家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
現在は、ダニエル元町本店にてワークショップ体験をご案内

上級特派員便り2012年2月4日

2012年02月09日 | Weblog
上級特派員便り

2012年2月4日 @横浜校   晴れ 立春

今日は、張りの最後の練習。
引き続き2級検定試験の課題で練習です。
受検が来年の夏と言うこともあって、真剣みはあっても危機感薄く、一度はやってみると言った感じの練習でした。
試験時間は5時間だそうですが、マニュアルを見ながらの練習で、結局前回の数時間と本日いっぱい使っても縫製まで届かず、試験前になったらかなり練習しておかなければ、時間内の完成、ひいては合格難しと言う感じでした。
しっかりしたマニュアルがあるのだが、読者のためにざっと手順をおさらいしておく。
1. 木枠に麻テープ(力布)を張る(4本)
2. バネ受けを敷いてからバネを木枠に取り付ける。又釘(U字釘)を使う。
3. バネを力布に裏から縫い付ける
4. バネ糸でバネを押し下げながら木枠と絡げる。
5. ヘッシャンクロス(麻布)を張り、バネ枠にセール糸でタタミ縫い、木枠にはタッカーで固定。
6. ヘッシャン上面に土手チップを外周に貼る。
7. 上敷きウレタンを加工してボンド付け。木枠角にウレタンを縫い付ける。
8. 3側面に綿を縫い付ける。
9. 布カバーを縫う。
10. 上敷きウレタンに白綿を乗せて馴染ませ布カバーをかぶせて接着及び縫う。
11. 布カバーをタッカーにて止める
12. こま止めして、はい、完成。お疲れさん。
工程はなかなかに多い。

本日の張りの練習を最後に横浜から再び伊勢原に戻り、次回(2月18日)からキャビネットの塗装となる。
吉田先生、星野先生、海老沢先生お世話になりました。検定試験前にはまたお世話になると思いますので、その時はよろしくお願いします。

もう残り少ない上級課程。専攻科に進む諸兄もおられるようです。専攻科に進むにあたっては、椅子の装飾加工のために、木工旋盤を用意いただけたらいいのですが・・・是非、是非・・・というのが進級の皆さんの要望のようです。

余談になるが、昨年師走、Lazy Boyを購入した。Lazy Boyとはロッキングandリクライニングソファ(商品名:ロッキングリクライナー)である。製品そのものは米国の家具メーカーの製品であるがダニエルで販売している。これが実に気持ちのいいソファーなのだ。宣伝みたいになってしまうが、ロッキングソファにもリクライニングにもなり、ほとんどフラットになる。オーディオルームと言うと大げさだが、TVの前に置いている。一度座ると起き上がれなくなる。Lazy Boyとはソファの名前ではない、まさにそれに腰掛ける人のことだったのだ。

ついでにもう一つ余談だが、前回の特派員報告で、左甚五郎と指紋の話をした。右回りの指紋が多いと器用だと言った話だった。左甚五郎は左右十本の指が皆そろって右回りだったそうで、天骨(てんこつ)と呼ぶそうな。その天骨が、我らが上級クラスにもおりました。お道具拝見コーナーを執筆のS氏である。なるほど、である。

写真1: バネを木枠に絡げる(写真は天骨氏である)

写真2: ヘッシャンを被せて縫合

写真3: 作業の強い味方、タッカー
  
写真4: そして、エアスプレーボンド

『お道具拝見コーナー』その13(三枝氏投稿)

今回は椅子屋金槌の紹介です。
これは 家具の学校に入学した初年度、初級の時にミッシェルの張り作業用に購入した物で、片方の先端打撃面は二つに割れていて、着磁して有ります。 釘頭を吸いつけて片手で打てる工夫でしょう。 普通の金槌と違い、打撃面鏡部分は小さく、正確に打つには相当練習が必要です。
椅子の張りでは、生地を左手で抑えたまま釘を右手で打ち込める工夫がなされている、と言う具合。しかし、これが、使い慣れていない者には曲者で、左手で生地を抑えて釘の付いた槌がそのまま戻ってきて、続いて打つ時に左手指に釘が刺さってしまう。これは痛い、実に痛いものです。
もう片方の先端は、着磁されていませんが、先端は細く、五分釘の頭ほどで、狭いところに釘を打ち込むためでしょう。

筆者の購入したものは、馬印と言いましたが、どれが馬なのかよく判らない、鍛冶屋が作った傷にも見える馬の首が刻印して有りました。
細長く軽い頭部と、丸い細い柄が付属して来ましたが、細く平たく握り易く削り直して、自分で柄を挿げました。 槌の頭が抜けない様に、櫃部分に楔を打ちますが、筆者は先端部分を叩いてつぶして仕上げました。

色々な道具を見て来ましたが、椅子屋金槌の名品に付いて、聞いた事が有りません。 恐らく道具に凝る、或いは工夫する余地の余り無い道具なのでしょう。 道具の良し悪しが仕上がりに影響すると言うより、その使いこなしが仕上がりや、仕上げの速さに影響する様です。

軽い槌なので、手首のスナップで正確にパシと早く振り下ろす必要が有ると思います。 それにリズムが大切で、3分の釘なら2回か3回でパン・パン・カーンと打つとか、そんな使い方でしょうか。 さらに正確に打つには、目と釘の位置関係が重要だろうと思います。 目で打つ位置を良く見て最初の1回目釘を軽く打ち込んだら、真っ直ぐ上に槌を引き上げず、滑らせる様に槌を抜き取り、素早く二打目を打つのが骨だと思います。(筆者の勝手な思い込みかも知れません。間違えていたら御免なさい)

槌は原始的な道具で、脳に直結してコントロールされる道具なので、思う位置に槌頭が振り下ろせるように、脳の命令と腕と槌の関連付けを練習して習得する必要が有るでしょう。

椅子張りの基本は金槌の使いこなしにあると吉田先生は言いますが、技術の未熟な我々は、すぐタッカーを使いたがります。 しかし椅子張り職人の手先の器用さは、金槌を自在に使いこなす訓練の中から得られる物かも知れませんね。

写真5:椅子屋金槌(マグネットハンマー)

文責・編集  堀江
              
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