アシリアペ    「アシリアペ」とはアイヌ語で「新しい火」。住所は茨城県常陸太田市大中町3486-2

営業日等:土日の10:00~17:00 臨時営業もあり。天然酵母パンやオーガニックの食材などを取り扱う。

「ふくしま原発 作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」 東京新聞記者 片山夏子著

2020-07-26 19:47:50 | 本棚
本の紹介


「ふくしま原発 作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」 東京新聞記者 片山夏子著

 福島第一原発事故から8年目、私は喉頭がんだと診断された。家計にがんの人間はいない。それこそ「まさか自分が」だった。のどのポリープから出血。それを胃いっぱいに飲み込んで吐血し、その後の検査でがんとわかった。自分でも驚くほどうろたえ、落ち込んだ。
 「僕らより先に、何がんになっているんですか」。今も現場で被ばくと闘っている作業員たちはそう言いながら、心底心配してくれた。
 みんなに心配をかけたが、今はすっかり元気になった。それにしても病名を告げるなんてプライベートなこと。でも彼らに告げることが自然なほど、ある意味深く付き合ってきたのだと思う。最も長い作業員で9年の付き合いになるが、よく取材に応じ続けてくれたと思う。それぞれの福島第一での作業や日々の生活、家族の話を深く聞くうちに、いつしか取材者としてではなく、人と人との付き合いになっていった。


「わかりやすさの罪」 武田砂鉄著

2020-07-26 19:45:50 | 本棚
本の紹介


「わかりやすさの罪」 武田砂鉄著
 コロナ禍という、極めてわかりにくい状況に置かれ、為政者に「わかりやすさ」を求めたら、その為政者とやらが、どんな組織よりもわかりにくいことを言い続けた。わかりにくくないですか、と問うと、現場は頑張ってます、あと、皆さんが歯を食いしばっていることは理解していますと返ってくる。なかなか「空前絶後」な対応である。極めてわかりにくい情勢の中で、わかりやすさを求める態度が可視化された。よくわからないまま付き合うしかないのではないか、というわかりにくい意見を声高に発することは憚られた。そもそも、これまでもずっと不確かな日々を生きてきたのに、コロナ禍の中で、早く確かな日々に戻してほしい、と懇願した。コロナ以前ってそんなにはっきりした日々だったのだろうかと疑ったのだが、そんな疑いは「わかりにくいもの」として一括りにされた。わかりやすいものを探る動きの中でいくつもの対立が生じ、真偽よりも納得度が問われた。