無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

皆さま、ごきげんよう

2017-01-31 | 2017外国語映画評


「皆さま、ごきげんよう」 オタール イオセリアーニ監督 仏ジョージア ☓☓☓☓

 パリの片隅に暮らす、ホームレスやかっぱらい集団などを交え、二人のおじいさんを中心に描きました。
 冒頭は革命期のギロチンの場面です。次には戦争の撃ち合いや略奪の場面です。そして現代になります。説明や物語性はほとんどなく老人のアパート内や周辺に暮らす人々や出来事を散発的に描いています。いわゆるサラリーマンのような仕事をしている人は登場せず、権力の象徴としての警察署長はいやらしいいやな奴として描かれます。
 映画が始まって暫くの間観客は「一体何が始まるのだろう」と戸惑いますが、それぞれを「いろいろな人がいるものだ。」と、そのまま楽しむと良いでしょう。ただひとつ気になるのは、主人公のひとりが武器商人ということで、「気のいいおじいさん」というよりは「したたかなおじいさん」でもあります。そのあたりも人間そのものを描いているのかもしれません。
 タバコは、登場人物の殆どが喫煙するという、タバコ会社大喜びの作品でこの点は全く褒められた作品ではありません。フランスにもタバコ会社御用達のアーティストがいるのでしょうか。


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マグニフィセント セブン

2017-01-29 | 2017外国語映画評


「マグニフィセント セブン」 アントワン フークワ監督 米 ☓☓☓

 「七人の侍」と「荒野の七人」という名作2本を元にした西部劇です。
 金の採掘に湧く西部では掘削会社がやりたい放題をしていました。夫を殺され、住んでいた町を乗っ取られそうになった妻は賞金稼ぎのサム(デンゼル ワシントン)に正義のための復讐を依頼します。腕は立つけれどアウトローのさまざまな仲間をサムは集めます。そしてわずか7人で会社に雇われた軍隊に立ち向かうのでした。
 正統派の西部劇です。今までと違うのは、サムが黒人であることだけでなく、アジア系、メキシコ系、その上ネイティブの弓の名人がメンバーになっていることです。現実のアメリカ社会では白人至上主義の大統領になってしまいましたが、この作品の方がアメリカの真実を表しているのではないでしょうか。また、ネタバレになりますが女性の活躍も今風です。女性といえば次回また「七人」物を作るときはメンバーの半数を是非女性にしてほしいものです。物語に幅ができるのではないでしょうか。
 タバコは、時代とは言えみんなが度々喫煙していました。ラストでも(ネタバレ)タバコが重要な小道具になっていたのは重ね重ね残念としか言えません。


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人魚姫

2017-01-27 | 2017外国語映画評


「人魚姫」  チャウ シンチー監督 中香港  △

 「少林サッカー」の監督が今回は人間と人魚とのロマンスを環境破壊の問題を織り込んだファンタジー作品に仕上げました。
 青年実業家のリウ(ダン・チャオ)は自然保護区を埋め立てて大リゾート開発を狙っていました。その湾はイルカが棲む海域でした。そこで開発派のメンバーはイルカが住めなくなるようなんとソナーを海中に設置し追い払っていたのです。実はイルカだけでなく人魚たちもヒッソリ棲んでいたのですが、ソナーに負われ入江の難破船に逃れていました。人魚たちはリウ暗殺計画を立て若い人魚のシャンシャン(リン ユン)を人間界に送り込みます。作戦通りシャンシャンはリウに近づきます。果たしてシャンシャンと人魚たちは無事生きることができるのでしょうか。
 ハリウッド映画の流れるようなアクションとは一味違う、あくまでも中国香港系の音楽やギャグなど独特の流れが楽しいです。一方金儲けのためにはイルカなどをソナーを使ってまで追い出そうとする欲張りたちには恐ろしさを感じます。もちろん中国だけの問題ではなく、日本国内でもジュゴンの海に新基地を建設しようと着々と工事を進めている愚か者たちもいて決して他人事ではありません。この映画のように(以下ネタバレ)ジュゴンの長老に愚か者たちを一網打尽にしてほしいところです。
 タバコは、リウを色仕掛けで口説こうとしている女がタバコを持っていました。口にはしなかったので△です。

