独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

セールスフリー

2007-11-02 | 広告

京都に出張する楽しみの1つに本屋巡りがある。四条通や川原町には個性あふれる本屋さんが密集している。京都の本屋さんは、着物の街・京都ならではの着物や染織に関する本の品揃えが充実している。新刊本屋では四条通のジュンク堂が府内一の品揃えで90万冊。さすがに染織や着物の本も他の本屋にない本が揃っている。ジュンク堂といえば東京でも池袋、新宿とあらゆるジャンルの品揃えはピカイチで、書店の大型化、図書館のような書店作りを戦略に大都市に進出を続けている。その余波で地元の書店はつぶれ、ライバルの紀伊国屋やブックファースト、三省堂も大型化を競うなど、功罪相半ばの本屋さん。

本当に時間に余裕があるときは、私の理想の本屋さん一乗寺のけいぶん社に行くのだが、1年に1回も行けない。で、時間があってもなくてもジュンク堂の染織コーナーだけはサッと見る。今回も「藍染め(NHK出版)」「江戸手拭(PIE BOOKS)」「岩波写真文庫の一年生(岩波書店)」「桃山・江戸のファッションリーダー(塙書房)」などを購入し、数冊をチェツク。しかし、半年前と様子が違い4階まで売り場がありながら、レジは1階に集中し、各フロアに店員さんはいるがレジはなし。目指す本は自分で探し、1階のレジへ、という方式。しかし、レジが1階だけなので混雑して待つこと数分。最近はジュンク堂に限らず、大型書店は、どこもレジが1ヶ所か、2ヶ所くらいしかなく、結構待ち時間にイライラする。時にレジが混んでいるのを見ると引き返してしまうこともしばし。この現象は書店だけでなく、合理的にという大号令?で、様々なお店が店員さんの人数を絞り、パートを多用しているため、レジが少なくなり混雑するわ、知識不足の店員によるイライラなど、買い手の買う気をそぐような状況が目立ち、最近は「バリアフリー」ならぬ「セールスフリー」と名付けられる深刻な事態に。ネット書店に対応して品揃えはいやというほど充実させてきた大型書店ですが、一方で専門家が少なくなり、コミュニケーションに不足をきたし始めた結果、かえってネット書店に客を押しやる結果になってきているのではないか、そんな気がし始めました。商品にもよるでしょうが、これからは求めるものがわかっているお客やストレートに、例えば安さを求める客に対応するお店と、専門知識やアドバイスを必要とする買い物、買い物そのものがメモリアルで、楽しんで買い物したいお客と2極化が進み、どちらも客が望むセールスフリーを解消し、気持ちのいい買い物ができるように、人や空間、サービスを工夫してゆかないと成り立たないようです。