無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「倭文(しづり)旅するカジの木」

2024-12-07 | 2024映画評

「倭文(しづり)旅するカジの木」 北村皆雄監督 ◯

 日本書紀に登場する邪気を払うという古代の布の再現を試みるドキュメンタリーです。

 京都西陣の帯匠山口源兵衛はしづり、しずなどと称される古い布に興味を持ちぜひ再現したいと和紙の里をはじめ、材料となっていたカジの木を巡って各地を回ります。台湾、インドネシア、パプアニューギニアにまで調査を進めるのでした。

 一方、霊力を持つカジの繊維で織られた布が持つ役割と、現代の布作家たちがそれぞれ自身が考えるしづり制作に取り組むのでした。

 いつもはゆったり座れる平日のあまや座なのに予約の段階から混んでいて「今日はほとんど満席です。」なんで?と思いましたが、地元の神社や織物作家が登場するご当地映画だったのでした。また、上映館が少ないので各地から集まっていたのかな。

 カジはないけれどわさわさ広がるミツマタがあるので来春は繊維を取ってみようか、と思いました。

 ところで、上映中はスマホの画面の確認はやめてください。斜め前の人は何度も確認するのでそのたびに集中が切れました。他にも光っていました。映画を見るときくらいスマホから離れましょう。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「六人の嘘つきな大学生」

2024-12-06 | 2024映画評

「六人の嘘つきな大学生」 佐藤祐市監督 ◯

 浅倉秋成原作の密室ミステリードラマです。

 人気エンターテイメント会社の採用試験で最終に残った6人に課せられたのは奇妙な内容でした。全員が内定を取れるようチームとなって取り組みますがいざ本番になるとなんとたった1名のみ採用するのでそれを6人で決めなさいという課題でした。途方に暮れる6人の前にそれぞれの知られたくない過去を暴く封筒が用意されていたのでした。

 就活が大変なことはいろいろなところで問題になっていますが、それをテーマにしたことは面白いと思います。ただ、意地の悪い採用方法を取る大人が全く批判も非難もされずに済んでしまっていいのでしょうか。こういう会社はきっと続かない。5年経ったらなくなっていました。ちゃんちゃん、という終わり方の方がすっきりするのですけど。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「室井慎次 敗れざる者」前編、「室井慎次 生き続ける者」後編

2024-12-05 | 2024映画評

「室井慎次 敗れざる者」前編、「室井慎次 生き続ける者」後編  本広克行監督 ◯

 1997年から続いた「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ作品です。

 警察を辞め秋田の田舎に暮らす室井(柳葉敏郎)は犯罪関係者の子どもの里親となっていました。畑仕事や子どもたちの世話、小屋の修繕などのどかに暮らしていましたが、近くの空き地から遺体が発見されたことから周囲の人びとから「出ていけ」と言われるようになっていました。

 その上過去に関わった事件の犯人(小泉今日子)の秘密の娘(福本莉子)が現れてから平穏な日々は揺さぶられていきます。果たして遺体は誰でなぜここだったのか?

 大きな事件は起きませんが、音楽の使い方などにかつての味わいがあります。

ただ、今作では「動物と子役にはかなわない」という言葉通り子役(双子?)と秋田犬が大変素晴らしかったです。

 矢本悠馬が勝手に空回りするおっちょこちょいの警官をコントのように演じ笑わせてくれました。

 小泉今日子はこういう役のほうが存在感がありますね。

 また、スタッフがベテランばかりなのか聞き取れないセリフが一つもなくストレスフリーで楽しめました。基本がいかに大切かを教えてくれています。

 一つの犯罪で被害者はもちろん加害者の家族も多くの人生が振り回されます。警察のポスターみたいですが「犯罪には手をだすな。」

 「銃は自分を守る」というようなセリフがありましたが、それはどこかの国のライフル団体の言ってることと同じなのでは、と違和感がありました。

 タバコは、前編のエンドロールの過去作の映像で織田裕二と柳葉敏郎がタバコを吸っている場面が紹介されていました。時代を感じさせます。後編はなし。

 ただ、集落にある小さなお店のレジの後ろにはたくさんのタバコが並んでいました。ちょっと不自然ですね。

 


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「正体」

2024-12-04 | 2024映画評

「正体」 PG12 藤井道人監督 ✘ ☆☆

 染井為人(そめい ためひと)原作のサスペンス小説を実写映画化しました。

 一家殺人事件を起こし無実を訴えつつも、死刑判決を受けた鏑木慶一(横浜流星)は脱走し変装しながら逃げ続けます。建設現場では怪我をした仲間を救い、オンラインライターの仕事でも出版関係者から重宝され担当者の安藤(吉岡里帆)はネットカフェを利用する鏑木を部屋に泊めます。一方、彼を追う刑事又貫(山田孝之)は追い詰めますがあと一歩で逃げられてしまいます。又貫は鏑木がなぜ命がけで逃げるのか、本当は冤罪なのか、と考え始めるのでした。

