世界の高所科学研究の拠点。

NPO「富士山測候所を活用する会」(中村徹会長)が、日本一の高所を生かしたさまざまな研究に取り組んでいる。ススの観測や永久凍土の温度測定、高所トレーニングに高山病……。今後、韓国や台湾の専門家も参加する予定で、「世界の高所科学研究の拠点」を目指す。
富士山測候所、高所科学研究拠点に 宇宙線や高山病研究 ≪画像あり≫ 【 asahi.com 】
山頂(3776メートル)にある気象庁の富士山測候所は、昨年夏から研究目的で貸し出されるようになり、活用する会の9グループが研究を始めた。国内だけでなく東アジアの環境監視の拠点にもなり、登山者が多く高所医療の研究にも向いているという。
産業技術総合研究所のグループは、木材などの不完全燃焼で発生するスス(黒色炭素粒子)の観測を始めた。太陽光を吸収し大気を暖めるため、気候変動を予測する上で注目している。富士山頂は、アジア大陸で発生したススがどのように日本に届くかを調べる上で格好の場所という。
放射線医学総合研究所のグループは、宇宙からの放射線(宇宙線)の観測を始めた。航空機が飛行中、太陽の表面で大規模な爆発があると、多量の中性子に被曝(ひばく)する恐れがある。この太陽フレアの対策を立てるのにも、大気の薄い場所での常時観測が必要という。
地球温暖化による永久凍土の変化を探るため、標高別に地中温度計を埋めた測定も続く。韓国や台湾の研究者と、東アジアの越境汚染観測に取り組む計画も進む。
鹿屋体育大学の山本正嘉教授(運動生理学)は、男子大学生に2泊3日で山頂に登ってもらい、酸素量や乳酸値などの変化を調べた。酸素を取り込む能力が高まり、疲れにくくなっていた。「わずか2泊3日でも、有効なトレーニング場となる」と話す。
中高年登山者の心機能を調査した医師の高山守正さんは「高所医学は低酸素医学。ここでの研究は、循環器病の患者に恩恵をもたらす」と期待する。
これまでの観測は、7~9月だけだった。年間を通じた観測が次の目標だ。夏場には測候所を開放し、「富士山学校」として登山者への環境教育にも役立てたいという。
同会は27日午前10時、東大・本郷キャンパスの「小柴ホール」で研究成果を発表する。問い合わせは活用する会(03・3265・8287)へ。研究成果は近くホームページ(http://npo.fuji3776.net/)にも掲載される。

高所での研究は人の健康や地球環境の変化を測定するのに適しているようで、これからの研究結果に期待したいものです。


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