「木とつきあう知恵」(エルヴィン・ト-マ著、宮下智恵子訳,地湧社出版)
についてのレポート所長日記にも載せます。(エリア045コラム掲載の物)
「新月伐採の床板は塗装の必要がない程に表面がつるつる!」
「杉小幅板厚さ15mmなら¥12、000/坪程度,塗装代を含めて考えれば予算に載ってくるな。」「巾60㎝,長さ1.8m洗面カウンターに丁度良い杉板が1~2万か。」
昨年12月11日,12日にかけて行われた「NPO木の建築フォラム見学会」で
静岡県天竜市を訪れ、その見学先での印象です。
コストの事がつい関心に上りますが、「新月伐採」に大いに刺激を受けた機会でもありました。
つまり、「月の満ち欠けと、樹木の伐採時期とが関係していたなんて!!!」
冒頭の「木とつきあう知恵」は新月伐採について詳しく解説しています。
「冬場の新月の日に伐採した木はカビも虫も付かず腐らず暴れず,燃え難い」と。
1996年にこの本は出版され「賛否両論の大反響がおこりドイツではベストセラーに。その後スイスのチューリッヒ大学で本の内容が検証されてからは,オーストリアの森林局も「新月の木」かどうかを木材の証明書に明示する程になっている.」
著者はオーストリアのザルツブルグで生まれ、チロル地方のカルヴェンデル山岳地区で営林署員として6年間勤務しました.その時実感した新月伐採以外でも、月が自然界に及ぼす現象を紹介しています。
上弦の月の頃、夕立はそれほど激しくないが,下弦の月の頃、雨が降ると林道を鉄砲水が走る。
柵の木杭は上弦の月の頃には決して打ってはならない。次に霜が降りると、ガタが来て早々と腐る。下弦か新月に打つと地中深くまで食込む。
又、下弦の月のころ敷かれた板張りの床は軋みが少なく暴れない。
これなど実際の建築工事工程上、大変参考になります。
昔の大工や木こりは皆この事を知っていたのでしょう。
幸い私のカレンダーには月の満ち欠けが出ているので大いに活用できそうです。
ところで木の建築フォーラムでは、エリア045メンバー、アーキキャラバンの服部さん,そして神田さんと天竜市の秋野不矩美術館(藤森照信氏)を訪れました。ここでは外部に
無塗装の小幅板を使っていますが色が既にグレーに変色している部分もあり日当りの差があって色合もまちまちですが先々風化していって,全体がシルバーグレー,金属とは違う、炭の銀色になっていったときロマンスグレーのいい雰囲気が醸し出されるのではと感じ改めて木の持っている多様性、自然の創作力に心引かれる思いでした。
なお新月伐採については,神田さんが詳しいのでその後の様子などコラムで紹介してくれると内容がずっと立体的になりますね。