 原作も面白かったのですが、映画はそれを超えました。鏑木に関わる人が自分自身を顧みて生き方を考え直したりより充実させたりする姿は髪の色や表情など、映画ならではわかりやすく演出されました。以下少々ネタバレですが、原作のラストには納得しない読者がいたとか、娯楽作品ではやっぱり「希望」とか「昇華」とか前向きになりたいですね。その点ではこの作品は大成功です。

 なお、刑事の山田がかっこよすぎ、また、地味ですが出版社の宇野祥平、痴漢冤罪被害者役田中哲司、鏑木が生活していた施設長役の木野花、らが好演しています。悪役の松重豊も本当に憎らしかった。悪役がうまいと作品が締まりますね。

 タバコは、建設現場の労働者が休憩時何人か喫煙していました。

 


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「海の沈黙」

2024-12-01 | 2024映画評

「海の沈黙」 若山哲朗監督 ✘✘

 かつて数々の名作ドラマを生み出した倉本聰が長年あたためていた物語を映画化しました。

 世界的な画家田村修三(石坂浩二)の個展でひとつの作品が贋作であると本人が指摘したことから始まります。自身の絵よりも素晴らしいできだったのです。そのような絵が描けるのは過去に田村によって潰された天才画家津山(本木雅弘)しかいません。そんな中、全身に入れ墨がある女性の遺体が発見されます。津山のたったひとりの理解者スイケン(中井貴一)によって津山のかつての恋人で今は田村の形だけの妻になっている杏奈(小泉今日子)は小樽へ向かいます。

 「美」とは?という聖なる永遠のテーマに人間の欲望などのさまざまな「俗」が絡んでいます。

 ただ、どこがどう、と具体的には言えないのですが、「昔風の入れ墨」とか女性が手切れ金を拒否して死んでしまったり、裸の女性が添い寝して傷ついた男を慰めたりとか、現代にそぐわないというか、見ていて全体的に「昭和だよな。」とか「おっさんドラマだよ。」いう古臭さを感じました。

 タバコは、こちらも古臭い使い古された演出で、暗闇にタバコの火とサングラスで謎っぽくしたり(中井貴一1961年生)、ホテルの部屋で平気で喫煙したり(石坂浩二1941年生)(そんな時代もあったね。)こちらも昭和でした。

 中井も石坂も喫煙シーンは命がけですね。

 


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「八犬伝」

2024-11-30 | 2024映画評

「八犬伝」 曽利文彦監督 ◯

 山田風太郎原作の滝沢馬琴と彼の著書「八犬伝」の完成までを描いた時代小説を映画化しました。

 戯作者馬琴(役所広司)は「里見家にかけられた呪を解くために集められた剣士の姿を躍動的に描き」大好評でした。挿絵画家の葛飾北斎(内野聖陽)は馬琴の元を時折訪ねお互いの作品を高め合っていました。という実の世界を描く一方、著作の中の虚の世界では八犬士たちや敵たちが縦横無尽の活躍をしています。

 いよいよクライマックスかというときに馬琴の視力が落ち文字を書くことができません。希望をなくした馬琴に、病で亡くなった息子(磯村勇斗)の妻で無学のお路(黒木華)が夫の遺言を全うしたいと名乗り出ます。果たして完成の日は来るのでしょうか。

 実の世界と虚の世界が映像的にも監督が違うのではないかと思わせるほど描き分けられ面白い試みです。時代を感じさせる歌舞伎小屋での歌舞伎まで見せてくれサービス満点です。「実」と「虚」、映像が異なるだけでなく哲学的な問いかけまであり、時代劇、アクション、歌舞伎とともに娯楽映画として様々な世代がそれぞれ楽しめる作品です。

 剣士たちの爪が汚くて大変リアルでした。

 タバコは、なし。無煙です。

 ちょっとつぶやき

「いろは」しか書けなかったお路がどのように成長していったのか、次にはその映画が見たいです。


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「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナルハッキングゲーム」

2024-11-29 | 2024映画評

「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナルハッキングゲーム」

                 中田秀夫監督 △ ☆

 2018年、2020年に続くシリーズ第3作目で、最終章です。

 天才ハッカーで殺人鬼の浦野(成田凌)は逃亡後なんと韓国にいました。彼は韓国の闇組織のキム(大谷亮平)に拉致され、日韓首脳会談を狙ったテロ攻撃を指示されるのでした。

 浦野の世話をする名目で組織からスンミ(クォン ウンビ)がそばで見張っていました。はじめは反発するスンミでしたが、浦野が自分と同じ子ども時代を過ごしていたことを知ることで、二人の関係が変わって行くのですが・・・。

