ヒスバナアラカルト

香西善行の雑記ドコロ
諸々の感想には具体的内容も含んでいますので、お気をつけくださいね。

うずめ劇場「ねずみ狩り」

2009-01-31 15:54:09 | 演劇関連
4つのパートのうち2つ観劇。不測の事態がありどちらともペーター氏のパートを観る事に。
ペーター氏は東ドイツ出身で日本にきてからは十五年くらい経っているだろうか。その割には失礼ながら日本語が上手くない。でもそれを武器にするあたりは巧い。少々セリフが不可解でも観ている側としては思考を巡らす。流暢でないが故の言葉の熱量、これが抜群に高い。勿論、相手役の絹川友梨さん(Aパート)や後藤まなみさん(Dパート)の力あっての可笑しみの成立なはずだけど。
会話ってことについて新しい感覚を植えてもらったような気がするなあ。

様々なモノを捨てていくことで話は進んで行くけど、女性の荷物を一品ずつ捨てていくところなんかお気に入り。ちょっと退屈に感じるけど思うんだよ。どんだけ化粧品持ってるんだよ!と。

サンプル「伝記」

2009-01-29 05:47:37 | 演劇関連
「勝者が歴史を創る」そんな言葉を観た後に思い出す。これは戦争勝利国のご都合と解釈で歴史は残されるって事を端的に表したものだし、教育の中で真実として教えられた言葉も疑っていいんじゃない?って皮肉った言葉でもある。

個人の歴史を記した伝記というやつも同じく、作り手により盛り込む内容というのは違ってくるんじゃないか。でき上がるのは虚偽じゃないけど事実でもないもの。舞台の上では、会社創業者の伝記をその子供たちや部下たちが作ろうとしている。が、思惑がどこがずれているようでもある。おまけに愛人なんか出てきちゃったりして、自分との事も書けと言いだす始末。それはひどく滑稽で盲目的な人間模様に見える。
あ、一言でまとめちゃった。
いや、上記のような理屈も思うんだけど、いかんせん楽しめなかったから少し困惑気味。腐った本が詰め込まれた馬鹿でかい本棚は威圧的だし、落ち着くために腰掛けるはずのイスにバランスボールを使うのも面白かったし、何より俳優の方々が上手い。あの手この手のコミュニケーションをこなす。そんな姿を眺めてたら舞台そっちのけになっちゃった。これ笑えるんだろうなと思いながら笑えなかったり。つまり面白味自体が湧かないって事は舞台を観ているって感覚じゃないんだろうね。勝手に蚊帳の外に出ちゃったみたいな。入り口が見つからなかった。理屈は追えた気になっても体験できなかったつまらなさは寂しい気持ちになるね。

「ザ・ムーン」

2009-01-23 20:10:00 | 映画関連
SF好きとしては押さえとかなきゃいかんでしょう。過去の宇宙飛行士のインタビューと記録映像で構成されているこの映画は、正確にはサイエンスフィクションではないがね。とにかく「スターウォーズ」より「2001年宇宙の旅」をSFと定義づけている私の中では今作の中にあるであろうSF的想像力をとても期待してしまうのだ。

さて、まず不満をぶちまけます。
あのタイミングで「ムーンリバー」はない!歌っているH氏のことはこの際置いておこう。しかし歌が入ってきた瞬間、本当にあの瞬間心底がっかりした。むしろ憤慨した。「アース」の時も思ったがなぜ奇跡の瞬間に茶々をいれるんだ。

60年代当時、ソ連とアメリカが競い合い飛躍的に進歩した対宇宙技術。時は冷戦、言うまでもなく夢や未知への探求などといったキレイ事で宇宙を目指していたわけではない。でも現場の人間はね、別だったんじゃないかと思いたい。アポロ計画により月に行った宇宙飛行士、今はもうおじいちゃんのそのインタビューは沁みる。ちょっと眠くなっちゃたりする瞬間もあるけど時代の証人の肉声は貴重。
タイトルでもある月の映像、月からの映像は言わずもがなだが、面白かったのが実験段階のロケットの爆発映像。ロックなBGMに乗せて次々と爆発映像を見せられても……無残さも悲壮感もありゃしない。膨大な金が吹っ飛び、死人だって出ているだろうにさ。苦労とは別に、数多の犠牲の存在を思わせる印象的なものだった。
当時からもう40年経ってるのに、その間誰も月には立っていないんだよね。技術は比べ物にならないほど進歩しているのに。神秘と憧れを保っている由縁はここにもあるんだろうね。

あ、昔月の土地買ったんだけど、今どうなっているんだろう。

3LDK「僕たちの町は一ヶ月後ダムに沈む」

2009-01-20 19:30:00 | 演劇関連
3LDKの公演は過去何回か観ているけど、持っているイメージはコメディー色の強い団体。あと状況を生かした笑いが上手かったり。でも今回は群像に強く焦点を当ててたような印象。個々の抱える問題が多発し混沌に陥っていく様は「うぉ~、ドラマだぜ」とのめり込んでいく。目新しさなど必要のない、自分が、もしかしたら隣の友人が抱えているような暗部を描いてくれた方が好みだ。そんな私にとって今回の公演はうってつけだった。
友人の死、故郷の喪失、不妊、不信、不安……なんか並べて書くとネガティブすぎて嫌になっちゃうけど何十年も生きてりゃ自分の経験とオーバーラップする事だってあるさ。そんな思いを感じた瞬間がやはり劇に引き込まれる時なのだろう。個々の問題は何一つ解決なく幕は下りる。それでも何か得た気分。後悔しようが、美化しようが、思い出は通過点でしかないという当たり前のことにして忘れがちなこと。大切ね。

