無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

顔たち ところどころ

2018-10-14 | 2018外国語映画評


「顔たち ところどころ」 アニエス ヴァルダ、JR 監督 仏 ◯

 フランス映画会の名匠ヴァルダ監督が若い写真芸術家の「JR」青年と出会い、フランス各地を回って「顔」の写真を撮って張り出す活動をする姿を追ったドキュメンタリーです。
 「ヌーベルバーグの祖母」と言われている88歳のアニエスは参加型アーティストで写真家の「JR」と出会います。50歳の年齢差を超えてふたりはフランス各地を回って市井の人々の飾らない姿を撮り、拡大印刷をして張り出します。その行動は人々に「芸術」を間近に感じさせ、二人も様々なことを語り合うのでした。
 かつて栄えた炭鉱街、港湾労働者、ヤギを飼育する農家、廃墟などなど。どこでも人々の「顔」は生きる喜びを表しています。芸術の国らしく一般の労働者が芸術を感じる感性が育っていることを羨ましいです。また、労働者であることに誇りを持っていることもすばらしいです。
 デコボコのふたりにはユーモアもあって会話が楽しいです。こういう高齢者になりたいものです。また、若いJRが相棒のヴァルダに対しきちんと尊敬し、優しく接するところもいいですね。
 タバコは、なし。無煙です。 


クワイエット・プレイス

2018-10-13 | 2018外国語映画評


「クワイエット・プレイス」 ジョン クラシンスキー監督 米 ◯NTS

クラシンスキー監督自身のオリジナル脚本で主演もしたサスペンスホラー映画です。
 「音」に敏感に反応する凶暴な生物に地球上が襲われます。アメリカのトウモロコシ畑が広がる地方都市でも僅かな人しか生存していませんでした。エヴァリン(エミリー ブラント)と夫のリー(ジョン クランスキー)は3人の子どもとあれこれ音がしないよう工夫し命をつないでいました。娘のリーガン(ミリセント シモンズ 自身が聴覚障害者)が聴覚障害者なため家族で手話が使えたことも生存に貢献していました。しかし、リーガンの弟思いが仇になり弟のボーは「生物」に食われてしまいます。リーガンは罪悪感に苦しみ両親との関係もねじれてくるのでした。それでも一家は音を立てずになんとか生き延びるていたのですが・・・。
 「発電はどうしているの?」とか「爆音がする滝のそばで暮らしたら・・・。」などツッコミどころはいくつかありますが、それは置いておいて、面白い作品です。
 難をいえば「生物(クリーチャー)」が「エイリアン」からあんまり変わっていないことです。この作品も前半部分のどんな生物かはっきり描かれていない場面の方が効果的でした。はっきり正体がわかってしまうとちょっと興ざめでした。クリーチャーデザインナーの皆さんにはもっと独創的なクリーチャーを期待したいところです。
 タバコは、なし。無煙です。
 

パーフェクトワールド 君といる奇跡

2018-10-12 | 2018日本語映画評


「パーフェクトワールド 君といる奇跡」 柴山健次監督 ◯ 松竹

 有賀リエ原作の恋愛マンガを実写映画化しました。
 インテリアデザイナーの川奈つぐみ(杉咲花)は仕事の関係で高校時代に憧れていた先輩鮎川樹(岩田剛典)と再会します。樹は高校時代の夢だった一級建築士になったものの車椅子生活になっていました。それでもつぐみは樹とデートをするようになります。一方、樹は自分には幸せになることを願ってはいけないと頑なにつぐみを拒否する気持ちもあるのでした。
 車椅子生活になったことで物理的精神的肉体的に多くの困難が伴っている樹の内面性を岩田が微妙な表情の変化で演じています。「子犬のような少女」のイメージが強い杉咲花もいつのまにか車が運転できる年齢になっていたのですね。樹のセリフではありませんが「だいじょうぶ?」って感じでした。
 車椅子生活の樹を職場の仲間や高校時代の仲間が普通に接している姿に好感が持てました。また、同級生の是枝役の須賀健太が(彼もいつの間にかお酒が飲める年齢になっていてびっくり!)微妙な立場の役どころを好演していました。
 娯楽映画で障がいのテーマを扱うことにも好感が持てました。
 タバコは、なし。無煙です。


