大島の空の下で

伊豆大島在住の中年のおっさんのブログです.日々の出来事を綴っていきます.一部は mixiとマルチポスティングしています.

「きことわ」を読んで

2011-02-14 21:41:38 | Weblog
朝吹真理子さんの今期芥川受賞作の題名です.キレイなおねいさんの受賞は読む意欲がわくので結構なことだと思います.いやホントに.
別荘に滞在する8歳の貴子(きこ)とその唯一の遊び相手だった15歳の別荘管理人の娘永遠子(とわこ)のリリカルとも思える触れ合いと,それぞれの人生を歩んだ25年後の再会の様子を夢とも回想ともつかぬ語りで描いた作品です.男性作家なら性愛に関するエピソードを入れたくなるシチュエーションですがそれらしき場面は貴子と永遠子の母がそれぞれに経験した過去の不倫がさらりと明かされる箇所程度です.女性はリアリストなので,妄想を膨らませることなく夢うつつを表現できるのかもしれません.
物語りのキールにあるのは作者の受賞の言葉にもある時間間隔の不思議さではないかと思います.深読みせず,過去と現在をたゆたう心地よい感じを味わえば良いのではないかと感じました.

今期もう一つの受賞作「苦役列車」の感想は後日UPしたいと思います.

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