無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「ミセス、ノイズイ」 天野千尋監督 △

2020-12-31 | 2021映画評


「ミセス、ノイズイ」 天野千尋監督 △

 「布団叩きの音がうるさい」という些細なご近所トラブルがあれよあれよとSNSやマスコミを通じて大事件になってしまう現代的なサスペンスを描きました。
 小説家の真紀(篠原ゆき子)はベストセラー作家ですが、その一作後は鳴かず飛ばずで現在もスランプ中です。引っ越してきた部屋で幼稚園児の娘の世話をしながら締め切りに追われていました。徹夜明けの早朝隣から布団叩きの音がくりかえされるのでつい苦情を言ってしまいます。また、娘がひとりで遊びに行って美和子が連れて帰るということも起きます。隣家の美和子(大高洋子)も実は嫌がらせで叩いているわけではなくある事情を抱えていたのですが真紀の苛立ちもヒートアップしていきます。なんとその二人のやり取りがSNSで流れ大反響となりマスコミが押し寄せます。そして犠牲者が出てしまうのでした。

 些細なトラブルからこのようなドラマを織りなした脚本(天野千尋、松枝佳紀)に拍手です。
子役の新津ちせをはじめとして出演者が無名の俳優さんが多かったのですが皆さん適材適役でした。

 ジェンダー的には、夫がもっと妻の仕事に理解と協力する気持ちがあればあれ程のトラブルにはならなかっただろうと思います。原因の一つは夫の態度ですね。
 男性からは軽蔑されそうなキャバクラ嬢が実は一番的確な評価をしていることは大変痛快でした。

 タバコは、軽薄な真紀のいとこがバーでタバコを持っている場面がありました。吸っていなかったのでおまけの△です。


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「ワンダーウーマン 84」 パティ ジェイキンス監督 米 ○NTS

2020-12-30 | 2021映画評


「ワンダーウーマン 84」 パティ ジェイキンス監督 米 ○NTS

 2017年公開の「ワンダーウーマン」の続編です。
 スミソニアン博物館で研究員をしているダイアナ(ガル・ギャドット)は訓練された戦闘員というもう一つの顔を持っています。新米のバーバラ(クリスティン ウィグ)は盗賊団が隠していた不思議な石の鑑定をしていましたが、その石には「のぞみがかなう、ただしひとつだけ」というラテン語が書いてありました。ダイアナはかつての恋人スティーブの再生を、バーバラは「ダイアナのような肉体」を願います。一方石油採掘に失敗したマックス(ペドロ パスカル)はバーバラに近づきその石を我が物にしてしまうのでした。

 おなじみのダイアナの超人的な大活躍ですが、今回は自身と同じ力を持つ悪役も現れ戦いは過激になります。「魔法のムチ」がダイアナの愛用品で、「私、銃は嫌い!」というセリフには銃規制への願いが込められているようで、今作の名セリフの一つです。
 ハンス ジマーの音楽が大変効果的です。映画は音と映像の総合芸術を再確認します。
 ジェンダー的にも女性が見て気持ち晴れる内容ですが、「やっぱりハイヒールじゃないとおしゃれじゃないのでしょうか?」 闘う時はブーツになるのでTPOは考えているのですかね。
 コロナの時代にラストを見るとクリスマスシーズンをみんなが楽しんでいて「こんな時代もあったねと」ちょっと泣けました。コロナ関連では、シルク・ドゥ・ソレイユが休止になりこういったアクロバティックな場面が多い作品で活躍の場を増やしてあげたくなりました。
なお、冒頭の数分がこの作品の最大の見せ場です。遅れて入場しないよう早めに席に付きましょう。

タバコは、意味不明のタバコの空箱を道路に捨てる場面がありました。がおまけの○です。

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「グッバイ、リチャード!」 R15+ ウェイン ロバート監督 ✗

2020-12-26 | 2020映画評


「グッバイ、リチャード!」 R15+ ウェイン ロバート監督 ✗

 突然ガンの宣告を受けた大学教授が治療を拒否し、残りの人生を謳歌する生き方に変えた姿をコメディタッチで描きます。
 文学教師リチャード(ジョニー・デップ)は肺がんで治療をしなければ余命は半年と言われます。絶望する彼でしたが、なんと妻が大学の学長との不倫を、高校生の娘はレスビアンの恋人がいることを先に告白されてしまいます。思い悩んだ末リチャードは自身の人生を取り戻すことを始めます。大学内でも経営のためではなく本当に学びたい学生のみに授業をします。なんとタバコ、酒、マリファナも自由解禁です。その上、妻の不倫も娘の恋人も認めリチャードはルールや立場に縛られない人生を謳歌するのですが・・・。