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新宿スワンⅡ

2017-01-27 | 2017日本語映画評


「新宿スワンⅡ」 園子温監督 ☓☓☓☓☓ PP

 原作は人気コミックで、「新宿スワン」の続編です。
 新宿のスカウトマンの白鳥(綾野剛)が所属するバーストは新宿だけでなく横浜へ展開しようと企みます。横浜では大手の店が2店オープンするということで酒造組合(椎名桔平)が絡んでのホステス獲得作戦が始まります。バーストにやられてはならずと現地のスカウトを牛耳る滝(浅野忠信)率いるグループとの全面的な闘いとなるのでした。
 スカウトするためだけなのに、本物の暴力団や警察までもが絡んで熾烈な闘いが繰り返され、血糊は山ほど使うし、破壊行為は派手で、女性相手にお酒を飲む場所のためになんでこんなに傷つけ合わなければいけないのかわかりません。殴り合った後、次の日には顔がすっかりきれいになってしまうのは現実的ではないです。
 今作を見る限り、次回作は期待しません。
 タバコは、前作同様幹部役の伊勢谷友介はじめ多くが喫煙し、刑事の笹野高史も喫煙しました。ほとんどセリフがないのにただタバコを吸っているだけの村上淳などもいました。女性の喫煙が殆どなかったのは良いのですが、撮影現場は受動喫煙で俳優だけでなくスタッフのみなさんもかなり健康被害を受けましたね。お気の毒なことです。


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沈黙 ーサイレンスー

2017-01-26 | 2017外国語映画評


「沈黙 ーサイレンスー」 PG12 マーチン スコセッシ監督 米 ◯ ☆☆

 遠藤周作の同題名の小説が原作です。17世紀キリスト教が禁止されていた時代、棄教したという情報が入ったフェレイラ神父の真実を探るため、ポルトガル人ロドリゴ(アンドリュー ガーフィールド)とガルペ(アダム ドライバー)の宣教師が命がけで日本に渡ろうとします。案内にはマカオにいた唯一の日本人キチジロー(窪塚洋介)を雇いました。キチジローの案内で小さな海辺の村にたどり着き粗末な炭小屋に隠れ、それでも彼らを待っていた虐げられた教徒たちに祈りを捧げるのでした。しかし、厳しいキリシタン弾圧政策のもと二人は精神的にも追い詰められていくのでした。
 雲仙地獄の熱湯かけ、逆さ吊りや火あぶりなど目を覆いたくなるような拷問シーンだけでなく、貧しい農民の姿もリアルに再現し重厚な作品となりました。(☆)小松菜奈、加瀬亮、塚本晋也といった名優たちが顔だけでなく爪の間まで泥まみれになって熱演し、奉行役(イッセー尾形)通辞役(浅野忠信)が原作のイメージ通りの好演をしています。(☆)さすが名監督の作品です。
 今では、キリスト教も迫害されず、昔の話になりました。しかし、権力の言いなりにならないとさまざまなかたちでいやがらせを受けたり政治的に抹殺されたりする現実は今も進行中であることを私たちは忘れてはならないと思います。
 タバコは、なし。無煙です。


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カンパイ! 世界が恋する日本酒

2017-01-25 | 2017日本語映画評


「カンパイ! 世界が恋する日本酒 」 小西未来監督 米との合作 ◯

 「世界を股にかける蔵元」「初の外国人杜氏」「日本酒の魅力を発信するアメリカ人」日本酒に魅せられた3人の姿を追ったドキュメンタリーです。
 岩手の蔵元のひとり久慈浩介は五代目として、海外に日本酒の魅力を伝えようと自ら宣伝活動をしています。外国人杜氏のハーバーはたまたま英語教員として日本に来たことがきっかけで日本酒に取り憑かれ受け入れてくれた蔵元で酒作りをしています。ゴンドナーも英語教員として来日し、やはり日本酒の魅力を英語での記事や書籍で紹介するだけでなく、集中講座を開いて外国人に日本酒についての正しい知識を普及しています。
 それぞれのやり方で日本酒について真剣に取り組んでいる姿をみると、思わず日本酒を飲みたくなります。ただ、一般に出回っている安酒では日本酒の真の魅力は伝わらないのがちょっと残念です。
 なお、久慈さんは311のときに当時の石原都知事が「花見自粛」といったことに対し、そんなことをされては「東北は経済被害という二次災害を受ける。東北の酒を飲んでください。」とSNSを通して訴えた人です。そこから「食べて応援」という活動が広がりました。
 タバコは、なし。無煙です。利き酒や酒作りをしている人が喫煙者ではつとまりませんね。
 

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ワイルド わたしの中の獣

2017-01-24 | 2017外国語映画評


「ワイルド わたしの中の獣」 R15+ ニコレッティ クレビッツ監督 独 ☓☓

 近所の公園にいたオオカミと出会ったことで、退屈な日々を過ごしていた女性が野性に目覚め動物化していく姿を描きました。
 職場と自宅を往復するだけの日常を送っているアニア(リリト シュタンゲンベルク)はある日公園を歩いているときにオオカミと目が会います。その日からそのオオカミに取り憑かれ、上司の車や仕事でしりあった繊維のリサイクル工場で働くアジア移民を協力者にしてオオカミを捕獲します。そして命がけの共同生活を始めます。オオカミと過ごし始めてからは仕事も止め性的な要求が高まりみだらな行為も躊躇なく行うようになっていくのでした。
 確かにオオカミには神々しさのようなものがあり畏怖する気持ちは理解できるし、人間とオオカミの交流物も昔からいくつもあります。日本では絶滅してしまいましたが、ドイツの田舎にはまだ人間が日常生活で目撃できるところにオオカミが住んでいるとするならば羨ましい限りです。アニアが頼りない人間の男よりオオカミに惹かれる気持ちはわかりますが、ここまで野性的になるのは異常でしかないのではないでしょうか。
 タバコは、アニアと妹そして上司が喫煙しました。(☓☓)動物の前では喫煙しなかったのは良かったと思います。


