無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

火花

2017-11-29 | 2017日本語映画評


「火花」 板尾創路監督 ☓☓☓☓☓ PPホープ他多数

 又吉直樹が芥川賞を受賞した小説を映画化しました。
 売れない漫才師徳永(菅田将暉)は熱海の興行で先輩漫才師の神谷(桐谷健太)と出会い弟子入りします。神谷の条件は「伝記を書くこと」でした。真面目な徳永はノートに日々の記録を書き溜めていきます。ふたりは神谷の同棲相手でもありパトロンでもある真樹を加え(木村文乃)毎日のようにお笑い談義に花を咲かせますが、「売れない」という点は変わりませんでした。時が過ぎそれぞれ違う方向へ向かうのでした。
 原作は読んでいないのでなんとも言えませんが、つまらない映画でした。まず、漫才がおもしろくない。神谷の才能が全く徳永以外には伝わらない。売れないのは当たり前です。出会いの場面で「かたき取ったる。」と豪語するものの喧嘩になるだけでそれなら誰でもできます。笑いでカタキが取ないでどうする? 客観的に見れば才能がないのに漫才にしがみついて女の稼ぎで遊んでいる情けない男でしかありません。菅田将暉の熱演がもったいないくらいでした。
 タバコは、タバコ宣伝のための映画であるかのように、
・冒頭が意味不明の神谷の喫煙、
・それも子役が周囲を囲んでいる。(児童虐待)
・食堂の女性が妊婦であることを話題にしながら平気で喫煙を続ける。(マタハラ)
・飲食店内で必ず喫煙する
・楽屋の廊下などでの喫煙
・予告編で喫煙シーンがある
などなど殆どの場面でタバコが登場していました。2017年汚れた灰皿賞グランプリですね。
 又吉直樹の活動を支援している企業はこのようなFCTCに違反している作品に対し黙認していていいのでしょうか。
 吉本興業は所属の芸人の生命、健康をもっと大切にしてください。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泥棒役者

2017-11-23 | 2017日本語映画評


「泥棒役者」 西田征史監督 ◯ ☆

 劇作家の西田が自身の作品を映画用に書き直し、関ジャニ∞の丸山隆平を主役に映画化しました。
演劇っぽい密室コメディです。
 かつて金庫破りを得意としていた大貫はじめ(丸山隆平)は、今は足を洗い町工場で地道に働き美沙(高畑充希)という恋人と幸せな同棲生活をしていました。しかし、ムショから出たばかりの畠山(宮川大輔)と出会ってしまい、金庫破りを「手伝わないと少年院にいたことを美沙にばらす。」と脅されます。しかたがなくある邸宅に足を踏み入れたのですが・・・。
 家主の絵本作家(市村正親)が勝手にはじめを編集者と勘違いしたために事態は思わぬ方向へ流れていくのでした。
 本当の編集者奥江里子(石橋杏奈)、強引な訪問販売の男(ユースケ・サンタマリア)隣家のクレーマー男(片桐仁)を加えドアを利用した入れ違い、勘違い劇が展開されます。
 芸達者な俳優ばかりで笑わせながらも、誰もが持っている過去や自分へのこだわりを思い返しそれを土台に明日を生きようという意欲が湧いてくる作品となりました。暴力やハダカがなく安心して楽しめるファミリー、カップルにお勧めの作品です。
 特に2016年度日本禁煙学会無煙映画大賞主演女優賞の高畑充希がラスト近くのクライマックスでの演技が絶妙でした。
 宮川大輔のラストの表情もすばらしかったです。
 「小野寺姉、弟」(片桐はいり、向井理)のサプライズ出演も楽しいサービスでした。最後まで席を立ってはいけませんね。
 タバコは、なし。無煙です。絵本の新作を考える場面で、ゴミ箱に吸い殻を捨てそれがきっかけで火災が起きるという案が却下され「タバコを出すのはやめようよ。」というセリフがあり、タバコはかなりのマイナスイメージの扱いでした。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローガン・ラッキー

