無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「スオミの話をしよう」

2024-09-21 | 2024映画評

「スオミの話をしよう」 三谷幸喜監督 ◯

 三谷監督が信頼する俳優を揃え、長澤まさみの魅力を全面的に披露するちょっと偏ったコメディです。
 豪邸に暮らすベストセラー詩人寒川(坂東彌十郎)の新妻スオミ(長澤まさみ)が行方不明になります。元夫で刑事の草野(西島秀俊)は警察に届けるよう勧めますが寒川は「すぐ帰って来る」と自分のことばかり考えています。結局スオミに関わった元夫総勢5人が集合し、対策を練るのですが・・・。

 5人が知っているスオミはそれぞれ全く異なり演じ分ける長澤の実力大全開というところでしょうか。なんと中学生からその母親まで全部演じてしまうんですから。
 脚本(三谷)をもう少し掘り下げると今まさに社会が取り組んでいるジェンダーの問題を可視化する娯楽作品となって社会派コメディとして次元を変えることも可能だっただけに単なるコメディで終わったところはちょっと惜しい。
 それでも俳優たちがいつもとは違う役を楽しんでいる雰囲気が伝わり観客も楽しめる作品ではあります。
 ただ、冒頭で寒川が「電磁波アレルギー」で周りは「精神的なもの」と簡単に片付けていましたが、実は結構深刻な被害が出ているように思います。みんな知らないだけですね。

 タバコはなし。無煙です。


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「シサム(正式にはㇺ)」 PG12 中尾浩之監督 ◯

2024-09-20 | 2024映画評


「シサム(正式にはㇺ)」 PG12 中尾浩之監督 ◯

 北海道の白糠地方を舞台に江戸前期の和人とアイヌの姿を描きました。
 松前藩藩士の高坂栄之助(三浦貴大)と弟の孝二郎(寛一郎)は交易のため蝦夷地へ着きます。しかし、兄は使用人の善助(和田正人)に殺され孝二郎は瀕死の重傷を負いアイヌのコタン(集落)に助けられます。
 東の方では和人とアイヌとの戦いが拡がり西の方まで幕府軍が攻めてくるのでした。コタンの人々に孝二郎は逃げるよう促しますが、「なぜただ生きているだけなのに逃げなければならないのか。」と長老は答えます。

 その後の人生を孝二郎は和人が北海道でどれほど阿漕で不埒なことをしているのか記録を残すことに費やします。冒頭で事実を基にしたフィクションです。と出るのでラストには孝二郎が残したとされる資料の紹介をしてほしかったです。
 また、アイヌ語を全く知らない観客もいるので、(隣の席の高齢の女性は終わったあとで同伴の人に「シサムってなんのこと?」と訪ねていました。)この映画を観るとアイヌ語が少しはわかるような字幕や吹き出しがあっても良かったのではないかと思います。ちょっともったいなかった。
 なにはともあれ、中島みゆきです。アイヌ模様のエンドロールも良かったけれど、「一期一会」が流れた途端心情として☆が2つくらい加わりました。魂の琴線を揺さぶりますよ。

 タバコは、セリフの中に交易品の一つとして「タバコ」が出ましたがそれだけなので◯です。アイヌの喫煙率は高かったので無煙でよかったです。


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「マミー」 

2024-09-06 | 2024映画評


「マミー」 二村真弘(にむらまさひろ)監督 ✗✗

 1998年に起きたヒ素混入事件を検証するドキュメンタリー映画です。
地域の夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入し被害者を出した「和歌山カレー事件」と大きく報道されました。カレー鍋を見ていた住民の一人が逮捕され2009年に死刑が確定しました。
 犯人とされる住民の当時小学生だった息子、保険金詐欺をしていた夫、独自に調査しているジャーナリストなどのインタビューを通し、ヒ素の鑑定方法、目撃情報のあいまいさ、など判決への疑問が検証されていきます。

 冤罪事件の再審が報道されるたびに強引な逮捕を残念に思いますが、この事件に関してはまだ当時の検察担当者など証人が健在なうちにもちろん死刑執行される前になんとか真相究明をする方法を考えたいものです。
 確かに保険金詐欺は犯罪ですが、別の問題です。
 ところで、ラストで監督が住居侵入で警察のお世話になっていましたが、権力の邪魔をすると何をされるかわかりません。軽犯罪とか交通違反なども決してしないよう気をつけてください。ハサミやカッターも持ち歩かないほうがいいですよ。

 タバコは、主な対象者の息子が喫煙者で度々換気扇の下で喫煙、彼の吸い方が心理状態を表しているようでした。またその場面を宣伝用カット(なんというのかな?)にしているのも残念です。


