無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

つつんで、ひらいて

2020-06-02 | 2020映画評


「つつんで、ひらいて」 広瀬奈々子監督 ☓ ☆

 1万5千冊の文芸書の装丁を手掛けた菊地信義を追ったドキュメンタリー映画です。
 冒頭で、主人公が真面目な顔で紙をクシャクシャに丸めまた伸ばしを繰り返します。一体何をしているのかと思いますが、思わぬ効果を出します。このように菊地は装丁に使う文字の形や大きさをハサミや定規を使ってすべて自身の手作業で形作ります。次に監督が見せるのは全自動で一枚の紙から機械を一周するとなんと素晴らしい本が仕上がっているという、技術の凄さです。そして、菊地の周辺に戻り、こだわりの色を出す印刷の技術者、菊地の要求に応えようと製本を工夫する職人たちの姿が描かれます。

 「お仕事映画」は好きな分野ですが、「舟を編む」で辞書に適した紙をあれこれ手配する紙の職人を演じた宇野祥平を見て彼のファンになりましたが、今作では、本物の本づくりの職人さんがいろいろ紹介され、ワクワクしてしまいました。今までは装丁に凝った本も「きれいだな」程度でしたが、この映画を見たあとは次々本を手にして装丁を楽しんでしまいました。
 本屋さんめぐりが楽しいのはきっと装丁を楽しんでいるのですね。
数年前から本は借りるのではなく本を買うことにしていて、その上捨てなくて意外な楽しみ方ができよかったです。広瀬監督ありがとう!(☆)

タバコは、菊地さんに装丁をしてもらっている作家の一人がパイプを口にしました。(☓)

精神0

2020-05-18 | 2020映画評


「精神0」 想田和弘監督 ○ 東風

 精神科医の仕事と日常を「観察映画」にまとめました。
 岡山県の精神科医山本医師が退職するということで、前作「精神」(2009年)の続編として急遽想田監督が撮影を始め3日間で取り終えた作品です。
 前半は診療室での山本医師の診察風景を後半は認知症と思われる妻芳子との日常が描かれます。診療に関しては、専門家の斎藤環医師がキネマ旬報(2020年6月下旬号)で述べているように、共生を実践するなかでも巧みな距離感が「名人芸」らしいです。惜しまれつつ退職する山本医師について観客は映画を見る限りでは年齢も経歴も全くわかりません。唯一会話の中で夫婦の出会いが中学生の頃からだったということです。余計なナレーションや字幕がなく新鮮で集中できました。
 なお、今回はコロナ禍のため映画館が休館し、「仮設の映画館」という制度を利用し自宅で観ました。映画館が選べるので毎年冬場に利用している「桜坂劇場」にしました。非常時にはこういう制度もいいけれど、やっぱり映画館で映画はみたいですね。
 タバコは、10年前のフィルムで喫煙シーンがありましたが、今は錆びた灰皿が映ったくらいですのでおまけの(○)です。 

一度死んでみた

2020-04-19 | 2020映画評


「一度死んでみた」 浜崎慎治監督 ○ 松竹

 澤本嘉光のオリジナル脚本を人気CMディレクターの浜崎が初めて長編ドタバタコメディ映画に挑みました。
 母親(木村多江)を病気で亡くした七瀬(広瀬すず)は父親(堤真一)の製薬会社に入社を勧められますが、「うざい、臭い」と拒否をします。母親が病気のときにも研究を続けていた父親が許せないのです。一方、「若返りの薬」の開発に成功した父親を狙って会社乗っ取りのスパイが潜入していることがわかります。そこで秘書の松岡(吉沢亮)とともにスパイをあぶり出すため「一度死んで二日後に生き返る」という妙薬「ジュリエット」を飲み死んでしまいます。乗っ取り会社の社長とスパイはなんとかそのまま本当に死んでもらおうとあれこれ画策するのでした。
 
 「大切なものは亡くした時にわかる」という路線ですが、広瀬のケバい化粧と登場人物の殆どがちょっとおかしい設定になっていて楽しい作品です。ちょい役にも「おやっ?!」と思う豪華な俳優が登場し、「松竹」という暖簾の力でしょうか。
 また、音楽(ヒャダイン)が素晴らしく特にスメタナの「モルダウ」をここで聞くかと感動しました。観終わってもしばらく頭の中に♬「デスデスデスデス」と響いていました。

タバコは、なし。無煙です。(○)


ハーレイ・クインの華麗なる覚醒

2020-04-18 | 2020映画評


「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」 PG12 キャシー ヤン監督 ☓

 マーゴット ロビーが当たり役に再び挑戦します。
 ジョーカーと別れたハーレイ(マーゴット ロビー)はかつてのメチャクチャな行動を恨まれこのときとばかりと次々と現れる敵に狙われます。窮地に陥りながらも新たな仲間を味方につけ本物の悪党ブラックマスク(ユアン マクレガー)に追われるスリの少女を守るのでした。

