか集まっています。
目当ての問屋さんにはなく仲間の問屋さんから出てきた
材料をいただきました。
秋田杉のうづくり源平仕様のものです。
木目には固い冬目とやわらかい夏目がありますが
やわらかい夏目をワイヤーブラシ等でこすりへこませ、
固い冬目を浮き上がらせ、木目を強調した作りです。
源平とは、木目の赤い部分(赤味)と白い部分(白太)
分かれている材料の事です。
写真では板の中央部が赤味、端部が白太になっています。
板の厚さは7mm、幅は30㎝、長さは190㎝
このままですと表面の板の表情はわかっても
その下にどの様な材料が重ねられているかは不明。
そこで梱包をといで並べることにしました。
それは次回に。
なお浦安の近く有明の東京ビッグサイトで
本日まで
インバウンドJAPAN2017が開催されています。
当社もそれに出展し、和風の旅館や民泊の参考になればと
活動を展開しています。
大きなイベントですのでセミナーも同時開催されており、
昨日は外務省が行っているJAPAN HOUSEの
パネルディスカッションがあり聴講してきました
ついでがあればお立ち寄りください。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 289
「数寄屋ルネサンス」
前回のブログ写真を反対側から見ています。
奥の座敷と手前の襖は白に統一しています。
試みとしては以前の昭和の家に戻したのですが
構造壁が大壁(柱が壁材で隠され、見えない)
で真壁でないがゆえに、一層モダンな印象を与えます。
次回から少し天井板購入物語?
に触れてみましょう。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 288
「数寄屋ルネサンス」
和室6帖から和室8帖を見ています。
廊下⇒座敷⇒庭の関係が分かります。
中央右の床の間、床柱、床框は改修前から動かしていませんが
脇の押入れは建具高さを1800㎜から昭和の家の1720㎜に変えたので
鴨居、長押と床柱の納まりは上下にずれます。
そのずれの所在が分からぬほど、大工技で自然におさめています。
一方、改修後、部屋自体を52㎝、廊下側に広げているので
床、壁、天井、そして建具、すべてをやりかえています。
代々木の高層ビルがまじかに迫る住宅地にあって、ここには緑豊かな庭があり
対応する二間続きの座敷も整い、より一層、昭和の家に戻ってきています
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 287
「数寄屋ルネサンス」
前回に引き続き
座敷側から玄関方向を見ています。
右隣の8畳間が写真に加わっています。
玄関の当たりは以前ダイニングルームだったと
表現しましたが、ではキッチンは
その時、どこにあったか?
8畳の奥に見える廊下や光を受けている収納部が
改修前はなくキッチンになっていました。
襖の裏に隠れていますが、その収納の左手には
茶道用の水屋があります。
8帖には炉が切られていますが手前6帖側の
切り込みには掘りごたつのフレームが入ります。
こうやって見ると二間続きの昭和の家には
ゆったりとした伸びやかさがあります。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 286
「数寄屋ルネサンス」
写真は和室側から廊下、玄関を見ています。
左手廊下の奥にはトイレがありますが、
改修前には玄関があり、玄関のあたりは
ダイニングルームになっていました。
手前の廊下から玄関奥にかけて棹縁天井が
続いています。奥行きは約3メートルあり、
天井板は2メートルの長さですので途中で
継がなければなりません。
赤味と白太の木目が同じような板で繋ぎます。
少し転んでいるところもありますが、
1枚板に見えるよう
細やかな大工工事が行われています。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 285
「数寄屋ルネサンス」
五年前、新築した家を
新築以前の昭和の家に戻す工事を紹介しています。
新築時の設計者は当方ではなく別の方です。
ですが、工事は新築を行った会社が担当しました。
改修範囲を解体する工事までですが。
写真は玄関の土間部分です。
建具にしても、幅木などの造作材にしても普段は
べんがらで黒く塗りますが、数寄屋なので塗りません。
すると右手の画像の幅木のように赤味と白太の部分がはっきりしてきます。
また、杉、ヒバ、欅など異なり色味が目立ってきます。
べんがらを塗った場合、落ち着いた統一感と、古色が醸し出されます。
日本の美を伝えたい―鎌倉設計工房の仕事 284
「数寄屋ルネサンス」
前回の写真が暗めでしたので
今回は明るいものを選びました。
玄関戸を開けた時の景観です。
下駄箱は5年前新築時のもの。
入口襖の高さは、新築時180㎝でしたが
新築前の昭和の家に戻し
和室周りは173㎝に戻しています。
たかが数センチと思うかもしれませんが
建築主にとってその差は大きい。
襖と天井との間の、下がり壁が数センチさらに下がるので
和室内部がとても落ち着いた雰囲気になります。
改修と言えども、天井の高さは変えられず
元のままですが、違っているのは天井板です。
以前は張りものでしたが、
今回は無垢の杉を使用した棹縁天井。
木場の倉庫で全体を並べ、木目や赤味としらた、源平の度合い
を比較し、建築主と大工の立会いの下
しっかり選んだものを使っています。
左側の袖壁は奥ゆかしさを出すため、
また杉丸太は靴を履くときの手がかり
として利用します。
木造三階建て特殊構造なので
構造材として使われている柱は壁の中に隠れており
見えている柱は力を受けていない化粧柱です。