独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

読者と工房見学

2007-06-23 | 月刊アレコレ

ゆかたの季節です。ゆかたも最近はプリント染めが多くなりましたが、本日は取材を兼ねてアレコレの読者5人と一緒に明治後期に大阪で開発された「注染」の工房を見学に新小岩に。3代続いた注染工房、伊勢保染工所に。最盛期には都内だけでも100社以上あった注染の染工所も、いまや都内では4軒になってしまったとか。幸いにも伊勢保さんは、息子さんが後を継ぐ、ということで一緒に仕事をしていますが、職人さんがいずれも60代で、1人で出来ない仕事だけに、これから心配とはいいつつも、自分がそうだったように、子供は子供で自分たちで工夫してゆくだろうと信頼顔。

それにしても、本で読んで一応のことは知ってはいたが、クーラーもない工場で、黙々とそれぞれの工程をきちんと仕事し、手際よく手渡しされながら、ゆかたや手拭いが次々と染まってゆく様子を見ていると見飽きない。読者も同じようで、それぞれの職人さんの手元を夢中になって見ていて、予定を1時間オーバー。百聞は一見にしかずで、これだけの手間隙かけて作られているの様子を見ると、お値段も納得、とは読者の声。最近は、1柄10反、20反と染める量が細かくなり、しかも変わり生地も多くなり、染めに一段と工夫が必要になってきたとか。それでも伊勢保さんは「伝統を伝えてゆきたい」!と作り手の思いを語っていた。しかし職人さんの心意気だけに頼るのではなく、経済的にも成り立つようになってゆかねばと思います。そのためには値段だけで判断するのではなく、モノを見る目を消費者も、取り扱う呉服店も厳しく持たなければ、せっかくの伝統を自ら殺していってしまうことになると思います。

最近は手作りならではの染めの味を理解できずに、汚れ、或は不良品という担当者やお客様も多いとか。そこで、なるべくゆかたの担当者や売り場の社員さんを見学に連れてくるそうです。実際にどのように作られているか、わかるとお客様へ説明やお勧めが変わってきます、とは三勝㈱の担当の高柳さん。今年は天候も良いこともあり、ゆかたは好調だそうですが、思わずもっともっと暑くなれ!と雲1つない青空に思ったものです。


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