 それぞれの職場で女だからという理由で苦い汁を吸わされていた有能な女たちが男社会に反撃をかわすべく闘う姿は痛快です。アクションシーンもお見事です。女性の時代まっしぐら!
 音楽も効果的に使われています。
 悪役のユアン マクレガーが気味の悪い変態男を楽しそうに(?)演じていました。

 タバコは、女性歌手がタバコに火をつけようとするところで手が止まる場面がありました。また、悪党の子分が一度喫煙しました。(☓)
 

三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実

2020-04-16 | 2020映画評


「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」 豊島圭介監督 ☓☓

 1969年、東京大学で1000人の学生と小説家の三島由紀夫が世紀の対談をしたときのフィルムと現在の元学生たちや三島研究者の思いをドキュメンタリー作品にしました。
 武闘派と言われていた学生運動のひとつのグループであった全共闘のメンバー1000人が東大の講堂に集まります。そこへ三島由紀夫は単身(ひとり世話役はついてきましたが)乗り込み大討論をしました。映像はTBSに保管されていて、当日の映像も音声もプロがしているのでたいへんきれいに残されています。また、今はさまざまな仕事で社会で活躍している元当事者の学生たちが当時を証言しました。50年という節目に作品となりました。
 
「三島由紀夫」というとその最後が強烈でそれしか印象に残りませんが、素顔の三島は鍛えられた肉体が大変美しくその上年下の学生相手に礼儀を踏まえ言葉も丁寧でときには笑いをとるユーモアのセンスもあり、学生の方も身構えてはいるものの三島の態度にほぐされてきたのか双方が互いを尊重しあった爽やかな話し合いでした。立場は違うもののこの時代の議論することによる真剣さが伝わってきます。

 タバコは、1969年の場面では双方が議論の合間にタバコを吸っていて、乳児を抱いた学生が喫煙しながら意見を述べるという場面もありました。また、4箱タバコを用意してきた三島がタバコが切れた学生にタバコをあげるという「ほのぼのとした」やり取りもありました。
さすがに、現在のインタビュー場面で喫煙する人はひとりもいませんでした。これも「50年目の真実」のひとつですね。


子どもたちをよろしく

2020-04-07 | 2020映画評


「子どもたちをよろしく」 隅田靖監督 ☓☓PPセブンスター

 元文部科学省職員の前川喜平と寺脇研の二人が企画した現代社会で置き去りにされている子どもたちの姿を描きました。
 「ゴミ」と呼ばれ毎朝登校時にいじめられている吉原洋一(椿三期)といじめているグループのひとり赤沢稔(杉田雷麟)はそれぞれの家庭に大きな問題がありました。洋一の父親はギャンブル依存で仕事はデリヘル嬢の送迎運転手です。競艇やパチンコに日当を注ぎ込むだけでなく借金までしていました。母親はというと洋一を捨て家を出ていました。一方、稔の父親はアルコール依存で酔うと再婚した妻に暴力を振るうだけでなく妻の連れ子である稔の義理の姉優樹菜(鎌滝えり)に性的虐待を繰り返していたのです。そして稔は優樹菜のデリヘル嬢の名刺を拾ってしまい、姉の仕事と洋一の父親の仕事が結びつき自分も洋一のようにいじめられるのではないかと恐れるのでした。そして大きな悲劇が起きるのでした。
 
子役の少年たちの演技が素晴らしくあまり名前が知られていない大人の俳優たちもそれぞれ存在感のある演技で脇を固めています。この作品から様々なことを観客は考えさせられますが、少なくともこのような社会にしてしまった責任の一端は製作者であるお二人にも観客にもあるのです。どうしたらいいのでしょうね。 
ところで、タイトルですが、この言葉は誰が誰にいっているのでしょうか。
 
タバコは、洋一の父親がお金がないにも関わらずタバコをいつも吸っています。一応窓の外で吸うのですが、子どもの前での喫煙は虐待です。車が「タバコ臭い」と優樹菜から苦情が出ますが、当然でしょう。
 

影踏み

2020-03-25 | 2020映画評


「影踏み」 篠原哲雄監督 ☓PPピース

 横山秀夫原作のサスペンス小説を篠原監督と主演の山崎まさよしが23年ぶりにタッグを組んで映画化しました。
 ノビ師(住民が眠っている時に侵入し窃盗をするドロボーのこと)の真壁修一(山崎)は侵入した住宅で放火を未遂に防いだおかげでなぜか張り込んでいた吉川刑事(竹原ピストル)によって逮捕されてしまいます。その後、住宅と放火しようとしていた葉子(中村ゆり)と吉川そして出所した真壁はある事件に巻き込まれ、真壁の過去の大きな事件があぶり出されてくるのでした。

 高校生の頃の修一(北村匠海)と双子の弟啓二(北村匠海)、そしてふたりの仲良し久子(藤野涼子、大人の久子は尾野真千子)との高校時代の大きな事件と現在進行中の事件が交互に描かれます。その上、双子なので北村が二役(三役?)しているため、そして竹原演じる刑事が真壁の同級生な上、刑事と啓二が同じ発音なため前半は物語を追うのにちょっと混乱しますが、後半になると落ち着いてきます。教訓としては「警察物の登場人物に『けいじ』という名は使わないほうがいい」ということです。
 警察と犯罪者が結構仲良しという設定は現実的で面白かったですが、ちょっと挿入される効果音楽が大げさだったかな。

