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Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「極北ラプソディ」

2014-04-16 14:05:20 | Book
海堂尊著「極北ラプソディ」を読了。
北海道の架空の都市極北市を舞台とした「極北クレイマー」の続編。主人公の今中はあまり魅力的なキャラではないけれど、他の登場人物の世良や速水が印象的なキャラで、世良は「ブラックペアン1988」で若き姿で重要な役割を演じており、速水は「ジェネラル・ルージュの凱旋」で救命医としての活躍が描かれていました。
他の本と登場人物がかなり重複しているので、単独でももちろん読めますが、海堂ワールドの他の本を読んでいれば読んでいるほど楽しめると思います。
今回の話のメインは、救命ヘリ(ドクターヘリ)についてで、また行政区分と救急体制のエリアの不一致などについて問題を提起していました。
ちょっと軽めのストーリーという気はしましたが、気軽に読めて、息抜きに良かったです。
印象に残ったのは、速水のことばで、
「ルールという安全地帯を設定することのほうが責任逃れだ」です。
ルールって言われるとそういうもんだとそこで思考停止してしまいますが、そのルールをこう変えればこうなるんじゃないかとか考えていくことが、特に上に立つ人や行政の人には必要なことではないかと思います。
体調は良好です。
写真は本文とは関係ないけれど、今週末がイースターなので、Tony's Chocolonelyのイースターチョコです。


本「サキ短編集」

2014-03-26 08:30:11 | Book
「サキ短編集」(新潮文庫)を読了。
短編はあまり読まないのですが、ときどき以前に読んだシュニッツラーの短編集「花・死人に口なし」の中の場面を思い出したりするので、いわゆる名作といわれる短編を読むのも以外に良いかもしれないと思い、買いました。
しかし、あまり楽しめませんでした。短編なので、毎回、書かれている世界に入っていくまでに集中して丹念に読まなくてはならず、少し騒がしいところで読んでいたからか、なんかまどろっこしく感じました。
1958年が初版の翻訳で、翻訳自体もふつうには使わない言葉がところどころでてきて、読みにくかったです。
あとがきを読んで、サキという著者には少し興味が沸きました。ミャンマー生まれで、幼いときに母親を亡くし、祖父母に育てられ、その後父親とヨーロッパを放浪、ミャンマーで職につくが、1年ほどで退職し、その後ジャーナリストになります。かなり波乱万丈な人生を初期に送っており、この経験が彼の独特な感性に影響を与えているのだと思います。
それぞれの短編は、最後にオチのようなものがあり、巧みです。
あまり楽しくは読めませんでしたが、もしかしたら、後でふいにこの短編集の一部を思い出したりするかもしれません。
体調は良好です。

本「永遠の0」

2014-03-13 10:51:12 | Book
百田直樹著「永遠の0」を読了。
最近映画にもなって話題になっていたので、手に取りました。
零戦についてと、特攻についてという簡単な知識だけで、その他の情報はシャットダウンして読み始めました。
感動する、涙があふれるといった謳い文句が目につきましたが、最近私自身がドライなのか、涙はこぼれませんでした。主人公の話は架空の話だと知っていたからかもしれません。
感想としては、やはり戦争は悲惨だなあ、当時の人々は本当にたいへんな時代を生きていたのだなあということです。
読んで良かったなと思うことは、太平洋戦争についての知識が得られたことです。ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦いなど、名前は聞いたことがありましたが、どんなことだったのか知りませんでした。
また、子どものときに「大和」や「翔鶴」をプラモデルで作るのを手伝った記憶があるのですが、この本に登場していて、海に沈んでいく様子を知り、ああと思いました。
この本から強く感じたことは、いかに当時の海軍が階級主義的で、官僚的エリートが多く、兵士たちを使い捨てにしていたかということです。作戦も無謀なものや行き当たりばったりなものもあり、たくさんの兵士が悲惨な状況に追い込まれ、死んでいったことです。
私の祖父は、南洋で戦ったことがあると聞きました。かなり悲惨な経験をしたそうですが、細かいことはまったく知りません。もう他界しているので、いまから知ることはもうできません。
戦争のことを扱った物語は、読むのに気が重いものです。やはり暗くてつらい事実を目の当たりにするからでしょう。戦後の話ですが、「収容所からきた遺書」もそうでした。
しかし、やはり歴史を知ることは大切だと思います。悲惨な歴史を繰り返さないために、必要なことだと思いました。
体調は良好です。




