先日早稲田で教鞭をとられた吉阪隆正さん設計の八王子セミナーハウス(1965)を訪れユニットハウス棟に宿泊する機会を得ました。これはDOCOMOMO100選(日本のモダニズム建築100選)に選ばれた建物群ですがその一部取り壊しが行われたと聞いたからです。。
建物の寿命が問題とされるとき機能性や耐久性、経済性、審美性などにスポットが当てられます。
すべての建物には文化的な側面があるので残す価値はすべての建物にあるとしますと、上記以外に建物の寿命を決定する要素、それは愛着ではないかと思います。どれだけ愛され、多くの人に影響を与えたか。保存のためなら一肌脱ごうと言う気持ちにさせる、あるいは、運動にまでなる程なのか。それによって建物の寿命が延びるわけです。
八王子セミナーハウスの場合運営上支障となっていたのがわれわれの宿泊したユニットハウス群です。
これは100ほどの個室(2から3ベット)が離れのように点在しており、各部屋には暖房設備があるのみで洗面所、トイレ、浴室は外部。まことに不便と女子学生からも不評のようです。
機能性から見るとまさにその通りなのですが、周りの自然と触れ合うテント生活、あるいは汲み取りトイレが外にあるような自然の中の農家を設計者はそもそも意図していたのではないかとも思います。
セミナーハウスですから、カリキュラム内容に自分自身と向き合う必要が出てくると思います。そのときトイレに出かけよう!と外に出、道すがら浮かぶアイデアだってあると思います。つまり根源的なセミナーハウスの機能そのものを狙っていると思うのですが、今の学生の時代感覚からは、ずれるのでしょう。
建物がどれだけ愛されているかは、設計者がどれだけ情熱を注いだかが、まず目安になると思います。
ここには本館、長期セミナー館、講堂、図書館、など点在しますがすべてに情熱を感じます。
マンションなど今日、建物の多くは縦横、垂直水平の空間ですが、ここは壁が斜めだったり屋根が円弧を描いていたり、一坪の屋外トイレにも気を抜いた様子が見られません。
卵形リングを繋げた手摺があります。同行の早稲田出身者によれば「学生がよく勉強するようにとの願いが込められている」。その親しみやすい形は気分転換を促します。手摺ひとつとっても手間、暇のかかっている作品。実に発見の多い建物たちです。
この設計デザインは作りながら現場で最終決定されていったのでは!
手間隙掛けていい物を作り上げたい。その姿勢の表れで
私達の設計活動もかくありたいと思います。
無論コスト、工期、人間関係など、壁を承知で。
建物の寿命が問題とされるとき機能性や耐久性、経済性、審美性などにスポットが当てられます。
すべての建物には文化的な側面があるので残す価値はすべての建物にあるとしますと、上記以外に建物の寿命を決定する要素、それは愛着ではないかと思います。どれだけ愛され、多くの人に影響を与えたか。保存のためなら一肌脱ごうと言う気持ちにさせる、あるいは、運動にまでなる程なのか。それによって建物の寿命が延びるわけです。
八王子セミナーハウスの場合運営上支障となっていたのがわれわれの宿泊したユニットハウス群です。
これは100ほどの個室(2から3ベット)が離れのように点在しており、各部屋には暖房設備があるのみで洗面所、トイレ、浴室は外部。まことに不便と女子学生からも不評のようです。
機能性から見るとまさにその通りなのですが、周りの自然と触れ合うテント生活、あるいは汲み取りトイレが外にあるような自然の中の農家を設計者はそもそも意図していたのではないかとも思います。
セミナーハウスですから、カリキュラム内容に自分自身と向き合う必要が出てくると思います。そのときトイレに出かけよう!と外に出、道すがら浮かぶアイデアだってあると思います。つまり根源的なセミナーハウスの機能そのものを狙っていると思うのですが、今の学生の時代感覚からは、ずれるのでしょう。
建物がどれだけ愛されているかは、設計者がどれだけ情熱を注いだかが、まず目安になると思います。
ここには本館、長期セミナー館、講堂、図書館、など点在しますがすべてに情熱を感じます。
マンションなど今日、建物の多くは縦横、垂直水平の空間ですが、ここは壁が斜めだったり屋根が円弧を描いていたり、一坪の屋外トイレにも気を抜いた様子が見られません。
卵形リングを繋げた手摺があります。同行の早稲田出身者によれば「学生がよく勉強するようにとの願いが込められている」。その親しみやすい形は気分転換を促します。手摺ひとつとっても手間、暇のかかっている作品。実に発見の多い建物たちです。
この設計デザインは作りながら現場で最終決定されていったのでは!
手間隙掛けていい物を作り上げたい。その姿勢の表れで
私達の設計活動もかくありたいと思います。
無論コスト、工期、人間関係など、壁を承知で。