2017-11-22 | 2017外国語映画評



「ローガン・ラッキー」 スティーブン ソダーバーグ監督 米 ☓☓

 「オーシャンズ11」シリーズで有名な監督が引退発言を覆した新作です。
 ジミー ローガン(チャニング テイタム)は足が不自由なことが理由でいきなりカーレース場の建築現場から解雇され途方に暮れます。楽しみは別れた娘とつかの間過ごす時間です。弟のクライド(アダム ドライバー)はイラク戦で片腕を亡くしバーテンをしています。ジミーは「ローガン家の呪い」を一発大逆転するためにある途方もない大金を盗み出す計画を立てます。そのためには服役中のジョー バング(ダニエル クレイグ)の助けが必要でした。妹のメリーも加わり大計画は実行されるのですが・・・。
 現金強奪事件ではありますがどこかのほほんとしていて、最終的にはみんながハッピーになるという楽しい作品です。
 子どもミスコンに出演したジミーの娘(ファラ マッケンジー)が歌う「カントリーロード」は感動的です。サビの部分しか知らなかった「カントリーロード」の深い意味を初めて知りました。
 この作品は、エンドロールが始まるとさっさと席を立つ人がいますが、「最後まで席を立ってはいけません。」という警告映画です。
 タバコは、作戦上煙が必要な場面があり2回ほど喫煙場面がありました。(☓☓)
 「動物を傷つけていません。」というけれど人間は傷つけてもいいのでしょうか。タバコを使わない作戦にしてほしいものです。
 バーなどではタバコは登場しませんでした。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GODZILLA 怪獣惑星

2017-11-21 | 2017日本語映画評


「GODZILLA 怪獣惑星」 静野孔文、瀬下寛之監督 ◯

 ゴジラといってもこちらは新シリーズのアニメーションゴジラで実写のゴジラシリーズとは直接的なつながりのない作品です。
 過去にゴジラとの闘いに敗れた人類の一部が宇宙船で地球を脱出し、その後20年宇宙を彷徨っていました。しかし、移民できるような星はなく食料や水が限界になっていました。そしてゴジラに奪われた地球を取り戻すため再び地球の地を踏むことになります。一方、地球は時間的には2万年が過ぎていて全体の生態系も予想を超える変化をしていました。そして彼らをめがけて怪獣が攻撃をしかけ、いよいよゴジラも登場するのでした。
 地球は広いからゴジラがいないところに着陸すれば戦闘をしなくても済むのではないかと素人は思ってしまいます。結局ゴジラを撲滅したいということが目的ということでしょうか。共存しようという考えは過去の経験から不可能だったのでしょうか。特攻隊的な戦士が英雄になるストーリーには疑問を感じます。ただ、「ゴジラ」を例えば現在の人類の共通の問題となっている「気候変動」に、「武器」を「気候変動に対抗する国際的な取り組み」に、「戦士」を「気候変動を真剣に考える市民」に置き換えて考えるとこの作品にも価値があるかと思います。
 次回作には共存して生きてきた人類が登場しそうなのでどのように展開するのか興味のあるところです。
 タバコは、なし。無煙です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザ・サークル

2017-11-15 | 2017外国語映画評


「ザ・サークル」 ジェームズ コンソルト監督 米 ◯

 SNSの巨大企業を舞台に「世界がつながること」の危うさを描きました。
 「苦情承り」の電話担当をしていたメイ(エマ ワトソン)は友だちのアニー(カレン ギラン)に誘われて「サークル」の新人職員に採用されます。張り切って仕事に励みますが、メイのプライバシーはほとんど会社が把握している上休日にも「自主参加のイベント」が会社主催で行われ欠席すると問題視されるのでした。福利厚生が整っていると思い自主的に休日も会社のイベントに参加します。そこでタイ ラフィート(ジョン ボヤーガ)と出会います。彼は会社の方針に疑問を感じているようでした。しかし、メイはある時会社が設置した監視カメラのお陰で命拾いをしたことがきっかけとなって、カリスマ経営者ベイリー(トム ハンクス)の目に止まり、自身の生活をすべてさらけだす新サービス「シーチェンジ」のモデルケースとなるのでした。
 一瞬で10億人とつながってしまうネットの世界の無責任な暴力性を描いています。監視されることにもっと敏感になることも必要です。
 友人のアニーを演じたカレン ギレンが「壊れていきつつある人格」を微妙な表情や髪の乱れなどで絶妙に表現していました。
 タバコは、なし。無煙です。(◯)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マスター

