家具の学校

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上級特派員便り2012年2月18日

2012年02月22日 | Weblog
上級特派員便り

2012年2月18日 @伊勢原校   晴れ 

今日から、久しぶりに伊勢原に戻り、以前製作したキャビネットの塗装に入ります。
講師は有福先生、大村先生です。両者共、我々が言うのもおかしいですが、塗装の本物のスペシャリストです。
以前にも本欄で述べたと思いますが、塗装は家具製作の最終過程で、塗装の善し悪しで、見映えの上で雲泥の差が出ます。大事な工程です。
師曰く、塗装は木地調整が重要。木地調整がしっかりしていれば良い仕上げになるし、その逆は当然その逆となります。師また曰く、木地調整で塗装作業の半分以上が終了したようなものです。

木地調整は、1)製作中や運搬でできた凹み部分や傷をアイロンをかけて戻したり、2)留め部分など接合部にできた隙間をパテで埋めたり、3)しっかり拭き取ったと思われる部分にわずかに残ったボンドをサンドがけで落としたり、4)塗装面を滑らかにサンディングしたり(今回は#180を使用)、5)塗装しない面をマスキングテープや新聞紙でカバーしたり、6)サンド掛けしたあとのサンド粉をエアで飛ばしたり、まあ何か落ちているかもしれませんがこのような木地調整作業があります。

木地調整もそこそこに終わり、と言いますか踏ん切りをつけていよいよ塗装。まずは着色。多くの生徒は仕上げの綺麗な、家具向けのダニエルカラーを選んだ。
着色にはエアガンによる着色とコンビステインを刷毛塗りして拭き取る方法があり、それは好みの選択。
いままでの初期着色作業では、エアガンによる着色を行なっていなかったので、筆者はエアガン着色を選択した。エアガンも刷毛塗りも、どちらも顔料(Note1)であるが、エアガンでは木目に合わせて薄い塗りにしたり濃い塗りにしたり加減ができるのだが、エアガンの動きをスムーズにしないとブチのようにムラができ、修正は難しい。ただし、うまく塗れば綺麗な着色が得られる。一方刷毛塗りは、木目に合わせた着色はできない代わり、濃すぎた箇所は再度刷毛塗りして素早く拭き取ることで修正が利くといった違いがあるようだ。

着色後目止めを塗って本日終了。木地調整にはことのほか時間がかかりました。
これは筆者の私見なのですが、塗装作業が終わると、そのままハイさよならと教室を後にしてしまいますが、そのあとに刷毛を洗ったり、余った塗装を処理したり、いろいろな後始末の作業が残っているようだ。こういった作業も、生徒を甘やかさずにやらせて欲しいと思う、少なくとも一度は。こういう作業内容も知っておきたいと思う。

Note 1:塗料(や染料、インク等も)には顔料と染料がある。その違いは?簡単に言うと、顔料は表面に塗料が着くといった感じで、染料は中の細胞にまで染み込む塗料というところでしょうか。染料は一度塗るとサンドでは落ちないのに対して顔料はサンド掛けである程度落とすことができる。これって正しい理解?

写真1: 塗装前のキャビネ

写真2: 非塗装面をカバー

写真3: 染料と顔料
  
写真4: 木地調整の検査を受けるもまだまだ不十分とチョークマークが入る

写真5: エアガン着色

写真6: 着色終わったキャビネたち


『お道具拝見コーナー』その14(三枝氏投稿)

今週から伊勢原で キャビネットの塗装です。 今回は塗装の主役道具、重力式スプレーガン 明治F100の紹介です。

スプレーガンでは 岩田と言うメーカが有名ですが、明治も古くからのメーカだそうです。 見た所余り壊れる所は無く、手入れさえ良ければ20年前の道具も現役で働いていると聞きました。
塗装といえば 刷毛塗りと思っていましたが、ガン吹き塗装は思った以上に仕上がりが良く、出来れば私も使って見たいと思うのですが、それには問題点があります。
 
先ず、塗料は霧状に噴霧され、そのおよそ1/3は空中に飛散してしまい、最終的に部屋の隅に溜まります。 その噴霧塗料を吸い込むと、人によっては呼吸器のアレルギー症状を引き起こす場合が有ります。 所謂喘息の症状です。

そして、ガン吹きした時、床に有る細かい木屑等の埃が舞い上がり、それが製品に付着する事が有るので、塗装前に十分な清掃を行ったとしても完全に取りきる事は難しく、出来れば排気装置のある、塗装専用の部屋が欲しくなります。

設備としては、スプレーガンはそれ程高価では無いのですが、エアコンプレッサーが必要で、それに調圧装置と水抜きフィルター等も必要です。安定した空気圧を保つ為には、ある程度のタンク容量とモータの馬力も必要になり設備にもお金が掛かります。
排気装置となると備えるのは大変で、フィルターを通してブロアーで排気を外に排気します。ブロアは排気ダクトも必要で、フィルターとブロアーの設備は、その場所の確保も設備費も大変です。

塗膜の丈夫な、ウレタン系の塗料となると、粘度も高く刷毛では上手く塗れませんので、ガン吹きへ移行したい所だと思います。 色々長所や短所を考え合わせ、特に人体への影響や廻りの環境への影響を考慮するとガン吹き設備の導入には、必要装置、必要広さ等を考えると躊躇せざるを得ません。

小さな工房で製作する家具に、OIL仕上げが多いのは、案外これらの理由も関係しているのかも知れません。
 

写真7: スプレーガン


文責・編集  堀江
              

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