怪人クンのムフフ日記

ムフフ、ムフフ、時々オヨヨの〝怪人クンワールド〟炸裂!
あの大物も、この人も。愉快な仲間続々登場!

〝過激な仕掛け人〟が聞かせてくれた話

2011年01月19日 | Weblog
<1月18日(火)>

ぶっちゃけ、近頃はビビリの怪人だ。夜なんか不安に襲われ剣を握らないでいると、いてもたってもいられなくなる。そんなときは白い息を吐きながら、アスファルトの上で素振りを繰り返す。青畳と違い、コンクリートは足のすべりも悪い。ズ、ズ、ズ。踏みこんだ瞬間、シューズの底がスリップする。
けど昔の人のことを考えれば、彼らはどんな状況でも戦ったわけで。土、砂利、岩場。現代のように舗装などありえなかっただろうし。
「大リーグボール養成ギブスをつけたまま投球練習したからこそムフフ…、星飛雄馬も試合ではあんなにすごい魔球とか、剛速球をほうれたんだしさ」
日曜教室の帰り、ナバの運転するクルマの助手席で口にしたセリフが蘇る。
次第に恐怖心は和らぎ、額には汗がにじんでいた。
「よし、きょうはここまで」
短時間ではあったけど、切りあげて風呂場に向かう。

湯船に浸かりながら、ある人の言葉を思い出していた。
かつて〝過激な仕掛け人〟といわれた新間寿(しんま・ひさし)氏。世界を揺るがしたあの猪木VSアリ戦をはじめとして、〝燃える闘魂〟の歴史には欠かすことのできない人物。
その新間さんが何年か前、怪人クンにこんな話を聞かせてくれたことがある。
「猪木もああ見えて気の小さいところがあってね。でも、あの人の場合は〝いい意味の弱さ〟なんだ。プロレスラーだけじゃない。世界中からあらゆるジャンルの格闘家が猪木に挑んでくる。中には、ろくすっぽ資料がない者もいる。だからこそ己を信じ、どんな状況であっても戦えるよう日々練習する。見えない敵とのプレッシャー、恐怖心がさらに猪木を強くしたんだね…」

不安だから、臆病者だからこそ、きょうも剣を振る。自信満々ならやんないもんね、稽古なんて。いい意味でビビリか(笑)。
スーパースターといっしょにしたら叱られちゃうけど、怪人クンはいまそれに似たカンジを味わっているのかもしれない―――。


※新間さん(写真)は元・新日本プロレス営業本部長として、リング上のアントニオ猪木と社長・猪木寛至を長年にわたり支えた方です。