 成田と大谷が巧みに韓国語を使っていてびっくりです。大谷は2003年から韓国で活躍していて逆輸入俳優だとか。スンミ役のクォンも日本語が話せお互いに両国の交流になっています。これだけでも☆です。

 便利なスマホも使い方次第で武器にもなるのは怖いですね。

 1作目の衝撃的演技の成田がこれで見納めかと思うとちょっと残念です。ファイナルはサスペンスラブストーリーとなりました。 

 タバコは、キムが浦野を拉致する場面でタバコを道路に捨て靴で踏み潰す場面がありましたが、姿は隠せても煙は隠せません。敏感な浦野が気づかないわけがない。演出がちょっと並でした。咥えている場面がなかったので△です。

 


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「ぼくが生きてる、ふたつの世界」

2024-11-17 | 2024映画評

「ぼくが生きてる、ふたつの世界」 呉美保監督 ✘✘

 五十嵐大のエッセイ集「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」が原作です。

 大(吉沢亮)は子どもの頃はろうの母親と社会との通訳を当たり前にしていましたが、成長とともに周囲の目が気になるようになり逃げるように東京へ出てなんとか生きていました。疎ましかった母からある一言を告げられショックを受けるのですが・・・。

 母親役の忍足(おしだり)亜希子、父親役の今井彰人、そして登場するろうの役はすべてろうの俳優が演じています。

 2014年のフランス映画「エール!」では冒頭からろうの家族が遠慮なく出す日常生活のガチャガチャドンドンといった音がやかましく「聴こえない、とはこういうことなのか」と気付かされましたが、今作は静かでちょっと違和感がありました。

 「小さな親切大きなお世話」的なやりとりがあり、聴こえなくても生きやすい環境をどうすればいいか考えさせられました。

 タバコは、新生児が仕切りのない隣の部屋にいるのに喫煙し、突然死のリスクが高いので大変気になりました。

 編集者の部屋がタバコもくもくでした。特にその中のひとりユースケ・サンタマリアは1971年生でそろそろ喫煙は命に関わるお年頃、せっかくの貴重な俳優を大切にしてほしいです。セクハラ、パワハラだけでなくスモハラにももっと神経を使いましょう。

 


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「がんばっていきまっしょい」

2024-11-16 | 2024映画評

「がんばっていきまっしょい」 櫻木優平監督 ◯

 敷村良子が1995年「坊っちゃん文学賞」大賞を受賞した原作小説で実写映画化(1998年)、テレビドラマ化もされた人気作品を長編アニメーション作品にしました。

 海も山も美しい自然豊かな松山市、三津東高校に通う悦子はなんとなく満たされない日々を過ごしていました。そんな折転校してきた梨衣奈から「ボート部復活」を誘われます。親友のヒメにも促されダッコやイモッチとともに女子ボート部の活動を始めるのですが・・・。

 通常のスポ根ものとは一線を画していてあまりやる気のない悦子をなんとか周囲が盛り上げていく姿が現実的です。作者の敷村のちょっとめんどくさい性格が反映されているとか。(参考「週刊金曜日」)

 アニメーションの映像は美しく特にボートを漕ぐときの視界の変化などはお見事でした。ただ、登場する女子たちが髪型や顔貌は違うけれどみんな整った姿で実写映画から四半世紀経っているので例えば転校生が外国人にするなど時代を映す変化があっても良かったのではないかと思いました。もちろん原作者との話し合いのもとで。

 また、エンディングテーマ曲で、長い事若い女性を使って稼いでいるおじさんの名前が出てきてちょっとがっかり。帰り道の足が重くなってしまいました。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「本心」

2024-11-15 | 2024映画評

「本心」 石井裕也監督 ◯

 

 平野啓一郎原作の近未来が舞台の小説を実写映画化しました。

 工員の朔也(池松壮亮)は仕事帰りに母(田中裕子)から電話で「話がある」と言われます。大雨の中自宅近くに着いたとき、増水した川に母親が落ちるのを目撃し助けようと飛び込みます。気がついたのは1年後。デジタル技術の進化の中朔也はロボットに仕事を奪われリアルアバターという便利屋のような仕事を友人の岸谷(水上恒司)に紹介されました。母親の友人だったという三好(三吉彩花)が災害にあったので、母親の部屋を使ってもらいます。実は母は「自由死」という制度の利用を考えていたことを知ります。母の本心を知るため母のヴァーチャル・フィギュアを制作するのでした。

 

 「あっち側」と「こっち側」に分断された社会の歪みやデジタル技術が進化することから起きる軋轢、「自由死」というきれいな言葉で命を切り捨てさせようという権力者の思惑、などが絡み合った内容です。

 原作を新聞連載中から愛読していた筆者にとっては挿絵のイメージが残っていてちょっとキャストとの違和感があったのと、岸谷がしたことの描き方が物足りず消化不良でした。残念。

 

 タバコは、なし。無煙です。


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