ヒスバナアラカルト

香西善行の雑記ドコロ
諸々の感想には具体的内容も含んでいますので、お気をつけくださいね。

劇団☆錦魚鉢『わるいゆめ』

2010-12-25 10:09:09 | 演劇関連
物語の軸は、閉じ込められたエレベーターの中というサスペンスコメディー。
浮気の疑いのある男の本音を探るため、依頼を受けた探偵たちが密室という極限状態に追い込むのだが……。
基本的には軽めの雰囲気で、探偵たちもコミカルな個性を前面に出している。
それは観ていてとても楽ではあるんだけど、過剰な動きや台詞が、ある意味親切すぎ段々と観たいという興味が削がれたのは本音。
終幕への伏線もやはり前面に出すぎていたんではないかと感じた。
コメディーであれサスペンスであれ一種の緊張感を帯びた時間がないと、惹かれないんじゃないかなあ、なんて思ってみたりしました。

3LDK『曇天さん』

2010-12-25 09:25:48 | 演劇関連
いつもひとつのシチュエーション内で起こる人々の交流を描き、毎度観に行く私の好きな劇団である。過去の公演では演者として出演していた上田氏が、今回初めて演出をてがけた作品。

経営の芳しくないペンションが今回の舞台だったんだが、なんというか、少々破天荒な物語であった。演劇で破天荒とか別に気にしないというか、当たり前と受けとりさえもするんだけど、いつもは生活にリアルな物語を作っている劇団だけに今回の設定に引っかかったのかもしれない。
じゃ、何に引っかかったのか。
それはたぶん宇宙人。が出てきたことなのかな。
今までの公演からすると新境地とも言えるけど、夫婦愛や兄弟の確執を丁寧に語っている一方、宇宙人で盛り上がるのに抵抗を感じたのは否めない。
物語が破綻しているとかそんなことは全くないんだけれど振れ幅は大きかったように思う。それぞれはおいしいんだけど、味付けが真逆の料理を一緒に食べたようなスッキリしない後味が残ってしまった。

維新派『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』

2010-12-23 18:01:17 | 演劇関連
もう何年前だかは忘れてしまったけれど、確かNHKで維新派のドキュメンタリーをやっていたのを見た。
野外劇を行うにしても何にもない平地にすべての材料を持ち込み、段々と形を積み上げてゆく。それはまるで、大地や太陽と同化していくかの如くナニかを生み出している様な、エネルギーに満ちた姿に強く惹きつけられたのを憶えている。
そんな印象を持っていた維新派。今回は劇場内といえどやっと観る事ができた。そして、そのエネルギーの塊はテレビ画面を通して受けたものとは比較にならないほどの強烈なものであった。
舞台上一面に膨大な数量の丸太や板を組み上げ、並べ作られたソレは、島国の連なりにも感じ、家畜と人々が行き交うアジアの小国にも見える。世界の果てまで延びているかのような道があったかと思えば、周りを海で囲まれた漁村での一瞬間を感じる舞台。人々の言葉は理解できない。ただ、大地から湧いてくるような声と踊りには感情を揺さぶられる。
旅をした。
時間も場所も特定はできない。でも、必ずあるどこか。
世界の壮大さと、その一部である力強い生命力を目の当たりにし、溶け込むことができた。
そんな体験。

劇団820製作所×桜姫のお遊戯草子×CASSETTE『三重奏:フレミングの左手』

2010-12-05 22:38:17 | 演劇関連
劇団820製作所、桜姫のお遊戯草子、CASEETTE。
それぞれの団体が約30分ほどの短編を披露する公演。
私はどの団体も初対面。第一印象は……若い!この言葉に他意はなくて、単純にそう感じちゃったわけです。

散文的というか、あまり言葉に装飾をつけない印象を持ったのも共通してありました。その瞬間の言葉を吐いて現状が浮いてくるような。ただ、なかなか景色が見えなかったのが本音です。
ん~何でかしら?
思いつく確実な要因としては、客席と俳優の距離が近い。これは大きいと思う。視界に隙間がないとイメージしにくいんじゃないかしら。ましてや、結構立ち位置が変化する芝居だと。その分、俳優は相当じっくり観えたんですけど。ミニマルな芝居だと武器になり得るんだろうけど今回はちょっと合ってなかったのかも、と思ったりします。

三者三様の演劇が楽しめる、こういった企画は好きです。ショウケースってわけじゃないけど一気にいろんな作品や演出、俳優が観れますし。あと、並べられると自分の好みの傾向がわかったりする。これ実はありがたいですね。面白い、つまらないとは別の意識で観劇後家路に着くのもこんな企画ならではかと。