ヒスバナアラカルト

香西善行の雑記ドコロ
諸々の感想には具体的内容も含んでいますので、お気をつけくださいね。

溶解

2014-03-27 01:53:45 | 日記ニ非ズ

 

 暑い。
 昨日もじゅうぶん春のうららかさを味わったが、それよりさらに気温は上がり初夏の域に達している。
 都内で運転していると窓を開けたくない。なぜなら、臭いから。いくら規制をかけたところで排ガスは出される。列をなした車たちが撒き散らす煙は更なる気温上昇の種になる。
 
 エアコンの効きも悪いなか日差しと格闘すること小一時間、だんだん身体が溶けてき始めた。まずは窓側の右手からその変化は始まった。ぼたぼたと足に垂れてくる右腕。指から消え、手首へ、あっという間に肘まで溶け、そのまま肩まで溶けた。
 
 「まずいな……」
 
 右手を失い心配したが、大丈夫。左手でハンドルさばけばよい。そんな事をぼんやり考えている間に左手も消えていた。
 だらだら、ぼとぼと。身体は絶え間なく溶けてゆく。さんさん、ギラギラ。太陽は容赦なく照りつける。
 
 アクセルを踏んでいた足も消えた。それでも車は止まらない。
 溶けた身体は車体に浸み込み、ガソリンタンクへぽたぽたと集まっていく。
 私の溶けた身体はエンジンで小爆発を繰り返し、時速60kmで山手通りを疾走する。
 どこまでも黒く、肉の焦げた匂いの煙を撒き散らしながら。