「ミセス、ノイズイ」 天野千尋監督 △
「布団叩きの音がうるさい」という些細なご近所トラブルがあれよあれよとSNSやマスコミを通じて大事件になってしまう現代的なサスペンスを描きました。
小説家の真紀(篠原ゆき子)はベストセラー作家ですが、その一作後は鳴かず飛ばずで現在もスランプ中です。引っ越してきた部屋で幼稚園児の娘の世話をしながら締め切りに追われていました。徹夜明けの早朝隣から布団叩きの音がくりかえされるのでつい苦情を言ってしまいます。また、娘がひとりで遊びに行って美和子が連れて帰るということも起きます。隣家の美和子(大高洋子)も実は嫌がらせで叩いているわけではなくある事情を抱えていたのですが真紀の苛立ちもヒートアップしていきます。なんとその二人のやり取りがSNSで流れ大反響となりマスコミが押し寄せます。そして犠牲者が出てしまうのでした。
些細なトラブルからこのようなドラマを織りなした脚本(天野千尋、松枝佳紀)に拍手です。
子役の新津ちせをはじめとして出演者が無名の俳優さんが多かったのですが皆さん適材適役でした。
ジェンダー的には、夫がもっと妻の仕事に理解と協力する気持ちがあればあれ程のトラブルにはならなかっただろうと思います。原因の一つは夫の態度ですね。
男性からは軽蔑されそうなキャバクラ嬢が実は一番的確な評価をしていることは大変痛快でした。
タバコは、軽薄な真紀のいとこがバーでタバコを持っている場面がありました。吸っていなかったのでおまけの△です。