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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶

2017-11-10 | 2017日本語映画評


「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」 滝田洋二郎監督 △

 人気料理番組「料理の鉄人」の演出家田中経一原作の小説を映画化しました。
 天才料理人の佐々木充(二宮和也)はこだわりが強すぎて経営していたレストランがつぶれ、今は高額の報酬で「昔のあの味」を再現する仕事をして借金の返済に当てていました。そんな充のもとに楊清明と名乗る中国人から戦時中に日本の料理人が作ったフルコースのレシピを探し出してほしいと依頼が来ます。高額過ぎる報酬に疑問を感じながらも指示されるまま満州で日本軍の要請でレシピを考えだしたと言われている山形直太郎(西島秀俊)の足跡をたどるのでした。そこにはある陰謀が隠されていたのです。一度経験した味は忘れない、という「麒麟の舌」を持つ山形のこだわりはどこか充と重なる部分があるのでした。
 果たしてレシピにたどり着くことはできるのでしょうか。
 二宮が料理人に見えずちょっと残念でしたが、予告編では想像ができない「仕掛け」があり、物語としてはおもしろくできています。戦時には意外な仕事の人々にも不幸が訪れるのですね。山形が言っていたように、世界中の人が美味しい料理で幸せを感じられる社会にしたいものです。
 タバコは、山形にレシピ作りを依頼した軍人役の竹野内豊が後ろ向きでしたが1回喫煙しました。あまり目立たなかったので△ですが、竹野内はタバコ露出が多い俳優です。
 タバコではないのですが、15歳の充の頬をある大人がひっぱたく場面がありましたが、どんな体罰であれ、体罰は虐待です。タバコが国際条約違反なのと同様虐待も子どもの権利条約に違反しているのではないでしょうか。製作者には安易に暴力を演出しないよう考えてほしいです。


アウトレイジ 最終章

2017-11-06 | 2017日本語映画評


「アウトレイジ 最終章」 R15+ 北野武監督 △

 暴力団を描いた北野監督の「アウトレイジ」シリーズ最終作です。
 関東の山王会対関西の花菱会の抗争に敗れた大友(ビートたけし)は済州島に逃れ韓国と日本の裏社会を牛耳る張会長(金田時男)の下にいました。花菱会の花田(ピエール瀧)が済州島でトラブルを起こし張会長の部下を殺してしまいます。激怒した大友は日本に戻り過去の精算の機会を伺っていました。一方、花菱会では幹部たちの権力闘争が裏表でそれぞれの思惑がからみ激しくなってきました。果たして決着は着くのでしょうか。
 派手なドンパチが多く特に無差別に乱射する場面は現実にはありえないと思います。唯一、警察と暴力団幹部との癒着などは現実にもありそうな話でした。
 また、俳優たちに凄みがなくちょっと苦虫を噛んでいるような顔をしているだけでした。ビートたけしもいつものギャグのような台詞もあって「もしかしてコメディなの?」と勘違いしそうでした。西田敏行などはどうしてもヤクザには見えず、「ハマちゃん」か「ナミヤ百貨店」のキャラでしかないようです。あまり映画には登場しないような新鮮な強面の俳優を探し出してほしかったです。黒塗りの車を出迎える若い組員たちの姿も、体育会の先輩への挨拶を聞いているようでした。エキストラにもこだわってほしいものです。
 良かったのは、タバコがほとんど登場しなかったことです。灰皿はテーブルの上に何回かありましたが、冒頭で大森南朋がちょっと口にした程度で(△)多くの中高年俳優の健康を守った点では大いに評価したいと思います。 


先生!、、、好きになってもいいですか?