本「モルフェウスの領域」

2014-03-12 10:19:58 | Book
海堂尊著「モルフェウスの領域」を読了。
今回は、いつもの海堂作品よりはちょっと読みにくく感じました。
内容は、治療薬を待つために患者をコールドスリープ(冷凍睡眠状態)にするというSF的要素のあるお話です。時限立法の「人体特殊凍眠法」の解釈についてなど、法的な話が絡んでいて、そこが難しく感じ、読みづらかったのかも知れません。
この本の中では、米国やヨーロッパで使っている薬が厚生労働省の認可が遅くて使えないというドラッグラグの問題の指摘もあり、また国や政府がいかに患者という個人をないがしろにしているかということについての指摘も読み取れます。
海堂作品に常連の登場人物、高階院長や田口医師なども脇に登場し、また「ナイチンゲールの沈黙」に登場した子どもの患者佐々木アツシがコールドスリープします。ずっと海堂作品を読み続けている人には、あちらこちらに他の作品とのリンクを感じさせる部分があり、それを楽しむことができます。
ときどき読んでいて意味がわからない言葉に出くわすことがあるのですが、今回は「アタラクシア」でした。早速調べてみたら、心の平静不動なる状態のことだそうです。
体調は良好です。


本「トラウマ映画館」

2014-02-27 17:28:51 | Book
町山智浩著「トラウマ映画館」を読了。
この著者のことは、5年ほど前にラジオ番組のポッドキャストで初めて知りました。毎週、映画の紹介を15分くらいしていたのですが、切り口が鋭く、雑学が盛り沢山でとても面白いものでした。その後、放送作家の町山広美のお兄さんであることを知り、少しびっくり。
さて、2011年にこの本が出版されて、ラジオ番組内でも話題になっていて、文庫になったら読みたいなと思っていました。
本の内容は、著者が子どもだった1970年代頃にテレビで見た洋画で印象に残っているもの(ホラーや残酷な話や場面などトラウマ的に印象に残っているもの)を25本取り上げて、それぞれ解説しています。
私も子どものときにテレビの洋画劇場を楽しみにしてよく見ていましたが、年齢が違うせいか、見た映画は一つもありませんでした。しかし、うまく解説してあり、その映画の背景なども歴史に沿って説明したあるので、興味深く読むことができました。
最近、この著者が別のメディアで、「日本では近年テレビのふつうのチャンネルで洋画を放映する機会がすごく減っていて、子どもたちは洋画に触れる機会がなくなっている。それがこの国の洋画産業の衰退を招いている。また洋画を通して、外国の文化やとんでもない出来事に触れることで、外国や異質のものに対する興味を育むことができる。この機会が少ないことで、最近の子どもたちは洋画、ひいては外国に興味がなくなってきているのではないか」というようなことを語っていました。
体調は良好です。チョコレートをよく食べています。一日一個と思いながらも、3個くらい食べてしまいます。カカオは体にいいそうですが、糖分がダメですよね。

本「とんび」

2014-02-17 09:16:25 | Book
重松清著「とんび」を読了。
シティボーイズのきたろうさんが感動した、涙したと褒めていたのが印象に残り、読もうと思いました。
この著者、ベストセラー作家として有名なのは知っていましたが、はじめて読みました。
うまいというか、さくさく読めていいんですが、テイストが自分には合いませんでした。父と子の物語で、人情に富み、地方の町で周りの人々に助けられ、母を幼くして亡くした息子を父親が男手ひとつで育てるという話です。
ストーリー自体はよくありそうな話でした。
昭和の良い雰囲気、悪く言えば古臭い雰囲気を感じる、人情系ホームドラマを読んでいるようでした。
ひとつ心に残った箇所を上げれば、
「ひとの死を悲しむことができるのは幸せなのだ、…(省略)…ほんとうにつらいのは、悲しむことすらできず、ただ、ただ、悔やみつづけ、己を責めつづけるだけの日々なのだ」という主人公の友人の海雲和尚の言葉です。
これはそうだなあと思いました。
まあ小説は映画と同じく、人それぞれ、感じるところが違うものです。
私には、この小説はそれほど感動するものではありませんでした。
語り口は上手なので、読み始めると最後までどんどん読めます。
体調は良好です。
音楽情報
バイオリニストの五嶋みどりさんが、オランダのユトレヒトのVredenburgで、今週の金曜日(2月21日)に演奏します。最近、参加したアルバムで、第56回グラミー賞を受賞したことで話題になりました。子どもの頃から、第一線で活躍してきたバイオリニストの音を生で聞く貴重な機会です。演奏曲は、五嶋みどりさんのためにPeter Eötvösが書き下ろした作品「DoReMi」です。料金は30ユーロ。詳しい情報は、こちらです。