 日本映画では「生きる」に代表されるように「最後に社会の役に立つことを」と刷り込まれてしまっているせいか、自分のやりたかったことを取り戻す具体的な内容がセックスとドラッグというのもなんだか寂しい感じが否めません。ラストがいまひとつ幸せそうではなかったのはやっぱり利己的すぎたからで、もっと利他な生き方を選べばよかったのに、と思います。利己より利他の時代ですよ。

 タバコは、授業中に学生に「タバコある?一本頂戴」といきなり一口吸ってむせる場面がありました。残りをその学生が吸い続けて教室内には煙が漂っていました。(✗)リチャード自身は非喫煙者なのに肺がんに罹患したということです。

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「人数の町」 荒木伸二監督 ✗

2020-12-25 | 2020映画評


「人数の町」 荒木伸二監督 ✗

 キノフィルムズ主催のコンクール入賞作品の映画化です。
 借金取りに追われ暴行を受けていた蒼山(中村倫也 なかむらともや)は黄色いつなぎを着た男に助けられ、ある施設に誘われます。そこでは衣食住の不安はなく妊娠以外は男女の会話や関わりも自由でした。仕事はネットの書き込み、なりすまし選挙、行列のサクラなどの簡単なことでした。ただ、監視カメラだけでなくフェンスを超えてその施設を出ようとすると警告音が頭に鳴り響く装置が首に埋め込まれていました。
 暴力夫から母子で逃れ行方不明になっている妹の緑(立花恵理)を探していた姉紅子(石橋静河)は謎を知っていそうな男からその施設を紹介されるのでした。

 施設には自殺未遂者、ネット難民、自己破産者などさまざまな社会システムの犠牲者が収容されています。いわゆる「貧困ビジネス」の大型版といえます。借金取りや暴力男に追われる心配はなく「ここは自由だ」と黄色男が胸を張りますが、戸籍を取り上げられ保健証もなく、たとえ命がけで脱出しても社会では生きていけない、「カゴの中の自由」が描かれています。

 テーマは大変興味深いものがあります。実は私たちは作られた格差社会の中、気が付かないうちに見えない監視網に囲まれた中、誰かを犠牲にした自由を謳歌しているだけなのかもしれません。
 生産的な労働の喜びを与えないところがこの施設の肝です。農業とか手仕事とかを体験させたらみんな生き生きして言うことを効かなくなってしまいますね。

 タバコは、施設内に喫煙所があり何人かが喫煙していました。あのタバコはどうやって手に入れたのか不明です。(✗)
 

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「約束のネバーランド」 平川雄一朗監督 ○

2020-12-24 | 2020映画評


「約束のネバーランド」 平川雄一朗監督 ○

 アニメ化もされた人気コミック(白井カイウ、出水ぽすか)の実写映画版です。
 自然豊かな楽園のような孤児院では優しい「ママ」(北川景子)と家族のような子どもたちとが平和な日々を送っていました。里親が見つかるとお別れをします。今日もコニーが孤児院を出ていったのですが忘れ物のぬいぐるみを届けようと年長のエマ(浜辺美波)とノーマン(板垣季光人・いたがきりひと)は「子どもは近づいてはいけない」門に行きます。そこで鬼と殺された子どもそして「ママ」が実は「食用児飼育係」なこと、孤児院は「食用児農園」であることを知ります。ふたりは知識の豊富なレイ(城桧吏・じょうかいり)を仲間に加え無謀ともいえる脱出計画を立てるのでした。

 社会の平安を保つため「弱いもののみが犠牲になる」という格差社会に対する問題提起と「諦めずに考えてみんなで協力して行動する」という解決方法を子どもにもわかりやすい脚本で観客に問いかけました。「自己犠牲」「団結」など考えさせられます。また、ちゃんと勉強をしてきちんと知識があることもいざというときには役に立つ、という学ぶことの大切さも伝えています。鬼がまるでエイリアンだったのが残念です。もっと現実的な姿のほうが説得力があったのではないでしょうか。
 北川景子が悪役?と思っていましたが・・・。(ちょっとネタバレ)松坂桃李と三田佳子が妙に不気味で存在感がありました。
 緑豊かな風景描写がたいへん美しく撮影されていました。(撮影 今村圭佑、照明 小林暁)対して室内は古めかしい洋風の調度品などが効果的でした。(美術 清水剛、装飾 湯澤幸夫)