あの頃、君を追いかけた

2018-10-11 | 2018日本語映画評


「あの頃、君を追いかけた」 長谷川康夫監督 ◯ キノフィルム

 台湾の作家ギデンズ・コーが自伝的小説を自ら映画化し大ヒットした作品の日本版リメイクです。
 地方の高校で馬鹿なことばっかり真剣にやっている男子水島(山田裕貴)はあまりにふざけすぎるため、教師から指導役に優等生の早瀬真愛(齋藤飛鳥)が指名されます。真面目な早瀬は呆れながらも指導を続けますが、いつのまにかふたりはお互いを意識するようになります。はたしてこの幼い恋は成就するのでしょうか・・・?
 いわゆる「おバカ男子」と「真面目女子」のやりとりがのどかな地方都市を舞台に描かれています。今ではありえない厳しい校則と鬼のような教師、基本的には静かに授業を受ける生徒たちが新鮮で爽やかですらあります。サブタイトルに「かつての高校生たちへ」とかつけるとシニア層の観客動員ができたのではないでしょうか。
 水島を取り巻く友人役がそれぞれ個性的でよかったのですが、沖縄の「阿麻和利」ファンとしてはなかでも佐久本宝くんの活躍が嬉しいです。
 タバコは、なし。無煙です。


コーヒーが冷めないうちに

2018-10-09 | 2018日本語映画評


「コーヒーが冷めないうちに」 塚原あゆ子監督 ☓☓

 川口俊和の小説を映画化しました。
 時田数(有村架純)が働く喫茶店には不思議な席がありました。その席に座って念じるとコーヒーが冷めるまでの短い時間念じた過去に戻れるという話でした。起きたことは変えられないなどのルールがあるものの試した人は元気をもらうことができるのでした。恋人と喧嘩になった女性(波瑠)、認知症の妻(薬師丸ひろ子)と介護する夫(松重豊)、妹を避けていた姉(吉田羊)などそれぞれが生きる力を得ていました。一方、数自身にもある秘密があったのです。そして恋人となった常連客の新谷(伊藤健太郎)とふたりで問題を解決しようとするのでした。
 別に不思議な席がなくたって過去を顧みて今を生きればいいのでは、と言ってしまうと物語になりません。ファンタジーの要素があるからこそいろいろな物語が紡がれるのでしょう。
 焙煎したコーヒーがたくさん並んでいたけれど時間が経つとコーヒーは味が落ちるのでは・・・。コーヒーが美味しそうではなかったのはそのせいでしょうか?
 タバコは、客の吉田羊がカウンターで喫煙(☓)、そういう時代ではないですね。吉田が経営しているスナックで新谷の友人が喫煙(☓)、喫茶店もスナックも喫煙できる場所ではありません。もしかして昭和の話だったの?


散り椿

2018-10-06 | 2018日本語映画評


「散り椿」 木村大作監督 ◯

 葉室麟の時代小説を木村監督が映画化しました。監督初の時代劇です。
 亨保15年、藩の不正に立ち向かった瓜生新兵衛(岡田准一)は藩を追われますが、亡くなった妻(麻生久美子)の願いでふたりの友人であった榊原采女(西島秀俊)に会うため再びふるさとの藩に戻ります。妻の妹(黒木華)や弟(池松壮亮)とくらしますが、彼の周囲ではさまざまな嫌がらせなどが起きるのでした。大きな権力を正すことはできるのでしょうか。
 「見たことがない殺陣」を要求する監督に岡田准一自らが提案したという殺陣が見どころです。特に池松と岡田のシンクロナイズした殺陣は殺陣というよりも剣舞のように美しかったです。ラストでもう一度見せてもらえると時代劇ファンが喜んだのではないでしょうか。
 悪役の奥田瑛二、石橋蓮司、新井浩文が憎々しくよかったです。
 タバコは、キセルをポンと叩く音がしただけなので◯です。木村監督も健康に気をつけて次回作を期待します。「山」より「時代劇」を。