本「The Leopard」

2014-02-13 10:04:54 | Book
Jo Nesbø著「The Leopard」を読了。
Jo Nesbø(ジョー・ネスボ)はノルウェーの作家で、私は彼のハリー・ホーレ刑事シリーズをずっと読んでいます。
「The Leopard」はシリーズ8作目、原題は「Panserhjerte」です。ノルウェー語は読めないので英語版を読んでいます。
オスロ警察の刑事ハリー・ホーレは、アルコール中毒になったり、最愛の人ラケルと上手くいってもその後別れたりして、私生活はぼろぼろです。
これまで読んだ彼の他の本もそうですが、舞台はノルウェーだけにとどまらず、世界各地に話が展開し、また現在の世界状況、歴史に絡んだ深い話が出てきます。
今回は、香港、コンゴが物語の舞台として出てきます。
特にコンゴ(コンゴ民主共和国、旧名ザイール)の荒れ果てた無法的な状態は、この本を読むまで知りませんでした。以前はベルギーの植民地だったところで、ベルギーのレオポルド2世の私領としてかなり酷い略奪的統治をしていたようです。でも、宗主国の権威か、立派な建物と建てたり、鉄道を敷いたりしました。
最近では、長い間紛争が続いて、国内は荒れ果てています。
2002年1月には東国境にあるニーラゴンゴ火山が大噴火し、ゴマ市にまで流れ混みました。建物の1階部分が溶岩にすっかり埋まってしまうほどの量で、町は廃墟だらけになりました。
今回、ハリーはこのゴマ市を訪れることになります。ルワンダ側の空港に到着し、タクシーで、ゴマに入ります。町の荒廃した雰囲気がその描写からは切々と伝わってきます。
また、今回は、ハリーの父親の最期についてのサイドストーリーがあります。ハリーが今回の物語を通して、一段階大人にという表現は変ですが、人生の次のステップへ入っていく姿を感じます。
このシリーズを通して、警察の腐敗、警察と公安(?)のせめぎあいといったことも描かれており、いわゆるキャリア組に対する不信もテーマになっています。「犯人を逮捕して、そのことで自分の株がどれだけ上がるかということばかり計算しているお偉がたとは違い、ハリーはただ悪い奴を捕まえたいという衝動だけなのだ」というような記述があります。ハリーが唯一得意なことは悪い奴を捕まえることだけで、そのことに集中するあまり、彼の私生活はめちゃめちゃになっていき、その中で、彼は彼なりにどう生きていこうかと考えるわけです。
オスロは小さな町ですが、それでもハリーの身近に殺人鬼が何人いるのはちょっと変だし、彼の不死身な感じも出来過ぎだけど、それはまあ物語ですからね。
Jo Nesbø(ジョー・ネスボ)は、オランダではヨ・ネスボって言っています。同じシリーズの「The Redbreast」、「The Devil's Star」、「Nemesis」、「The Snowman」も面白いですよ。
体調は良好です。



