大島の空の下で

伊豆大島在住の中年のおっさんのブログです.日々の出来事を綴っていきます.一部は mixiとマルチポスティングしています.

【place】 都会の隠れ家

2006-08-30 23:33:12 | Weblog


都内で日中,予定外の時間が出来た時にはよく上野に行きます.
19歳で始めた都会暮らしが日暮里からスタートしたのでここは休日になるとしばしば訪れたなじみの場所なのです.まとまった時間があるときは鈴本演芸場で昼席を通しで観たり,西洋美術館や国立博物館をゆっくり回るのですが,先週上京した時は静けさが恋しかったので,取って置きの場所で時間を過すことにしました.

上野動物園の表門前を左に折れ右奥に五重塔,左にミニ遊園地を見ながら少し歩くと右手の古めかしい茶屋を曲がったところにひっそりと上野東照宮という異世界への入り口があります.ちょっとよそ見をしていると見落としてしまいそうな鳥居をくぐると正面に鄙びた,たたずまいの朱塗り銅葺の社殿が見えます.ところが近づくにつれ左右に大名たちの寄進した石灯篭が立ち並びここが普通の神社ではないことに気付きます.「東照宮」の名前が示すとおりここは日光とならぶ家康を祭神とする社なのです.よく見ると小さいながらも「鄙びた」どころではない贅を尽くした建物であることに気付きます.門には左甚五郎作の「昇り龍 降り龍」がかかります.落語好きの方ならご存知の「ねずみ」「三井の大黒」と同様生きた彫り物として不忍池の水を飲みに行った伝説を生んだ傑作です.

参拝料を支払い昇殿するときに社務所でくれるパンフレットによると1627年に藤堂高虎によって造営されたが,家光により現在の形にデラックス化されたとあります.そういえば日光も家光が大幅に手を入れて現在の威容を誇る社殿に改築されたはず.家光は,よっぽどお爺ちゃんが好きだったのでしょう.7間×3間の拝殿はカーペット敷でゆったりと座ることが出来ます.開け放った開口部から涼しい風が吹き渡り間接照明で照らされた家康の甲冑や真筆の書を眺めながら1時間ほど過しました.この間に訪れたのは白人のカップル一組のみ.カタコトで聞いたところアメリカからの観光客でした.社殿の屏外には参拝者の気配がするのだけれど,200円の参拝料が惜しいのか,入り口がわからないせいか昇殿する人は少ないようです.以前来たときも拝殿で他の参拝者に会うことはありませんでした. 

ここで瞑想や見学をしている分には何時間いても問題ないのですが,当日はうっかりメールチェックをしているのを社務所の方に見つかり注意されてしまいました. 何はともあれ関係者にとっては神聖な場所です.それなりの気配りは必要ですね.
社殿附属の総漆塗りのきざはしや回廊は長年の風雨のために見る影なく禿げてしまっています.今秋から本格修理に入るそうですが10年から20年かかる予定とのこと.完了したときには往時の豪華さを取り戻した姿をぜひ見に行きたいと思います.健康に注意してそれまで生きなくては・・・



ハムフェア’06

2006-08-20 22:31:19 | Weblog
17日から上京してきました.
ちょっとした検診を受けたのちアマチュア無線フェスティバルに行きました.こっちがホントの目的だったりして…(^^ゞ
会場ではメーカーブースはほとんど素通りしクラブブースでジャンク漁り. 結局購入したのは写真の電鍵を2台のみ.ほとんど同一構造でツマミの素材が異なるだけなのですが@2600円と安かったので,2台まとめ買い (オトナ買い?) してしまいました.キットだったのですが簡単に組み立てることができました.後ほど製作過程をアップします.

あとはお楽しみのmixiの真空管無線機コミュのオフ会に参加.30名以上の方たちが集合し内20名ほどは秋葉原の居酒屋に場所を変えた夜の部にも参加.日ごろネット上でやり取りしたり書き込みを読んでいるので初対面の方と話しても全然違和感がない.参加者のほとんどがハムか元ハムなのに無線で交信したことのある方がほとんどいないというのもおもしろい経験でした.

今週読んだもの

2006-08-17 03:38:02 | Weblog
八月の路上に捨てる

ハードなトラドラ家業を黙々とこなすシングルマザー水城絵美とシナリオライターへの夢を捨てきれないハンパ生活のアルバイト助手佐藤敦の一日. 
シングルマザーによる男勝りの肉体労働を描きながら何かを伝えようとする物語をどこかで読んだ気がしていたが,平成十三年下期の芥川賞受賞作品 「猛スピードで母は」 があったことを思い出した. あの小説には世のシングルマザーたちへの応援歌的な読後感があったがこちらの作品もやや重たい人物像ながら好感の待てるシングル振り.ただ,物語半ばまで絵美を痩せ気味のかっちりしたタイプの女性とイメージしていたのだが,取引先のセクハラおやじに「そこのホルスタイン」と呼ばれる場面で初めて作者のイメージと食い違っていることに気付く.読み手の想像力のせいなのか作者の筆力の問題なのか,これから読まれる方はぜひこの点に注意してみていただきたい.