2017-11-14 | 2017外国語映画評


「マスター」 チョ ウィソク監督  韓国 ☓葉巻

  韓国犯罪史上最大規模の投資会社のカリスマ的詐欺師の実在の事件を映画化しました。イ ビョンホンが主役の詐欺師に、追い詰める刑事キム ジェミョン役にカン ドンウォンという韓国映画界を代表する二人が演じました。
 金融投資会社の会長を務めるチン ピョンイル(イ ビョンホン)は華々しい演出と巧みな話術で多くの一般市民から不正な方法で多額の資金を集めていました。犯罪捜査官のキムはチンの部下で天才ハッカーのパクに司法取引を持ちかけます。そこから隠しマイクやカメラを使ってチンとキムそしてパクのお互いを出し抜くような情報操作合戦が始まるのでした。
 冒頭の大会場で会員を前にスピーチして洗脳する場面が宗教の教祖のようで客観的には怪しさいっぱいです。ところが会員たちは疑いもせず大金を投資してしまうのです。キムに追い詰められるとチンは警察、司法、検察とそれぞれの人脈を駆使していきます。時にはさらに犯罪行為をしてまですり抜けるのでした。同じようなことはきっとどこの国でもあることなのだろうと思うと、「うまい話には毒がある。」「額に汗して稼ぐ。」などと己を戒めることが大切ですね。 
 カーアクションあり、爆発あり、ドンパチあり、頭脳戦と娯楽性も高い作品です。
 なお、エンドロールの始まりが映画の終わりではありません。場内が明るくなるまで席を立ってはいけませんよ。最後まで落ち着いて鑑賞しましょう。
 タバコは、悪役のイ ビョンホンが葉巻を数回吸いました。☓☓ですが、悪役でマイナスイメージなので(☓)のおまけです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

氷菓

2017-11-11 | 2017日本語映画評


「氷菓」 安里麻里監督 ◯

 米澤穂信原作でアニメ化もされた「古典部」が舞台の学園ミステリーコミックを実写映画化しました。
 神山高校に入学した折木(山崎賢人)は「やらなくてもいいことはやらない」主義でしたが、姉の指示で古典部に入部します。部員に千反田える(広瀬アリス)がいて彼女は「気になること」を放っておけず、推理力の優れた折木に解決を迫るのでした。千反田は、行方不明の元神山高校生だった叔父が幼かった自分に告げた言葉を思い出したいと古典部に入部していたのです。結局古典部の4人は「氷菓」と題された文集のバックナンバーを探し謎に迫ろうとしますが、奇妙なことに「氷菓」の創刊号が見つからなかったのでした。関谷(本郷奏多)はなぜ退学になったのか、千反田に告げたことばとは・・・。
 折木の推理力が冴える小ネタは面白いのですが、本筋の謎がいまひとつ謎らしく無くミステリーといえるのかどうかあやしいです。
 いじめ問題などと関連して「傍観者であることの罪」についてもっと掘り下げると映画にした意義も出てくるのではないかとも思いました。
 音楽はミステリーらしく効果的でした。しかしながら、広瀬アリスを女子高校生役に起用した理由がこの作品の最も大きな謎です。なんで?
 タバコは、なし。無煙です。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶

2017-11-10 | 2017日本語映画評


「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」 滝田洋二郎監督 △

 人気料理番組「料理の鉄人」の演出家田中経一原作の小説を映画化しました。
 天才料理人の佐々木充(二宮和也)はこだわりが強すぎて経営していたレストランがつぶれ、今は高額の報酬で「昔のあの味」を再現する仕事をして借金の返済に当てていました。そんな充のもとに楊清明と名乗る中国人から戦時中に日本の料理人が作ったフルコースのレシピを探し出してほしいと依頼が来ます。高額過ぎる報酬に疑問を感じながらも指示されるまま満州で日本軍の要請でレシピを考えだしたと言われている山形直太郎(西島秀俊)の足跡をたどるのでした。そこにはある陰謀が隠されていたのです。一度経験した味は忘れない、という「麒麟の舌」を持つ山形のこだわりはどこか充と重なる部分があるのでした。
 果たしてレシピにたどり着くことはできるのでしょうか。
 二宮が料理人に見えずちょっと残念でしたが、予告編では想像ができない「仕掛け」があり、物語としてはおもしろくできています。戦時には意外な仕事の人々にも不幸が訪れるのですね。山形が言っていたように、世界中の人が美味しい料理で幸せを感じられる社会にしたいものです。
 タバコは、山形にレシピ作りを依頼した軍人役の竹野内豊が後ろ向きでしたが1回喫煙しました。あまり目立たなかったので△ですが、竹野内はタバコ露出が多い俳優です。
 タバコではないのですが、15歳の充の頬をある大人がひっぱたく場面がありましたが、どんな体罰であれ、体罰は虐待です。タバコが国際条約違反なのと同様虐待も子どもの権利条約に違反しているのではないでしょうか。製作者には安易に暴力を演出しないよう考えてほしいです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アウトレイジ 最終章

