「皆さま、ごきげんよう」 オタール イオセリアーニ監督 仏ジョージア ☓☓☓☓
パリの片隅に暮らす、ホームレスやかっぱらい集団などを交え、二人のおじいさんを中心に描きました。
冒頭は革命期のギロチンの場面です。次には戦争の撃ち合いや略奪の場面です。そして現代になります。説明や物語性はほとんどなく老人のアパート内や周辺に暮らす人々や出来事を散発的に描いています。いわゆるサラリーマンのような仕事をしている人は登場せず、権力の象徴としての警察署長はいやらしいいやな奴として描かれます。
映画が始まって暫くの間観客は「一体何が始まるのだろう」と戸惑いますが、それぞれを「いろいろな人がいるものだ。」と、そのまま楽しむと良いでしょう。ただひとつ気になるのは、主人公のひとりが武器商人ということで、「気のいいおじいさん」というよりは「したたかなおじいさん」でもあります。そのあたりも人間そのものを描いているのかもしれません。
タバコは、登場人物の殆どが喫煙するという、タバコ会社大喜びの作品でこの点は全く褒められた作品ではありません。フランスにもタバコ会社御用達のアーティストがいるのでしょうか。