敦は大学内で知り合った編集者志望の女と脚本家志望の男のカップルの片割れ.
お互いの持つロマンに惹かれての結婚だったが立ちはだかる現実を前に二人とも夢から少しずつ後退していく.そこに生じるすれ違い,理由のわからない嫌悪感そして別れ.そのいきさつを車内で語りながら合間に最後の乗務日となった絵美の一日を描写していく.

三人称をまじえて語られる敦のモノローグには破綻しつつある男女の機微が実にリアルに描かれているのに対して,絵美の方はほとんど行動描写なのに彼女の人生がとてもスッキリと見えてくる.表現方法の対比がなかなかニクイ.このところ暴力描写や不条理な感情を描く作品が続いたような気がするので久しぶりに素直におもしろかったと言える芥川賞受賞作だった.

【複合】 昨晩は大島でジャズライブそして…

2006-08-17 00:39:44 | Weblog
8/14・15の2日間,地元大島ででジャズライブがありました.今年で6回目だそうですがワタシは初めてでした.

管の鳴り物が max 4本 (tr×2 sax tb) というにぎやかな編成でスタンダードナンバーを休憩をはさんでタップリ4時間.最前列で聞かせてもらいました.久しぶりに生音を浴びてリフレッシュしました.

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=198887627&owner_id=634466
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=199227333&owner_id=3040014

うって変わって今夜は最近入手した骨董品イジリです. 40年以上前に作られた送信機です. 手持ちの資料の中から回路図を発掘できたのでこれを片手に簡単な動作チェックをしました. 
一度だけ パチッ!! という音とともに火花が飛びましたが古い機械にはよくあること.発煙が無ければまず問題ないので意に介さず送信動作の試験を続けました. 周波数は 3.545MHz かねて用意の FT243型水晶で行いました.
鉄製ケースの側面にやや重篤な発錆があるものの出力そのものは定格どうり10Wを安定して出しています.
中学生だった頃は手の届かない憧れの機械ですが今回入手に当たっての送料や振込み手数料を含めた合計金額は10K円をわずかに下回りました.満足 まんぞく (^-^)

考えてみれば子どものころ買えなかったおもちゃを何十年もたってからも追いかけるなんてずいぶんと執念深い趣味です.


21年目の夏

2006-08-12 10:59:56 | Weblog
今年も8月12日がめぐってきた.この日ばかりは戸外から聞こえてくる賑やかなセミの声が上野村で悄然とした気分で聞いたセミの声とダブリ気持ちが沈む.(*1) 

この事故の原因については圧力隔壁の修理ミスという発表を漫然と受け入れていたのだけれどこれに大きな疑義が存在することを知った.出典は昨年の当日に放映された事故の再現ドラマで竹中直人氏が実名キャラで演じた藤田日出男氏の著作. (*2) 氏は故高浜雅巳機長と同時期JALの機長で現在「日本乗員組合連絡会議」事故対策委員をなさっている方.

詳述は出来ないが,要約すると圧力隔壁の破壊によるとされている墜落原因は捏造されたものであるとのこと.
説得力ある理由が縷々記述されているがその一つは生存者の証言や数々の傍証から隔壁破壊により生じるはずの急な減圧が無かったことが明らかなこととされている.
真の原因としては上部方向舵のフラッター発生を契機とした垂直尾翼の破壊が述べられている.フラッターとは制御不能な振動のこと.

ここからが大事なところなのだけれど,なにゆえ原因を真実から捻じ曲げて発表したのかというと,ボーイング社(=アメリカ)の強い意向を事故調が受け入れたためとされている.
原因がフラッターと断定された場合は機体に製造時からの欠陥があったことになるため,全世界のジャンボについても事故の可能性を疑う必要が発生する.ゆえにこの原因の採用は退けられたとのことだった.
1966年 羽田沖全日空B727墜落事故で機体の失速特性が原因であることが濃厚なのに操縦ミスが原因と発表した経緯も同様とある.

事故に至るプロセスの調査に政治の入り込む現実が存在するのか疑問もあったのだが昨今の牛肉輸入再開の経緯を見ていると充分考えられることと感じた.


(*2)
「あの航空機事故はこうして起きた」藤田日出男 著
新潮選書


(*1)
以下は昨年8月5日 mixiに書いた日記の再掲です


1985.8.12

そろそろ20年目が近づきました.当日はアチコチでこの件の発言があるでしょうから少し早めに当時の思い出をカキコします.

このころ,組合の役員をしていて,当日も終業後,組合事務所で役員仲間と用事を片づけながらダベっていた.

後で飲もうと誘っておいた係長が20時を過ぎても来ないので連絡をいれたら,ジャンボが行方不明になったらしいとのこと.大規模な事故の可能性があった.