 タバコは、なし。無煙です。(○)

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「サイレント・トーキョー」 波多野貴文監督 ✗

2020-12-22 | 2020映画評


「サイレント・トーキョー」 波多野貴文監督 ✗

 クライム・サスペンス作家の秦建日子が、ジョンレノンとオノ・ヨーコの名曲「ハッピーメリークリスマス(WAR IS OVER)」にインスパイアされて書いた原作を実写映画化しました。
 恵比寿の人気スポットに爆弾を仕掛けたという電話がテレビ局に入ります。ガセネタと疑われつつも契約社員を現場に行かせます。ところがその社員とたまたま買い物に来ていた主婦(石田ゆり子)は犯人に脅され事件に巻き込まれます。犯人の要求は総理との直接交渉でしたが、「テロには屈しない、一切交渉はしない。」という立場を貫きます。二度目の犯行予告は渋谷爆破でした。捜査を始めた刑事(西島秀俊、勝地涼)は怪しい人物を洗い出し近づきますが犯行阻止には至りませんでした。犯人の真の目的はいったい何だったのでしょうか。

 予告編でも印象的なテーマ曲が流れ期待をさせていましたが、「WAR IS OVER」をメッセージにする作品には残念ながらなっていません。犯人たち(ネタバレ?)の動機が納得できるものではなく、つまりは何を伝えたくてこの映画を作ったのかもよくわかりませんでした。(制作費はかなりかかっているようですが・・・。電通はお金持ちだからいいけど)ジョンとヨーコに叱られないかちょっと心配です。ラストのテーマ曲そして東京タワーなどの景色は素晴らしかったのですが。
 「ちゃんと考えなきゃ」選挙のときに「ちゃんと考えないと」こういう国になってしまう、ということがたぶん言いたかったのでしょう。そこはそのとおりです。
 コロナ禍に対しても政治に頼らず「ちゃんと考えなきゃ」ね。

 タバコは、電通製作ですが、その割には西島秀俊さんひとりが犠牲になって喫煙していました。最近は悪役が喫煙者という設定が多いのですが、そこはタバコのイメージを壊さないよう電通の配慮でしょうか。(✗)


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「博士と狂人」 P・B シェムラン監督 英アイルランド仏アイスランド合作 ✗

2020-12-20 | 2020映画評


「博士と狂人」 P・B シェムラン監督 英アイルランド仏アイスランド合作 ✗

 ノンフィクション小説「博士と狂人 世界最高の辞書オックスフォード大辞典の誕生秘話」が原作です。
 独学で多くの言語の研究をしているマレー(メル ギブソン)は権威主義がはびこる中、実力で大英帝国の威信をかけた辞書編集の責任者となります。世界でも初めての試みでもあり難題が山積し途方にくれますが、そんな時に殺人を犯し今は精神病院にいるアメリカ人の元軍医マイナー(ショーン ペン)からボランティアの申し出があります。マレー同様の知識がありふたりは辞書作成に向けて信頼関係を築き上げていきます。一方、人違いで夫をマイナーに殺されたイライザ(ナタリー ドーマー)は貧しい暮らしを強いられていました。子どもたちを飢餓から救うため断り続けていたマイナーからの経済的援助(マイナーは元軍医だったので年金がある)を受けることにします。イライザとマイナーの関係が修復されることで新たな大問題が起き、その上最初の一冊目が世に出ると犯罪者が関係していることが問題になってしまいます。マイナーは苦しい立場に追い込まれるのでした。

 辞書作りという経糸に、出来事としては些細な事件でも人間関係を大きく変えるきっかけになる出来事を丁寧に横糸に組み入れ重厚なそれでいて人間的なドラマになりました。

 タバコは、オックスフォードのお偉方の一人が一度会議中に葉巻を吸っていました。(✗)


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「アイヌモシリ」 福永壮志監督 日本アメリカ中国合作 ✗ ☆