 タバコは、刑事の竹原ピストルが喫煙所で喫煙しますが、セリフに部下に向かって「ピース買ってこい!」があり潜入広告現行犯でした。タバコを吸っていると名曲の「ファイト!(中島みゆき作詞作曲)」が歌えなくなりますよ。
 山崎が喫煙しなかったのはよかったです。歌えなくなるからね。
 


宮本から君へ

2020-03-19 | 2020映画評


「宮本から君へ」 R15+ 真利子哲也監督 ☓☓☓

 新井英樹原作のコミックを実写映画化しました。
 営業マンの宮本(池松壮亮)は職場の先輩(柄本時生)の紹介で知り合った靖子(蒼井優)に恋をします。彼女の部屋にいるときにやってきた靖子の元カレ裕二(井浦新)が靖子に暴力を奮ったことがきっかけとなり「俺は君を全力で守る」と宣言します。ところが仕事の関係でラガーマンの一ノ瀬(ピエール瀧)と知り合ったおかげで靖子と宮本は恐ろしい出来事に巻き込まれてしまうのでした。

 ジェンダー的には大変不愉快な作品です。キネマ旬報の評価は高い(ベストテン第3位、池松主演男優賞)のですが、「絶叫すれば迫真の演技か?」「裸になれば体を張った演技か?」と大いに疑問を感じます。
 また、ピエール瀧が出演していたことで審査員に同情票が入ったとすればこれはこれでまた別の大きな問題です。
暴力を暴力で裁くなら裕二もきちんと暴力で裁かないとおかしいのでは?裕二のような暴力が社会では見過ごされているのではないでしょうか。そのことが結局は戦争という究極の暴力もいつのまにか肯定させられているのです。怖い、怖い。
良かったのは、靖子のキッチンにあった豆苗が妙に説得力(何の?)がありました。
監督には、コミックだけでなく、ぜひ田嶋陽子先生の著書「愛という名の支配」を熟読してから次回作を撮って欲しいです。映画化しても面白いかも・・・。
 
タバコも大問題で、様々な場面でピエール瀧、佐藤二朗、井浦新が喫煙します。(☓☓☓)タバコは薬物依存のゲートウェイです。


私のちいさなお葬式

2020-03-16 | 2020映画評


「私のちいさなお葬式」 ウラジーミル コット監督 ロシア ☓

 突然余命宣告を受けた元教師の女性が息子に迷惑をかけたくないと奮闘するお話です。
 エレーナ(マリーナ ネヨーロフ)は田舎の学校の教師として働きながら一人息子を育て今は友だちにも恵まれ慎ましくも豊かな年金ぐらしをしていました。ある時医師から「心臓がいつ止まってもおかしくない。」といわれ、町で忙しく働く息子に頼ることなく教え子たちの協力を得てお葬式の段取りを立てるのですが・・・。

 ロシア語バージョンの「恋のバカンス」が効果的で日本人の観客もエレーナとともにその時代を思い起こさせます。
 前半はエレーナのお葬式計画を中心にしたコメディタッチですが、息子が登場するあたりから息子が主人公のドラマに変わります。
 冒頭から登場する魚のコイがいい演技(?)を見せてくれます。

 タバコは、人間性を取り戻した息子が隠しておいたタバコを吸う場面がありましたが、ロシアのタバコ事情も日本に似たりよったりですね。(☓)


仮面病棟

2020-03-15 | 2020映画評


「仮面病棟」 木村ひさし監督 ☓ PPライター

 現役の医師で作家の知念実希人原作のサスペンス小説を実写映画化しました。
 先輩医師に頼まれて一晩だけ当直医師として勤務した速水(坂口健太郎)ですが、何も起きないはずだったのになんとピエロの仮面をかぶった男に病院を占拠されてしまいます。その上、ピエロ男は銃で撃たれて怪我をしている女子大生瞳(永野芽郁)を盾にしていたのです。なんとか脱出しようとする速水ですが監禁されている看護師(江口のりこ)や突然現れた院長(高嶋政伸)たちの行動もどこか釈然としないものがありました。はたして無事脱出できるのでしょうか。

 経済的な問題や社会的立場のちがいで受けられる医療が変わってしまうという医療に対する問題を提起しています。その点は評価できますが、最終的に殺人を犯してしまうというのはいかがなものでしょうか。当事者にとってはもっと厳しい処罰で反省を促さないと社会は何も変わらないのではないでしょうか。
 そう考えるとラストにはちょっと救いがありますね。

 タバコは、冒頭でいきなり医者のくせに速水役の坂口が喫煙します。(☓)後にライターを使う場面がありその伏線なのですが明らかにライターの宣伝をしていました。いずれにせよニコチン依存症の医師はお断りしたいです。