本「同じ年に生まれて」

2014-01-14 12:24:28 | Book
小澤征爾と大江健三郎の対談集「同じ年に生まれて 音楽、文学が僕らをつくった」を読了。
音楽と文学というそれぞれの分野で日々研鑽を続け、突出した功績を残している1935年生まれの二人が、還暦を迎える2000年に対談したものをまとめた一冊です。芸術論、教育論、日本論と話は豊かに発展しています。
音楽についてかなり多く語られていますが、ほとんど大江健三郎がしゃべっています。音楽も文学も同じだと普遍的に語ろうとしていて、ところどころ小澤氏が「ああ」「……(笑)」という部分が目についたりしますが、面白い視点も多く、興味深く読めました。
例えば、音楽をする人は、若い人はまずはきれいな音を出したい、そしてきれいな音を出せば、だれかに伝わると思っているかもしれないが、専門家は本当に伝わるところまで持っていく、それが表現ということ。クラシック音楽が現代でもこれだけ聞かれるのは、(現代の)演奏者が生で仲介しているからだ。などなど。
好感が持てたのは、小澤氏がすごく教育というものが好きなこと。若い音楽家に教えて、その人が上達するのがすごくうれしく、教えることが楽しいと語っていました。また、同時に習うことを大好きで、スキーに行くと今でもスキースクールに入って、習うのが好きとのこと。
大江氏は、ところどころ人を批判する口調のところがあって、おやおやと思いましたが、これもダメなことはうやむやにせずにはっきり言うという彼の姿勢を表しているのかなと思いました。
彼の本は少ししか読んだことがありませんが、去年発売された長編「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」をいつか読みたいなと思っています。
ちょっと頭を使いながら読むのに良い本でした。
体調はまだ完全ではないですが、良好です。



本「アリアドネの弾丸」

2014-01-06 12:14:16 | Book
海堂尊著「アリアドネの弾丸」を読了。文庫本で上下巻でした。
海堂尊の本はエンタテインメントとして楽しく読め、知識もつくので、文庫になると読むようにしています。
多作でいくつかのシリーズがある中で、私がいちばん好きな「田口・白鳥シリーズ」の第5作目です。
行灯(あんどん)というあだ名の田口医師が、新設される予定のエーアイセンターの長になるやいなや、院内に新規納入された最新型の縦型MRI(コロンブスエッグ)の部屋で技術者が死亡。そして、その後、エーアイセンターの副院長のひとりである元警察庁刑事局局長の北山が、コロンブスエッグ内で拳銃で撃たれて死亡。その容疑者として、高階院長が捕まってしまいます。
その容疑を晴らすため、厚生労働省の役人のロジカルモンスターこと白鳥が協力。
殺人ミステリーとして読め、トリックを考えながら読むことができます。私は最後近くまでどういうトリックなのかわかりませんでした。
また、MRIのしくみについて知識を得ることができます。超伝導によるシステムで、超伝導を起こすためには冷やさなければならず、そのために現在はヘリウムガスが使われているなど。
今回の本では、私の大好きなキャラ白鳥圭輔が大活躍。彼のすごさを見せつける内容となっています。
登場人物のキャラが立ちすぎで、マンガのようですが、私はそれが楽しめます。そこが気になる人にとっては、読みにくいかもと思います。
このシリーズ、テレビドラマにもなっているようですね。私の頭にはキャラ像ができあがっているので、テレビで俳優が演じているのを見るときっと違和感があるだろうなあ。でも少し見て見たい気もします。
風邪ははっきりと良くなっています。もう少しという感じです。



本「バイオリニストは目が赤い」

2013-12-21 10:14:35 | Book
鶴我裕子著「バイオリニストは目が赤い」を読了。
NHK交響楽団のバイオリニスト(だった)の鶴我裕子の音楽エッセイで、とてもよみやすく、面白かったです。ところどころギャグやユーモアが文章に込められていて、笑ってしまいます。
著名な指揮者やバイオリニストの名前がいろいろ出てくるのですが、クラッシク初心者の私には知らないものが多く、勉強になりました。
また最後のほうでは、音楽用語についての解説があり、「ポルタート」「レガート」などバイオリンの技法についての説明も、ああこんなテクニックで弾いているのかと勉強になりました。
クライスラーの「ユモレスク」が素晴らしいと書いてあったので、YouTubeで聞いてみたりして楽しみました。
それにしても自分にクラシックの素養がないというのは、この本を読んでよくわかりました。著者は子どもの頃、NHKラジオの「希望音楽会」というクラシックの番組をわくわくして聞いていたそうですが、私は子どもの頃朝の9時に「題名のない音楽会」が始まるとつまらないとテレビをいつも切っていましたから。
リハーサルにどれだけ時間を使うとか、指揮者との関係とか、オーケストラのバイオリニストの仕事というのがどういうものかもこのエッセイからわかります。
サクッと読めてよかったです。
まだ風邪が続いています。熱はないので、大丈夫です。