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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「山女」

2023-07-13 | 2023映画評


「山女」 福永壮志監督 日本アメリカ合作 ◯ ☆

 民俗学者柳田國男の「遠野物語」から発想を得た作品です。
 18世紀の東北早池峰山の麓の村は今年も冷害で貧しく、中でも数代前の事件から冷遇されている一家の娘凛(山田杏奈)は生まれた子を川に流したり、遺体を埋葬する穢れた仕事を与えられ情けで生かしてもらっていました。自分がいなくなればと凛は超えてはならない山神様の祠を超えて早池峰の奥へと入っていきました。そこで不思議な男と出会います。言葉がない男は凛を受け入れることも拒否もせず二人は共に暮らし始めますが・・・。

 暗い画面が山村の状況の暗さを表現しています。(撮影 ダニエル サティノフ)山男役の森山未來の動きが山男風で魅力的です。二人の関係がプラトニックなこともファンタジー性を高めています。
 博物館などでも見たことがない「くし」が妙にリアルでした。18世紀を描きながらきちんと現代の社会問題を取り上げている脚本がいいです。この作品をきっかけに民俗学に光が当たると日本の映画界も対象が広がるのではないでしょうか。期待したいところです。
 タイトルにもうひと工夫ほしかったです。映画館の観客にはリュックを背負った「(登る)山男」風の人が多かったような気がしました。
 様々な国の人と一つの作品を作る姿勢に対して(☆)

 タバコは、なし。無煙です。


「オレンジ・ランプ」

2023-07-11 | 2023映画評


「オレンジ・ランプ」 三原光尋監督 ◯

 39歳で若年性アルツハイマー型認知症になった丹野智文さんの実話をもとに主人公とその妻の姿を描きました。
 バリバリの会社員だった只野晃一(和田正人)は認知症と診断されます。妻の真央(貫地谷しほり)は二人の娘には秘密にしてなんとか自分で対応しようとします。ところが晃一はだんだん元気がなくなってくるのでした。そんな折あるグループに出会い「人生を諦めなくてもいい」と気付かされます。二人は周囲に打ち明けることでそれぞれが何ができるのか考えるようになるのでした。

 認知症に限らず病を持ちながらも社会の中で役割を果たしていけるような環境整備を考える切っ掛けになる作品です。
 映画としては悪人が一人もいないのがちょっと物足りないけれど、学ぶ環境さえあればどんな場面でも本当の悪人はいないという解釈もあり、としましょうか。

タバコは、なし。無煙です。
 

「大名倒産」

2023-07-10 | 2023映画評


「大名倒産」前田哲監督 ◯ ☆

 浅田次郎原作の時代小説をコミカルに映画化しました。
 江戸時代、越後、丹生山藩の役人の息子小四郎は美しい母(宮崎あおい)と優しい父(小日向文世)と幸せに暮らしていました。ある日、自分が家康の血を引く丹生山藩主の息子だったと告げられ実の父(佐藤浩市)は勝手に隠居し小四郎(神木隆之介)を藩主にします。その裏には藩が抱える25万両もの借金を踏み倒すため小四郎を生贄にする目論見があったのです。
 偶然出会った幼馴染のさよ(杉咲花)とともになんとか借金を返済しようと努力する姿に影響され二人の兄(松山ケンイチ、桜田通)らも小四郎を励まします。果たして権力と結託した悪徳商(キムラ緑子)との戦いはいかに。

 浅野忠信、勝村政信、石橋蓮司、などの大物キャストが楽しそうにオーバーアクションで演じています。特に梶原善のおおげさな表情が楽しいです(顔と名前が初めて一致)。また、ファッションセンスもすばらしく一狐斎(いっこさい)こと佐藤浩市の髪型や身にまとう着物がおしゃれでした。
 時代劇の伝統を受け継いでいくためにもチャンバラだけでなく、舞台は江戸時代ですが訴えたいことは現代の問題、という内容の作品を楽しみたいものです。特に主人公が槍を売る際に「武器などは持っていると使いたくなるものです。」の一言が心に刺さりました。(ヤリだけに?)

 タバコは、悪徳商人のキムラ緑子がキセルを持っていましたが火はついていなかったので◯です。