パパはわるものチャンピオン

2018-10-05 | 2018日本語映画評


「パパはわるものチャンピオン」 藤村享平監督 ◯ ☆☆☆ ショウゲート

 人気絵本を実写映画化しました。
 小学生の祥平(寺田心)はパパ(棚橋弘至)の仕事を知りませんでした。「大きくなったら教えてあげる」とパパは言います。友達から「なんかやばい仕事なんじゃないの?」と言われ、ある日仕事へ行くパパの後をつけます。実はパパはかつてはプロレスのチャンピオンでしたが、ケガや年齢で今はマスクをかぶった悪役レスラーでした。プロレス会場に紛れ込んだ祥平はそこでクラスの女の子とばったり出会います。そしていつのまにかヒーローのドラゴンジョージ(オカダ・カズチカ)が祥平のパパということに話が進んでしまいます。「嘘つき」になってしまった祥平と本当のことが言えないパパの葛藤が続くのですが・・・。
 寺田くんはじめ子役たちの演技がうまいです。素人っぽいパパに対し、ママの木村佳乃が巧みにカバーし爽やかな家族を演出しています。親が子どもにきちんと謝る姿がいいです。祥平にプロレスの魂を伝授する編集者のミチコ(仲里依紗)が意外なコメディエンヌぶりを発揮し盛り上げています。「悪役がいるからヒーローが輝く」社会も嫌な仕事をしている人がいるからこそ成り立っているのですね。笑えて泣ける今年のベストワンです。(☆☆☆)
 秀作なのに入りが今ひとつでちょっと残念です。客層のターゲットをかつての力道山世代にするとシニアとその孫(寺田くん効果)という世代を超えたつながりで観客が増えたのではないでしょうか。
 タバコは、なし。無煙です。無煙映画賞作品賞候補作です。



食べる女

2018-09-28 | 2018日本語映画評


「食べる女」 PG12 生野慈朗監督 ◯ 東映

 筒井ともみ原作の短編集「食べる女」を豪華女優陣の競演で映画化しました。
 天涯孤独な料理本だけの古本屋の店長兼文筆家餅月敦子(小泉今日子)の古い家には様々な女性たちが集まっていました。鈴木京香、沢尻エリカ、前田敦子などが料理を前に色っぽい話題を含め(PG12ですから)本音トークを繰り広げます。一方、あるバーのカウンターでも広瀬アリス、山田優があれこれ語るのでした。
 食事が原因で夫婦の危機を迎えたカップルやシングルマザー(壇蜜)の悲哀なども加わります。「食べる」ということを絡ませたエピソードが紹介されます。
 「ものを食べる姿」ってあまり美しいものではありませんが、それに挑戦するかのようによく食べる作品でした。映画のラスト、まあ鍋料理あたりだと「シメ」になるのでしょうが、それが「卵かけご飯」とは・・・。ご飯が冷めていていくらりっぱな卵を乗せてもあまり美味しそうではなかったのが残念でした。
 家庭の料理では「作る人」「食べる人」の役割分担の問題が生じる場合もありますが、今作ではそのあたりは料理が得意な男性も登場させることで一応気を使っていました。
 タバコは、小泉今日子が登場するので心配でしたが、無煙でした。バーの場面でも無煙で大変良かったです。(◯)男性に対する評価のセリフに「酒もタバコもやらない人」と褒め言葉になっていました。


あまや座

2018-09-21 | 映画関連情報など


映画館紹介

「あまや座」 茨城県那珂市瓜連 水郡線瓜連駅から徒歩6分
 名画座がなかった茨城県初の市民参加型の名画座です。2017年10月オープン
 首都圏に住んでいないと見逃してしまう作品が上映されます。


マルクス・エンゲルス

2018-09-21 | 2018外国語映画評


「マルクス・エンゲルス」 ラウル ペック監督 仏独ベルギー合作 ☓☓☓☓☓

 1840年代のヨーロッパで産業革命後に生じた社会格差の中、「科学的社会主義」を啓蒙しようとする若き日のマルクスとその理解者でともに仕事をしていたエンゲルスを描きます。
 貴族出身の妻(ビッキー クリープス)と暮らすマルクスは貧しさが蔓延していく社会の変化に苛立ち過激な原稿を発表し、ドイツから追放されます。一方、イギリスで紡績工場の社長代理をしているエンゲルスは社長の父親が労働者を奴隷のように扱うことに違和感を感じていました。その後、ふたりはパリで出会います。そしてお互いの思想を深めていくのでした。
 冒頭の森の中で薪拾いをする人々が、「落ちている木も所有者のものである。」という理屈で騎馬隊に追われて鞭打たれる場面が強烈です。「所有とは?」を問いかける印象的な導入です。
 同様に19世紀の不平等が現在まで続いているというエンディングも強烈です。
 タバコは、この時代から社会格差同様タバコの依存症が始まったようでふたりともほとんどチェーンスモーカーのように葉巻を吸っていました。「安い葉巻より高級な葉巻の方がうまい」などのタバコネタもありました。(☓☓☓☓)また、ラスト近くでは妻も紙巻タバコを吸っていました。(☓)マルクスとエンゲルスの映画がグローバル企業のタバコ会社の宣伝に使われているというのが皮肉です。