女人禁制

2009-01-19 20:35:21 | 日記ニ非ズ
どうにもならないこととか、どうにもしてないこととか考えていると脳みそがヘドロになって参る。

だからさっき、峯田君のブログを読んだ。相変わらず笑えて震える。
どストレートなうえ正直文なので読んでてつい照れてしまう。だからこそ憧れる。羨ましいな。なんだよこれ。何でこんなこと書けるんだ。
銀杏BOYZの「光」を近所のTSUTAYAで試聴したら12分丸々聴いてしまった。途中で■なんて押せるものではなく、むしろこちらの涙腺のスイッチが入ったぐらいだ。信頼できる歌のなんと素晴らしきことか。

さりげなく峯田“君”などと書いたが勿論会った事もない。
中野住んでたり三十路だったり親近感湧く事柄はあるが、発言、歌、生き様を極近くに抱いていたいからさ、呼び捨てでもさん付けでもなく君付けさせて頂く。

「男たちへ。」と銘打たれた日記を男子(的女子)は読むといいよ。楽しいから。

峯田和伸の☆がぶがぶDIEアリー

劇団39「休日出禁~え?休日出勤?~」

2009-01-16 19:00:00 | 演劇関連
先輩が活躍している劇団なので折り込みさせてもらい少し手伝い観てきましたよ。

今回で四回目の公演となるけど、旗揚げから一貫して男芝居。出演者は男のみ、そしてワンシチュエーションというのにこだわっているんだと思う。
今回もアパートの一室に集まる住人たちの日常を描いた話。これはこの劇団の十八番ともいうべき設定だけど、観ながら思ったのはドラマの不在。劇の時点でドラマでしょ!?ってことではなく、ぶつかりあいとか葛藤なんかの意ね。
住人はデビューできそうな漫画家、音楽好き、無職、会社勤めと様々。生活の背景は見えるんだけどそこから事件に発展するもなく、一人に焦点が当てられるでもなく話は進んで行き、年越しをして終わる。一年の締めだろうがいつもと変わらず集まっていつもの調子で笑い合っている。この“いつも”は永遠に続くんじゃなかろうかという感覚を意識したとき少し退屈になる。時間の感覚がなくなるというか、生きている感覚が薄くなる。ただ、もしかして描かれている“いつも”は理想卿なのかもしれない、とも思う。平穏無事な生活が一番と私はよく願う。初詣でもそんなこと願ったよ。でもまあ、生活の中には悩みも嫌な瞬間も腐るほどあるわけで、頭の片隅にはどす黒いもんが常にこびりついている。
そんなのお構いなしに毎日笑って過ごせたらどんなに幸せか……。
きっとこの願望こそ華じゃなかろうか。
楽しい劇を観たがるくせに不安を求めるなんてね、一見矛盾しているようだけど、やっぱり切り離せないんだね。
確か前回の公演は華があり、感じることもあった。今回は天国過ぎたのかもしれない。
いい大人たちが一部屋に集まってだべって笑う。そんな芝居は好きだから次期待したい。

ジム ランビー「UNKNOWN PLEASURES」

2009-01-10 13:00:00 | 美術関連
自らもバンド活動やDJもしている音楽大好きアーティスト、ジム ランビー。
会場である原美術館には初めて行ったが、まぁ~部屋から廊下から階段まで全ての床にモノクロのテーピングが施されていて、四次元空間とでもいうか規則正しくも奥深い印象。その中にはレコードを内包したコンクリボックスが浮かんでいるのか沈んでいくのか、点在。
パッと目を惹かれたのはカラフルな様々なイスを繋ぎ合わせた作品。イスが賑わいながら行列を成してどこかに向かっているよう。モノクロの床にも映えて綺麗。
伝説的ミュージシャンのポスターに鮮やかな花々をコラージュした作品も印象深かったな。
チラシを見て鮮やかな床を期待していたので、ちょっと物足りない感はあったが、刺激的で面白い空間を楽しめた。そういえばアートの上を歩くのってあまりない体験。

原美術館ウェブサイト→http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html

天照☆Shock「ぼくらは世界に方目をとじて…」

2009-01-10 10:47:40 | 演劇関連
60年代後半の学生運動と、隣国ベトナムが戦争真っ只中の70年代初頭のカンボジアが交錯しながらカメラマンとその友人を軸に物語が進んでゆく。
音楽劇ということで歌あり、踊りありと。ソレ自体は軽快さと勢いを感じたし、ストレートプレイに突如現れた異物みたいな印象は受けなかった。ただ、このテーマからの観点だと首を傾げてしまうような気持ち。もやもやが残る。これは好みとかの問題でなく、やはり物語がぶれていたように思う。今私は21世紀を生きていて、60,70年代というのは史実としてしか認識してない時代。だから軸となる二人の行動を追いかけるだけの頭の回転は生まれるんだけど、観ている実感としては何か乏しかった。思い出す「当時」がない以上想像の引き金がもっと強ければと思う。

気づけば

2009-01-07 19:10:50 | 日記ニ非ズ
ふと思った。
「最後に芝居観たのっていつだっけ?」

このブログの観劇日記をみる限り10月終わりのMCRが最後になってる。
え!二ヵ月半観てないの?うそうそ、そんなことないでしょ、とよくよく考えてみると12月に友人の芝居を観にいってたわ。
それにしても観なくなった。興味が薄れた。そしてもやもやの原因はこの辺にある。

iTunes開いてシャッフルと三角ボタン押すと都合よくデジタルな攻撃音が流れてきた。さすが。調子よくもやもやを切り刻んでくれる。

今月は何観にいこうか。
今年からは備忘録の意図も含め観た芝居はここに全部書いていこう。
公演終了と同時にこの世から消えるのが芝居なんだから、記憶より記録に残すことも必要だろ。