イ・ブルは韓国を代表する女性アーティスト。彼女の20年の活動を振り返る大回顧展となっている。
入り口をくぐり抜け、いきなり度肝を抜かれる。異形の生物が天井に吊るされているのだ。『モンスター』と題されたそれは人の形を保とうとしても溢れ出てしまう業、制御できない魂を連想させる。これは彼女の初期活動でもある路上パフォーマンスで身につけていた着ぐるみなのだが、その造形は圧倒的であった。
作品は一貫して外へ向けてのエネルギーに溢れている。その最たるものは『秘密を共有するもの』。東京のど真ん中のビル、53階にある森美術館ならではの作品。痛いほど輝きを放つ犬から吐き出される嘔吐物はそのまま眼下の都市に繋がっていく。私は昼間に観たが、夜景だとまた全然違う印象を受けるはず。東京からその先の世界まで巻き込んだ強烈な作品。
ほぼ予備知識なく観に行ったが、展示も趣向を凝らし森美術館の特性を活かしたもので、じっくり彼女の作品に浸れました。
イ・ブル展→http://www.mori.art.museum/contents/leebul/