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ぼくは明日、昨日のきみとデートする

2017-01-23 | 2017日本語映画評


「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 三木孝浩監督 ◯

 七月隆史のベストセラー小説を、監督の三木孝浩、主演を福士蒼汰、小松菜奈の売れっ子トリオで映画化しました。
 美術学生の高寿(福士蒼汰)は通学中の電車の中で一目惚れをし、勇気を出して告白します。相手の愛美(小松菜奈)は快く承諾してくれます。そして「また明日」を合言葉のように二人はデートを重ねますが、愛美は涙もろく何度も涙をこぼしたり、奇妙な言動をしたりしました。そんな折愛美が忘れていったノートを拡げるとそこには信じられない事が書かれていました。二人の関係はどうなるのでしょうか。
 ネタバレになりますが、パラレルワールド物です。こういう作品は物理学的にどうなの?などといった野暮なことは置いておいて「そういうことになっているのね。」と受け入れてみればいいかと思います。結論としては「今、この時を大切にしましょうね。」ということでしょうか。
 個人的には「付き合ってください。」と言う高寿に対して、愛美が「私は癒し系じゃないよ。」と応えるセリフは気に入りました。
 友人役の東出昌大が「聖の青春」とは違ったいい味を出していました。
 タバコは、なし。無煙です。ただ、父親が食事の席をはずすきっかけのセリフとして「タバコ吸ってくる。」というひとことがありました。食事の席で喫煙しないのはいいのですが、これからはタバコではないきっかけを考えてほしいものです。


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島々清しゃ(しまじまかいしゃ)

2017-01-23 | 2017日本語映画評


「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」 新藤風監督 ◯ ☆

 タイトルは美しい沖縄の海を歌った沖縄民謡「島々清しゃ」から取られました。物語の主要なテーマ曲でもあります。
 沖縄の離島にコンサートのためやってきたヴァイオリニストの祐子(安藤サクラ)は敏感過ぎる耳を持つうみ(伊東蒼)と出会います。うみは上等な三線歌者のおじい(金城実)に育てられていました。うみは孤立していましたが、祐子の言葉掛けで自分も吹奏楽部で一緒に音楽を演奏することを決心します。一方、うみの母親さんご(山田真歩)は那覇で琉舞の練習をしていますが思い通りにはならないのでした。うみたちの吹奏楽部には意外な指導者が現れ基礎からの練習に励むのでした。
 伊東と安藤のダブル主演ということで、演技派子役の伊東が実力派の安藤や渋川らの中でひるまず好演しています。他の子どもたちもイヤミがなくてよかったです。(☆)美しい沖縄の海に似合わない戦闘機の轟音はうみちゃんじゃなくても「ワジワジー(イライラすること)」しますね。
 タバコは、なし。無煙です。いつもタバコを吸う渋川が登場するたびにいつ吸うのかと心配でしたが、さすがにサックスの演奏者ということで吸いませんでした。喫煙していたらいい音が出せませんからね。

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ザ・コンサルタント

2017-01-22 | 2017外国語映画評


「ザ・コンサルタント」 ギャビン オコナー監督 米 ◯ NTS ☆

天才的数学力で敏腕の会計士でありながら、依頼があれば百発百中のスナイパーとして裏社会の汚れた金をごっそり手に入れる謎の男を描きました。
 会計士のウルフ(ベン アフレック)はある会社の財務管理を任されます。使途不明金を女性の職員ディナ(アナ ケンドリック)が見つけたのですが、彼は15年分の経理を一晩のうちに解き明かしてしまうのでした。
 しかしながら、その件は判明したもののなぜか調査は打ち切られ、ウルフは命を狙われることになるのでした。当然アニアも狙われます。はたして二人は謎の暗殺者から逃れることができるのでしょうか。
 ネタバレになりますが、一般社会では「問題児」とされるウルフの能力を軍人の父親とどんな子どもも差別しない教育者がそれぞれのやり方で熱心に対応したことがウルフを育てました。アクションも見どころですが、それ以上に教育者や、子育てをしている親世代に観てほしい家族や教育を描いたドラマでもあります。ラストの種明かしには「感動」です。(☆)
 タバコは、なし。無煙です。(◯)


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