
「山女」 福永壮志監督 日本アメリカ合作 ◯ ☆
民俗学者柳田國男の「遠野物語」から発想を得た作品です。
18世紀の東北早池峰山の麓の村は今年も冷害で貧しく、中でも数代前の事件から冷遇されている一家の娘凛(山田杏奈)は生まれた子を川に流したり、遺体を埋葬する穢れた仕事を与えられ情けで生かしてもらっていました。自分がいなくなればと凛は超えてはならない山神様の祠を超えて早池峰の奥へと入っていきました。そこで不思議な男と出会います。言葉がない男は凛を受け入れることも拒否もせず二人は共に暮らし始めますが・・・。
暗い画面が山村の状況の暗さを表現しています。(撮影 ダニエル サティノフ)山男役の森山未來の動きが山男風で魅力的です。二人の関係がプラトニックなこともファンタジー性を高めています。
博物館などでも見たことがない「くし」が妙にリアルでした。18世紀を描きながらきちんと現代の社会問題を取り上げている脚本がいいです。この作品をきっかけに民俗学に光が当たると日本の映画界も対象が広がるのではないでしょうか。期待したいところです。
タイトルにもうひと工夫ほしかったです。映画館の観客にはリュックを背負った「(登る)山男」風の人が多かったような気がしました。
様々な国の人と一つの作品を作る姿勢に対して(☆)
タバコは、なし。無煙です。