べんがらちゃんの目

日本の美を伝えたい

木とつきあう知恵、レポート

2005-01-19 16:36:04 | Weblog

「木とつきあう知恵」(エルヴィン・ト-マ著、宮下智恵子訳,地湧社出版)
についてのレポート所長日記にも載せます。(エリア045コラム掲載の物)


「新月伐採の床板は塗装の必要がない程に表面がつるつる!」
「杉小幅板厚さ15mmなら¥12、000/坪程度,塗装代を含めて考えれば予算に載ってくるな。」「巾60㎝,長さ1.8m洗面カウンターに丁度良い杉板が1~2万か。」

昨年12月11日,12日にかけて行われた「NPO木の建築フォラム見学会」で
静岡県天竜市を訪れ、その見学先での印象です。
コストの事がつい関心に上りますが、「新月伐採」に大いに刺激を受けた機会でもありました。    
つまり、「月の満ち欠けと、樹木の伐採時期とが関係していたなんて!!!」

冒頭の「木とつきあう知恵」は新月伐採について詳しく解説しています。
「冬場の新月の日に伐採した木はカビも虫も付かず腐らず暴れず,燃え難い」と。
1996年にこの本は出版され「賛否両論の大反響がおこりドイツではベストセラーに。その後スイスのチューリッヒ大学で本の内容が検証されてからは,オーストリアの森林局も「新月の木」かどうかを木材の証明書に明示する程になっている.」

著者はオーストリアのザルツブルグで生まれ、チロル地方のカルヴェンデル山岳地区で営林署員として6年間勤務しました.その時実感した新月伐採以外でも、月が自然界に及ぼす現象を紹介しています。

上弦の月の頃、夕立はそれほど激しくないが,下弦の月の頃、雨が降ると林道を鉄砲水が走る。

柵の木杭は上弦の月の頃には決して打ってはならない。次に霜が降りると、ガタが来て早々と腐る。下弦か新月に打つと地中深くまで食込む。

又、下弦の月のころ敷かれた板張りの床は軋みが少なく暴れない。
これなど実際の建築工事工程上、大変参考になります。
昔の大工や木こりは皆この事を知っていたのでしょう。
幸い私のカレンダーには月の満ち欠けが出ているので大いに活用できそうです。

ところで木の建築フォーラムでは、エリア045メンバー、アーキキャラバンの服部さん,そして神田さんと天竜市の秋野不矩美術館(藤森照信氏)を訪れました。ここでは外部に
無塗装の小幅板を使っていますが色が既にグレーに変色している部分もあり日当りの差があって色合もまちまちですが先々風化していって,全体がシルバーグレー,金属とは違う、炭の銀色になっていったときロマンスグレーのいい雰囲気が醸し出されるのではと感じ改めて木の持っている多様性、自然の創作力に心引かれる思いでした。
なお新月伐採については,神田さんが詳しいのでその後の様子などコラムで紹介してくれると内容がずっと立体的になりますね。







年頭所感

2005-01-06 10:51:34 | Weblog
年頭所感

今年も「いいもの,美しい物を作りたい」
年頭に感じる事です。

横浜港に面する山下公園の大桟橋側に真白なレストハウスがあります。
4年ほど前のサッカーワールドカップを目指し設計監理を行った建物です。
この屋根は数mmのアルミ板で成形加工されています。
屋根全体の大きさが10m×50mなので夏冬の収縮も考慮し3分割しましたが陸上を運べる大きさではなく製作した日立造船神奈川工場から海路箱舟で運搬し陸上の200トンラフターで釣上げあらかじめ設置された建物側のアルミ構造材に取り付ける、その作業を午前中に行わないと潮が引き箱舟の船底と公園岸壁基礎が接触する。   無事完成したわけですがこの時感じ入ったのは造船技術が建築に応用出きることです。しかも見事な溶接技術によって。いい物ずくりをしている実感を抱いた仕事でした。
昨年末、伊豆高原で建築中の現場に出かけました。曲面のある屋根なので地上で一旦仮組を行いました。太い大黒柱を中心に傘を広げたような骨組で今度は木造ですが山下公園レストハウスと同じときめきを感じています。
今年も一つ一つの作品に情熱を込めて行きます。
山下公園レストハウスについては鎌倉設計工房ホームページwww.kamakobo.com
へ。



新年のご挨拶と腰越

2005-01-05 16:28:59 | Weblog
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
NHK大河ドラマ今年は「源義経」だそうですが、住んでおります鎌倉市腰越が「腰越状」で話題に上りそうです。
腰越は鎌倉市の外れ、海岸に出れば目の前に江ノ島(藤沢市)を望み、遠く海上に大島や伊豆半島,富士山も眺める事が出来ます。
私の通っていた高校も腰越の小高い丘にあり、当時江ノ島から大島行きの船が朝10時になると汽笛を鳴らし出航して行くのが見え、晴れた日などはちりめん皺のように光り輝く海ともあいまって、勉強どころではなく、誠にのどかな高校生活を送る事が出来ました。
町を歩いてみると分るのですが,腰越は地形的にサイズを小さくした鎌倉といえます。
JR鎌倉駅のある本鎌倉は鶴ガ岡八幡を谷戸の最奥に据えて海に向って平野が開き中心に滑川,腰越は小さめの谷戸の中心に神社こそありませんがやはり海に向って平野が開け神戸川が海に注ぐ、ミニ鎌倉です。
谷戸の先端には西側の山に竜口寺(藤沢市)東は小動神社があります。寺社ばかりでなく明治時代以来の別荘地の性格もあったので竜口寺側山には西洋館(現存)が、小動神社や腰越状の満福寺側山には和風入母屋(現存セズ)のいずれも城のような建物が対峙するように建っていた-腰越に住む事になった小学校時代の印象です。
腰越小学校の裏はつい最近までお屋敷の建つ別荘地の面影をそのまま残していましたが、宅地開発され,普通の住宅地に様変わりしました。「、、、、、残念!」
でも散歩には絶好の町ですよ!ぜひお出かけ下さい。
ちなみに腰越は鎌倉設計工房発祥の地です。