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「きみの色」

2024-09-05 | 2024映画評


「きみの色」 山田尚子監督 ◯

 全寮制のミッションスクールに通う主人公とバンドを組むことになった仲間とのやり取りを美しいアニメーションとして描きました。
 トツ子(声 鈴川紗由)は不思議な目を持っていて「人」がそれぞれ「色」として見えます。そのためときにはボーッと自分の色の世界に入ってしまうこともあります。同級生のきみ(声 高石あかり)は特別な色を持っていたのでトツ子は興味を持ちます。きみは学校を辞め、しろねこ堂という古書店で働いていました。その店でルイ(木戸大聖)と出会い3人はバンドを組むことになるのですが・・・。

 ミッションスクールが舞台ということもあってか、思春期のトゲトゲしさや闇は描かれずソフトなイメージで展開します。巷でうるさく言われるタイパ(タイムパフォーマンス)をほとんど無視したゆったりさが心地良いです。対してラストのバンド演奏はパワフルで素晴らしいです。つられて手拍子をしてしまいました。
 ただ、気になったのは、演奏の楽器の音ばかり強調されヴォーカルが聞き取りにくかったことが残念です。

 タバコは、なし。無煙です。


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「ブルーピリオド」

2024-09-04 | 2024映画評


「ブルーピリオド」 荻原健太郎監督 ◯おまけ

 山田つばさ原作のコミックを実写映画化しました。
 高校生の矢口八虎(眞栄田郷敦 まえだごうどん)は成績優秀ですが遊び仲間とつきあって夜遊びをしたりもしています。
 受験に関係ない美術の授業をやる気もなく受けていましたが、「好きな風景を描く」と言う課題を担当教師(薬師丸ひろ子)から出され初めて真剣に夜明けの渋谷の風景を描きます。それがきっかけとなって八虎は「描く」ということにのめり込み藝大を受験することになるのでした。

 周囲の学生たちがそれぞれ個性豊かです。特に感動したのは遊び仲間が絵画に没頭しつきあいが悪くなった主人公の邪魔をせず、逆に影響を受け自分の将来を真剣に考えるように変化したことです。
 また、絵画なんて趣味の範疇で楽むものだからとりあえず将来役に立つ(?)学部に受かってからにしたら、と勧めていた母親が息子の真剣な言葉をしっかり受け止めることができたこともよかったです。それに対し友人の龍二(高橋文哉)の父親は子どもにとって何が大切か勉強が足りませんね。

 タバコは、級友が「タバコ吸いてえ。」の言葉にタバコを渡す場面はありましたが、後に「付き合いで吸うことはないのでは」と言われる場面もあり、煙は出ないのでおまけの◯です。


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「ラストマイル」

2024-09-03 | 2024映画評


「ラストマイル」 塚原あゆ子監督 ☆ ✗✗ PP加熱式タバコ

 テレビドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」の監督と脚本野木亜紀子が連続爆破事件を描きました。
 流通業界最大の世界イベントである11月のブラックフライデーを前にアメリカの大手ショッピングサイトの関東エリアセンター長に就任した舟渡エレナ(満島ひかり)は当センターから配送された荷物が爆発するという事件に巻き込まれます。マネージャーの梨本孔(岡田将生)とともにどうやって荷物に爆弾をいれることができたのかを推測、その間に再び事件は起きます。センター長は安全な発送を続けるため警察の力を利用し出荷荷物をすべて検査します。それでも事件は終わりません。犯人の目的は一体どこにあるのでしょう?

 犯人逮捕に力を尽くす警察官、緊急用の医療用具が届かず右往左往する医療現場などに綾野剛、窪田正孝、石原さとみ、井浦新、大倉孝二など贅沢な配役ができたのは元になるドラマがあったのですね。なかなか面白い演出です。
 冒頭の安い単価で配送業務を担当する労働者の昼食もゆっくり食べられない勤務実態、大手から「できないなら他に回す」と買い叩かれる業者の苦悩、実は大手の社員こそが搾取されている現実がドラマの中に組み込まれ社会性も高く大変おもしろい作品でした。
 個人的には宇野祥平の冒頭での退職をした話がクライマックスにつながる展開が感動的でした。(ちょっとネタバレ、ごめんなさいね)宇野くんならではの役どころでした。(拍手)
 
 タバコは、ラストマイルの配送を担当する個人請負業者役の火野正平(1949年生)が車内で窓を開けて喫煙すると同乗の息子役宇野祥平が「寒いから窓閉めてよ。」というと「タバコのニオイが荷物に付くんだよ。」と答えます。段ボールは匂いを吸収するのでタバコは当然ながら車内芳香剤、配達員作業着の柔軟剤などの匂いも受け取る側としては大変不愉快です。ちなみに窓を開けるくらいでは匂いの付着を予防できません。
 宅配業者の支店長役阿部サダヲが加熱式たばこを吸います。そばにいた満島ひかりが煙を避けて移動する姿がありました。


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