2020-12-19 | 2020映画評


「アイヌモシリ」 福永壮志監督 日本アメリカ中国合作 ✗ ☆

 アイヌの少年がアイヌコタンで暮らしながら自らのアイデンティティを考えていく物語をドキュメンタリータッチで描きました。
 阿寒湖畔のアイヌ民芸店の息子カント(下倉幹人)は中学生の仲間とともにバンド活動をしています。卒業後はアイヌであることにこだわって生きることより普通に高校生になりたいと考えていました。そんな折、亡くなった父親の友人でアイヌコタンの中心人物でもあるデポ(秋辺デポ)から森の中でのキャンプに誘われます。デポからアイヌの習慣や知恵を教えられただけでなく、秘密の子熊(チビ)を一緒に世話をすることを誘われます。餌やりをすることでカントのチビを可愛がるようになるのですがなんとイヨマンテが行われることになってしまうのでした。
 
 映画初出演ながらも気負いのない淡々とした演技でドキュメンタリーのようでした。母親と店に現れた観光客との一言二言のやりとりでシャモ(和人)が持つアイヌへの誤解と偏見をさりげなく表しています。「日本語じょうずですね。」に対し笑顔で「一生懸命勉強しました。」と答える母親の姿が印象的でした。実は一生懸命勉強しているのはアイヌ語なのですが。
 儀式での民族衣装が大変美しく画面に映えていました。また、「イヨマンテ」の映像にかつての記録映画を組み合わせた演出もわかりやすく良かったと思います。
 歴史的な差別の問題などをさらっと流し「今のアイヌの姿」を美しい自然の中で描き阿寒湖へいざなう前向きな作品です。日米中合作というのもなんとなく嬉しい。(☆)

 タバコは、母親が外で喫煙する姿が一度、地域の集会で隣の部屋で加熱式タバコを喫煙する参加者が一人、そして問題なのは宴会の席で喫煙が一度ありました。歴史的にもアイヌの人々との交換物資の重要なものがタバコでしたが、今もその伝統は残っているのでしょうか。残念です。(✗)


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ビューティフルドリーマー

2020-12-05 | 2020映画評


「ビューティフルドリーマー」 本広克行監督 △

 監督グループが立ち上げた映画製作レーベル「シネマラボ」第1作目の作品です。
 メンバーのひとり押井守脚本で大学の映画研究会を描きました。
 いまひとつのんびり感のある映画研究会のメンバーですが、学園祭を前に古い脚本とフィルムを発見し、その上先輩の斎藤(斎藤工)さんの励ましもあり、いきなり映画製作に目覚め、続きを撮影しようと一気に制作を始めます。オーディションに始まりさまざまな場面を撮影しますが、はたして完成するのでしょうか。

 この作品そのものが素人映画って感じでしたが、わざと素人風の演技をしていたのでしょうか。それともただ単に本当の素人だった?シネマラボのメンバーに「カメラを止めるな」の上田監督もいるので見ていればそのうち何かが始まる・・・と期待したけれど結局大した事件も起きずわけのわからない物語になってしまいました。前途多難だな。

 タバコは、遠景で喫煙場面があり△です。


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劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

2020-12-04 | 2020映画評


「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」 PG12 外崎春雄監督 ○

 吾峠呼世晴原作の連載コミックから、TVアニメ「鬼滅の刃 竈門炭治郎立志編」の続きを劇場版アニメにしました。
 自分の留守中に愛する家族を鬼に食われた竈門炭治郎は鬼殺隊の一員として、禰豆子、善逸、伊之助、そして最強の剣士、煉獄杏寿郎とともに、40人もの行方不明者が出ている「無限列車」に乗り込み鬼退治を始めるのですが・・・。 
 
まったく初めての観客にはわかりにくい流れがあったようです。筆者はノベライズで物語の経緯は理解していたのですが、家族が殺されたのか?夢だったのか?いまひとつはっきりしなかったようです。内容的にあんまり追求しなくても楽しめる作品でしたが、ちょっと文字での補足があるとよりわかりやすかったのではないかと思います。たとえば禰豆子が口に咥えているものは何?とか、鎹烏(かすがいからす)など解説がないと一度聞いただけではわかりにくいのではないでしょうか。豚のお面の中を見せなかったのはちょっと残念。また、鬼にも鬼の悲しみがあるはずなので、もう少しその部分をわかりやすくしてほしかったです。
 コメディの部分の絵が変わりノベライズでは味わえず、コミックらしく楽しかったです。
 声優にプロの声優を使っているのがたいへん聞き取りやすくよかったです。

タバコは、なし。無煙です。タバコ吸っていたら「全集中」とか無理ですよね。


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