「思い、思われ、ふり、ふられ」 三木孝浩監督 ○
咲坂伊緒原作の人気コミックを実写版で映画化しました。
同じマンションに暮らす由奈(福本莉子)と和臣(赤楚衛二)は幼馴染です。由奈の親友朱里(浜辺美波)と親同士が再婚し義理の弟になった理央(北村匠海)が同じマンションに暮らすことになりました。由奈は子どもの頃から憧れていた絵本の中の王子様そっくりの理央に恋をします。いつも下を向いて自分を出せない由奈に対し朱里は気をもみます。一方、実は理央は朱里に関心があり朱里も理央が気になる存在ですが、義理とはいえ姉弟なので感情を隠していました。それぞれが思い思われてはいるもののなかなか思うようには話は進みません。そんな折、朱里と理央の家庭に新たな問題が起こります。
かつてのキラキラ映画から映画そのものの成長を感じる作品です。恋物語ではあるものの「思い、思われ」だけでなく、親の都合で子どもの生活が揺らいで不安定になることを、子どもは子どもなりに波風が立たないよう配慮しながら生活している、という切実さが感じられます。お互いに励ましあって一歩踏み出すという設定で、妙な悪役がいないところも素直に爽やかです。
また、朱里が「通訳になる」という夢に向かって勉強をしている姿がきちんと描かれ「恋だけではなく勉強もしている」という姿に好感を持ちました。
彼らの数年後の姿も見てみたいです。
ところで、高校生の映画ではほとんど制服姿ですが、そろそろ「制服なし」の学校が登場してもいい時代ではないでしょうか。「持続可能な魂の利用」(松田青子著)を読んでいて思いました。
タバコは、なし。無煙です。