当時は携帯はもちろん,SNGも出現以前のことです.
職場は災害用移動衛星通信設備のオペレートを担当している部署だったので,直ちにデスクに戻り,要員確保のためすでに帰宅したスタッフ宅に片端から連絡をいれた.そろそろお盆の時期で職場は手薄.なかなか数がそろわなかった.

翌日になって事故の全貌がわかったところで本格的に出動の準備が始まった.ところが現地までの資材の運搬ルートがよくわからなかった.
大組織のよくしたところで,別の部署だが新採スタッフのなかに上野村の出身者がいた.しかも村長の親戚.彼の案内で無事現地到着.設備は彼の卒業した小学校の校庭に設置した.3mΦのパラボラと送受信機や電源設備の入った2.5m立方ほどのコンテナ3個がおもな装備.新入社員の大殊勲だった.

当時日記をつける習慣が無かったので詳しい経緯は忘却のかなただが,救助作業や押し寄せたマスコミの素材出稿による桁ハズレのトラフィック増大を1ヶ月間ほどサポートしその後仮設の有線に譲ったと記憶している.ワタシ自身は初動には参加しなかったが翌年の一周忌の慰霊祭まで都合3回現地に行き設備のオペレートをした. 設営地となった小さな学校の裏には小川が涼やかに流れていたがここも血に染まったと聞いて粛然とした気持ちになった.

一周忌のテレビ中継作業に参加したときには慰霊の園が整備され,手を合わせた形をモチーフにした立派な慰霊碑が建立されていた.

http://www5f.biglobe.ne.jp/~amuran/houroutrab/mti1.JPG
http://www5f.biglobe.ne.jp/~amuran/houroutrab/houroutrab.html

犠牲者全員の名を彫ったプレートがあり,はじから名前を眺めていたら「大島」の字が目に付いた 「大島 九」 坂本九さんも犠牲者の中にいたのを思い出した.

犠牲者・遺族はもちろんだが,上野村は山あいの小さな村だったのでこの事故で住民や自治体にかかった負荷はたいへんなものだったろうと思う,石碑にきざまれた黒澤村長の追悼文はその突然の大迷惑を全身で受け止め慰霊する趣旨の心温まる文章だった.

なお慰霊の園は墜落現場ではなく村内の車で横付けできる場所にあります. もう二度と現地に行く機会はないと思うけど当地の特産だったイノブタの文字を何かの折に目にすると宿舎で食べたことを思い出します.

【自然】 ヤママユガを目撃

2006-08-04 23:21:48 | Weblog
他人様はなんとも無いのに自分は大の苦手というものがあります.

ワタシの場合はイモムシ・ミミズ系がまるっきりダメ.

そんな人間が15センチ以上の長さのイモムシに出くわした. 
それも魚肉ソーセージ風ではなくサツマイモの出来そこないみたいな太くて不定形のプロポーションのやつ.

十年以上もの期間ほぼ毎日飼い犬とともに散歩をしている林道でのことです.小さくて黒っぽい毛虫はたまに見かけるのですが,こんなのはホントにはじめてでした.アスファルト道路の上を覆っている雑木から落ちてきたのでしょう.

本来ならば「ヒャッ!」と飛び上がって一目散に逃げ出すところなのだけれど,あまりに見事な大きさと,透明感のあるこれまたみごとなペパーミントグリーンの色合いに,しばし見入ってしまいました. 今年で半世紀生きたことになりますが,こんな大きなイモムシは始めてみました. 偶然に日曜日のラジオで「ヤママユガ」について延々解説しているのを聞いた直後だったので初対面ながら,スグに正体がわかりました.

これの成虫はかなり大型の蛾のハズだけれどもモスラのモデルになったという茶色っぽいのは大島ではあまり見かけません.ただヤママユガの仲間では一番きれいと言われる「オオミズアオ」という蛾はたまに見かけるのでおおかた,これの幼生だと思います.

ヤママユガはその名のとうり貴重なテンサン(天蚕)のとれる蛾です.この虫をなんとか島の活性化に使えないか・・・ナンテ思わず連想してしまうのでした.

今回はワタシ同様にこの種の話題が苦手な方をおもんばかり,写真はありません.興味のある方は「ヤママユガ」「天蚕」などでググってください.すぐに写真等が見つかります.  (^-^)

しばらくこのブログの更新をサボっている間にホームページと他ブログに何点か追記しました.よろしければご覧下さい.


不思議な乗り物 「利島のモノラック」
http://www13.plala.or.jp/tazuke/page266.html

世界で初めて 「カヤ舟を作ろう!」
http://www13.plala.or.jp/tazuke/page267.html

古い機械がよみがえる 「レストアいろいろ」
http://www13.plala.or.jp/tazuke/page263.html

アメリカンテイストの受信機 「DRAKE 2-C のレストア」
http://park11.wakwak.com/~jr1uia/page113.html


竹本葵太夫の「歌舞伎と大島」
http://blog.goo.ne.jp/newoshima/