2017-11-06 | 2017日本語映画評


「アウトレイジ 最終章」 R15+ 北野武監督 △

 暴力団を描いた北野監督の「アウトレイジ」シリーズ最終作です。
 関東の山王会対関西の花菱会の抗争に敗れた大友(ビートたけし)は済州島に逃れ韓国と日本の裏社会を牛耳る張会長(金田時男)の下にいました。花菱会の花田(ピエール瀧)が済州島でトラブルを起こし張会長の部下を殺してしまいます。激怒した大友は日本に戻り過去の精算の機会を伺っていました。一方、花菱会では幹部たちの権力闘争が裏表でそれぞれの思惑がからみ激しくなってきました。果たして決着は着くのでしょうか。
 派手なドンパチが多く特に無差別に乱射する場面は現実にはありえないと思います。唯一、警察と暴力団幹部との癒着などは現実にもありそうな話でした。
 また、俳優たちに凄みがなくちょっと苦虫を噛んでいるような顔をしているだけでした。ビートたけしもいつものギャグのような台詞もあって「もしかしてコメディなの?」と勘違いしそうでした。西田敏行などはどうしてもヤクザには見えず、「ハマちゃん」か「ナミヤ百貨店」のキャラでしかないようです。あまり映画には登場しないような新鮮な強面の俳優を探し出してほしかったです。黒塗りの車を出迎える若い組員たちの姿も、体育会の先輩への挨拶を聞いているようでした。エキストラにもこだわってほしいものです。
 良かったのは、タバコがほとんど登場しなかったことです。灰皿はテーブルの上に何回かありましたが、冒頭で大森南朋がちょっと口にした程度で(△)多くの中高年俳優の健康を守った点では大いに評価したいと思います。 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

先生!、、、好きになってもいいですか?

2017-11-02 | 2017日本語映画評


「先生!、、、好きになってもいいですか?」 三木孝浩監督 ◯ PPホープ

 河原和音の人気コミックが原作です。岡山を舞台に実写映画化しました。
 高校の弓道部の響(広瀬すず)は世界史の教師伊藤(生田斗真)に恋をします。伊藤は生真面目ですが真に生徒思いの教師です。響の素直な告白に対しても大人の対応として聞き流します。響はそれでもより一層想いを募らせるのでした。そしてある事柄がSNSで拡散してしまい、伊藤の立場が危うくなってしまうのでした。
 教師と生徒の恋愛物ですが、恋をし、それに戸惑ったり恋する気持ちに素直に従ったりする広瀬すずの豊かな表情が見どころです。広瀬はチアダンスや競技かるた、そして弓道となんでも器用にこなしています。また、生田も「土竜の唄」や「彼らが本気で編むときは、」などとは全く異なる役柄をこなしていました。
 響だけでなく、男女の親友それぞれが教師に恋をしているというのが、設定に変化がないように思いました。弓道仲間の藤岡くん(健太郎)の存在が自然でよかったです。
 ナポレオンの名言「おまえが未来に出会う災いは、お前がおろそかにした過去の報い」が効果的に使われていましたが、世界中の人がこの言葉の意味を考えないといけないのではないかと心に刺さりました。
 タバコは、無煙ですが、伊藤の教師用の寮の部屋に吸い殻が入った灰皿とホープ、使い捨てライターがありました。「ホープ」とはいってもタバコに「希望」はありません。タバコに関してもナポレオンの言葉は的を射ています。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする