『催花雨』という言葉を聞いた。
春先になると桜をはじめ、花たちがいよいよ咲き始める。暖かくなり私たちの気持ちもほぐれ、ついつい色鮮やかな花たちを愛でるモードへと世の中は動き始めるものだ。そんな時、冷たい雨など降るとため息まじりに「せっかく咲いてきたのに」なんて憂いた言葉が漏れる。しかし、この時季の雨こそ花にとっては恵みの雨であり、ここで力を蓄えポカポカ陽気が巡って来た時に存分に咲き誇れるのだ。そんな大切な雨のことを誰かが名付けた『催花雨』と。
意味、用いた漢字、共に季節の変わり目の情景が広がる素敵な言葉である。