2017-11-02 | 2017日本語映画評


「先生!、、、好きになってもいいですか?」 三木孝浩監督 ◯ PPホープ

 河原和音の人気コミックが原作です。岡山を舞台に実写映画化しました。
 高校の弓道部の響(広瀬すず)は世界史の教師伊藤(生田斗真)に恋をします。伊藤は生真面目ですが真に生徒思いの教師です。響の素直な告白に対しても大人の対応として聞き流します。響はそれでもより一層想いを募らせるのでした。そしてある事柄がSNSで拡散してしまい、伊藤の立場が危うくなってしまうのでした。
 教師と生徒の恋愛物ですが、恋をし、それに戸惑ったり恋する気持ちに素直に従ったりする広瀬すずの豊かな表情が見どころです。広瀬はチアダンスや競技かるた、そして弓道となんでも器用にこなしています。また、生田も「土竜の唄」や「彼らが本気で編むときは、」などとは全く異なる役柄をこなしていました。
 響だけでなく、男女の親友それぞれが教師に恋をしているというのが、設定に変化がないように思いました。弓道仲間の藤岡くん(健太郎)の存在が自然でよかったです。
 ナポレオンの名言「おまえが未来に出会う災いは、お前がおろそかにした過去の報い」が効果的に使われていましたが、世界中の人がこの言葉の意味を考えないといけないのではないかと心に刺さりました。
 タバコは、無煙ですが、伊藤の教師用の寮の部屋に吸い殻が入った灰皿とホープ、使い捨てライターがありました。「ホープ」とはいってもタバコに「希望」はありません。タバコに関してもナポレオンの言葉は的を射ています。


笑う101歳✕2 笹本恒子 むのたけじ

2017-11-01 | 2017日本語映画評


「笑う101歳✕2 笹本恒子 むのたけじ」 河邑厚徳監督 ◯

 ともに100歳を迎える写真家とジャーナリストの二人を追ったドキュメンタリー映画です。
 初の女性写真家として現在も活躍している笹本と、戦前と戦後のそれぞれの時代を新聞記者として生きていた伝説のジャーナリストむのたけじの「奇跡の対談」から始まり、ふたりの両親や戦時中に考えたこと、フリーランスとして仕事をしていた時代のこと、そして今考えていることなどがいきいきと描かれています。
 何かというと「高齢化社会」がまるで諸悪の根源のように言われがちですが、二人を見ていると高齢だからこそ言えることやできることがあると証明しています。おふたりともおしゃれで特に笹本さんは「女は枯れてはいけない。」とアクセサリーなども略さずきちんとしていてさすがでした。お部屋に飾られている布がそれぞれ魅力的で気に入ったものだけに囲まれて暮らしている様子が伺えました。また、むのが早稲田の学生を前に奮った熱弁はすべての日本人に聞かせたいスピーチでした。
 この映画を撮ってくれた監督に大いに感謝いたします。また、バリアフリー上映というのも良かったです。
 タバコは、煙はなし。ただ、戦前戦後などの写真の中でむろがタバコを持っている姿がありました。そのせいで胃がんや肺がんになったのでしょうか。過去の写真なのでおまけの◯です。


ミックス。

2017-10-26 | 2017日本語映画評


「ミックス。」 石川淳一監督 ◯ ☆ 無煙映画大賞候補作

 人気脚本家古沢良太のオリジナル作品です。
 会社の卓球クラブに選手として入社した恋人江島(瀬戸康史)に多満子(新垣結衣)はふられ、実家に戻ります。実家にはかつて卓球の名選手だった母親の卓球クラブがありましたが、母亡き後はすっかり寂れていました。子どもの頃は母親から特訓を受け多満子も卓球少女でした。幼馴染の弥生(広末涼子)に声をかけられ、成り行きでクラブの再建に取り掛かります。そこにはちょっとした因縁のある元ボクサーの萩原(瑛太)が通っているのでした。
 クラブの目標を男女混合の「ミックス」で全国大会に出場することにし、特訓が始まります。
 それぞれがさまざまな悩みや問題を抱えながらも卓球という一つの目標に向っていくすがたは清々しいです。ラストは予想できますがちょっとひねった所がにくいです。さすが古沢良太です。
 多満子の恋敵役の永野芽郁やワケアリの卓球夫婦(遠藤憲一、田中美佐子)、妙な中華料理屋の蒼井優などちょっとした役にも贅沢な俳優を起用し、暴力やハダカもなく家族で楽しめる作品となりました。
 タバコは、なし。無煙です。その点もファミリーにおすすめです。(☆)


ナラタージュ

2017-10-12 | 2017日本語映画評


「ナラタージュ」 行定勲監督 ◯

 島本理生の同名小説を実写映画化しました。
 映画の配給会社に務める工藤泉(有村架純)は雨の夜になるとある人を思い出します。孤独な高校生活を救ってくれた演劇部顧問の葉山先エルネスト(松本潤)のことでした。
 高校時代、友だちのいない泉は昼休みには葉山のいる社会科準備室へ行くことが日課になっていました。卒業後音信が途絶えていましたが、文化祭の応援に呼び出された泉は葉山と再会し、大学生の小野(坂口健太郎)と出会います。小野は泉に惹かれ二人は付き合うようになりますが、泉の本当の気持ちは葉山への思いが捨てきれずにいました。はたして二人の関係はうまく行くのでしょうか。
 複雑な背景がある葉山を松本が笑顔を封印して演じています。要所要所で名作映画がさりげなく紹介されていて映画好きには嬉しい作品です。
 気になったのは、坂口扮する小野がやたらと泉を支配、独占しようとしていたことです。それが恋とか愛だと思ったら大間違いです。土下座やカップル間レイプは☓。
 もうひとつ、富山が舞台ですが、海岸がゴミだらけだったことが大変気になりました。まさか演出としてゴミを置いたわけではないですよね。(二人の関係性をあのゴミが象徴している、という説が身近なところから出ましたが・・・。まさかね。)ロケでお世話になった御礼にスタッフみんなでビーチクリーン活動をしましょう。
 「ナラタージュ」とは「ナレーション」と「モンタージュ」を合わせた言葉で過去を独白する形態の文章などを表す造語です。
 タバコは、なし。無煙です。その点はクリーンでした。


あさひなぐ

2017-09-28 | 2017日本語映画評


「あさひなぐ」 英勉監督 ◯

 「なぎなた」に励む女子高生を描いた、こざき亜衣原作の漫画を「トリガール!」などの英勉監督が欅坂46のメンバーを主役に実写映画化しました。
 東島旭(西野七瀬)は高校に入学し、「アメリカンドリーム」という甘い言葉に乗せられ「なぎなた部」に入部します。勧誘時の話と違って厳しいトレーニングにめげそうになりながらも「これしかない」と続けます。インターハイへの予選で憧れの先輩がライバル校の1年生に負けてしまい旭はよりファイトを燃やすのでした。
 物語の展開はスポ根ものによくあるパターンですが、一般には言葉は知っていてもみたことはほとんどない「なぎなた」を取り上げたことが新鮮です。また、男子との恋物語や家族とのあれこれを完全にスルーしているところもシンプルです。奇妙な顧問教師(中村倫也)が笑わせてくれ、脇の角替和枝、江口のり子が女の戦いを盛り上げています。お寺にいた子役も可愛かったですね。
 タバコは、なし。無煙です。


ユリゴコロ

2017-09-27 | 2017日本語映画評


「ユリゴコロ」 PG12 熊澤尚人監督 △(惜しい!)

