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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

2023年無煙映画賞

2024-06-03 | 2023年無煙映画賞
5月31日、世界禁煙デーに合わせて巣鴨の高岩寺で2023年無煙映画賞の発表と表彰式を行いました。

**2023年無煙映画賞各賞と推薦理由**

<作品賞> 「ミステリと言う勿れ」 松山博昭監督 東宝

 田村由美原作の人気漫画を実写ドラマ化の劇場版です。広島を舞台にして平和記念公園なども紹介されたことで単なる人気作品を超え社会性のある娯楽映画となりました。ジェンダーの問題を男性主人公がきっぱり指摘するセリフも秀逸です。また、原作者によるモノクロのアニメーションが印象的でした。
 観客動員数も高い作品が無煙映画で大変素晴らしいです。


<主演俳優賞> 劇団ヨーロッパ企画 「リバー、流れないでよ」・配給トリウッド

 京都貴船神社と旅館「ふじや」の全面協力で、ある理由で同じ2分間をなんどもくりかえす、というタイムループ作品です。芸達者な劇団員が旅館のスタッフや利用客を演じたドタバタ喜劇はイヤミのない笑いを提供してくれます。劇団のファン以外の人は名前と顔が一致しないような地味な俳優たちが一級の演技を競演しています。
 かつて劇団といえば「灰皿が飛ぶ」という伝説がありましたが、そんな時代は遠い過去に流れていったことを実感させてくれる無煙映画のコメディです。

<監督賞>  三原光尋監督 「オレンジ・ランプ」「高野豆腐店の春」

「オレンジ・ランプ」
39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された主人公が周囲の理解と協力の中人生を諦めずに生きる姿を描きました。

「高野豆腐店の春」
理由のある父(藤竜也)と娘(麻生久美子)がこだわりの豆腐店を営む姿を淡々と時折コメディタッチで描きました。
 

<特別賞> 「No選挙、 No LIFE」 前田亜紀監督 配給ナカチカピクチャーズ

 選挙取材歴25年のフリーランスのライター畠山理仁の情熱と苦悩を追ったドキュメンタリー映画です。
 国政から地方選挙、時には海外まで出かけて候補者全員の取材をする、という信条を掲げ、秒単位で候補者を追う姿は感動的です。観たあとは次の選挙には投票に行きたくなり投票率アップに貢献する作品です。選ばれた政治家の皆さんには畠山さんに負けず真摯に仕事をしてほしいものです。


<アニメ映画賞> 「かがみの孤城」 原恵一監督 松竹 

 直木賞作家辻村深月のベストセラー小説を長編アニメ化しました。
 家に閉じ困っている主人公は部屋にあるかがみに導かれ孤城の世界に入り込みます。そこには7人の同世代の少年少女が同じような悩みに苦しんでいました。「オオカミさま」の指示で願いが叶う鍵を探すことになりますが・・・。
 時空を超え個性もバラバラな中学生が仲間と力を合わせて問題解決をする姿が観客にも生きる勇気を与える作品です。


<外国語映画賞> 「燃えあがる女性記者たち」 
リントゥ トーマス、スシュミトゴーシュ監督 インド 配給きろくびと 

 インドの最下層カーストの女性たちが立ち上げた新聞社「カバル ラハリヤ」の記者たちが手強い男性たちに揉まれながらもめげずに取材をしていく姿を追ったドキュメンタリー映画です。
 日本政府は「価値を共有する国」としてインドを捉えていますが、実はインドの一部ではヒンズー至上主義の集団が牛耳っている実情をさらけ出しています。
「非暴力」の価値観はどこかへ消えてしまったのか、大きな剣をむき出しに持って出歩く男たちの姿は怖いです。
映画の世界ではハリウッドに並ぶかそれ以上のインドですが、これからもいい映画が撮れるよう平和な国であり続けてほしいものです。

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