 沼田まほかる原作のミステリー小説を「近キョリ恋愛」などの熊澤尚人監督が実写映画化しました。
 美紗子は子供の頃から心の「拠り所」が「殺す」という行為でした。小動物に始まって間接的ながらも人間の子どもまで殺していました。成長し美紗子(吉高由里子)は調理師になりますがそこでも奇妙な友人(佐津川愛美)と出会います。
 一方、高原のレストランを営む亮介(松坂桃李)は婚約者の千絵(清野菜名)を余命幾ばくもない父親に紹介します。亮介は父親が留守のときに「ユリゴコロ」というタイトルのノートを見つけ読み始めますが、そこには殺人鬼の告白が書かれていたのです。そんな折、婚約者の千絵が失踪してしまいます。呆然とする亮介のもとに千絵の職場の同僚という女性(木村多江)が現れるのでした。
 ミステリーとしては大変面白い内容です。過去と現在の俳優を変えることでスッキリ分けていてわかりやすく演出されています。特に病室のカーテンが揺れて過去(の俳優)に戻る場面はお見事でした。熊澤監督の新境地です。
 タバコは、大変残念ながら、悪役ではありますが一瞬タバコを口にして投げ捨てる場面がありました。あの場面はタバコを使わず、作品の鍵となっている草の実を取って投げ捨てる場面にすればより効果的だったのではないでしょうか。安易にタバコは使わない方がいいですね。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017-09-26 | 2017日本語映画評


「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 廣木隆一監督 ☓

 東野圭吾原作のファンタジー小説を実写映画化しました。
 強盗を働いた3人の青年(山田涼介、村上虹郎、寛一郎)は空き家になっている雑貨店に隠れます。その雑貨店はかつて店主が悩み事相談を受けていたところでした。不思議なことに3人の前に1通の封筒が投げ込まれます。いたずら半分に回答をしますが、なんと再び手紙が届くのでした。
 雑貨店を中心に60年代、80年代、10年ほど前と、現在と時間はさまざまですが店主と相談者との人生が描かれていきます。後半になるとある養護施設の存在がそれぞれの物語に関わっていることに気付きます。決して恵まれた環境ではなくても悩みながらも人生を生きている相談者の姿を知ることで冒頭の3人の青年も自らの人生を考え直すのでした。
 いいお話です。原作を読んでいないので原作者の意図はわかりませんが、少なくとも廣木監督は真っ当な仕事があれば真っ当に生きられるのだと言いたかったようです。
 タバコは、残念なことに店主役の西田敏行が60年代の場面などで2回ほど喫煙しました。(☓)子役の前での喫煙は虐待になります。(☓)西田も心臓を患った過去があるのですから副流煙でも再発する恐れが十分あります。命がけですね。お気の毒に。
 若者たちが喫煙しなかったのは評価できます。


きみの声をとどけたい

2017-09-16 | 2017日本語映画評


「きみの声をとどけたい」 伊藤尚往監督 ◯

 オリジナル脚本(石川学)による湘南を舞台に女子高生のひと夏を描いた青春アニメです。
 ラクロスに励む高校生のなぎさは今日もかつての親友のチームにあっさり負けてしまいやる気をなくしています。そんな折、突然の雨の日にカエルの導きで閉店している喫茶店にたどり着きます。そこには小さなラジオ局があったのです。いたずら半分にレコードをかけDJのまねごとをしたなぎさのもとにメールが届いたのでした。それがきっかけとなり、昏睡状態の母親に聞かせるためにそして地域のラジオ局として、なぎさを中心に友人たちが得意分野を発揮して充実したひと夏を過ごすのでした。
 ラストは予想できるし、悪人が一人も登場しないし、悪いこともしない、そういう意味では甘い内容かもしれません。でも、初対面の高校生同士が意気投合し、一つのことに向って工夫する姿には純粋に感動させられます。男子がほとんど登場しないのも物語がすっきりしていて良かったです。
 また、ラジオオタクを登場させることで、無理なく著作権の問題などをきちんと解決しているところも評価できます。
 最近のアニメ映画は、ジブリが解散したことがきっかけとなり、押さえつけていた強い力がなくなり、みんながのびのびと制作しているような気がします。昨年以降一般の大人が鑑賞できるアニメが増えました。サッカーでエースストライカーがケガで欠場すると若手が成長するような感じです。
 タバコは、なし。ただ、「たばこ」の看板は出ました。「江ノ電」を「日の電」にしたように「たばこ」も「たらこ」にするくらいの遊び心があると(☆)だったのですが・・・。