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Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「虚空の旅人」

2015-01-06 09:05:24 | Book
上橋菜穂子著「虚空の旅人」を読了。
短槍の達人バルサが活躍するファンタジー小説の第四弾なんですが、この本にはバルサが登場せず、主役は第一弾でバルサが守った王国の皇子チャグム。バルサと友人のタンダが活躍しないのはちょっと残念ですが、チャグムとお伴の星読博士シュガが活躍し、これはこれで面白いです。
舞台は南の異国サンガル国。そこで行われる新王即位ノ儀に出席するために皇太子となったチャグムがシュガを連れて訪れます。しかし、サンガル国では国を覆すような大きな陰謀が進行中なのでした。
文化の違いが描かれ、またその違いがいかに国の立地や風土に影響されているかがわかり、興味深いです。
また女性が国のために力を持ち、活躍する様子も描かれています。
まだまだ続くこのシリーズ、読むのが楽しみです。
体調は良好です。


本「空白の五マイル」

2014-12-06 10:35:12 | Book
角幡唯介著「空白の五マイル」を読了。
どこかで書評を見て、興味をもちました。それまでは、この著者のことも、この本の舞台となっているツアンポー峡谷のこともまったく知りませんでした。
ツアンポー峡谷とは、チベットの奥地にある世界最大の峡谷です。19世紀後半から探検家が何度かその全貌解明に挑みますが、途中で挫折し、最後の5マイルほどが未踏破になっていました。
ツアンポー峡谷へ挑戦した過去の探険家についての話も入っており、それを読んでいくと、次第に自分もツアンポー峡谷に対する興味が大きくなっていきました。
構成も単調でなく、とても緊張感をもって、最後まで読めました。
地図がついており、それを何度も参照しながら、読みました。
途中でNHKのドキュメンタリーのことを思い出しました。ヒマラヤ近くの村の女の子がお父さんと一緒に離れた町にある学校へ行くために、岩場をよじ登ったりしながら、氷が解けだした危ない急流の川沿いを歩いていくドキュメンタリーです。
著者は2002年と2009年にツアンポー峡谷に行っているのですが、この何年かの間に携帯電話が普及し、それにともなう社会の変化などについての記述も興味深いものでした。
それにしても冒険家はすごいなあと思いました。私にはとてもじゃないけどできないです。
体調は、風邪をひいています。12月の第1週はオランダはとても寒かったので、風邪をひいている人が多いようです。長引いていますが、大事には至っていません。気長に治るのを待っています。

本「夢の守り人」

2014-12-03 12:46:30 | Book
上橋菜穂子著「夢の守り人」を読了。
短槍の達人バルサが活躍するファンタジー小説の第三弾。
今回はバルサの幼馴染の呪術師タンダがたいへんなことになってしまいます。そして、タンダの師匠トロガイの若き頃の話がキーとなり、物語が展開します。
夢の世界に囚われた人々を救うというおおまかなコンセプトで、読み方によってはいろいろアナロジーとして読めると思うのですが、なんかまどろっこしくて、私としてはあまり物語の世界にずっぷりと入り込めなくて、いまひとつ感動が薄かったです。
登場人物は第一弾の「精霊の守り人」に登場したチャグムやシュガ、ジン、ゼン、ユンなどが再登場し、懐かしく感じました。こういう大きな物語は、順番に読んでいくと、楽しさも広がります。
今回はいまひとつだったけれど、このシリーズ続けて読んでいきます。
体調のほうも風邪でいまひとつ。


本「闇の守り人」

2014-11-29 08:07:10 | Book
上橋菜穂子著「闇の守り人」を読了。
短槍の達人バルサが活躍するファンタジー小説の第二弾です。シリーズの一話目は「精霊の守り人」でした。
今回はバルサが6歳であとにしなければならなかった故郷カンバル王国でも物語です。バルサはジグロに連れられて6歳のときにカンバル王国から新ヨゴ皇国に逃げてきます。そこでジグロを養父として厳しい環境で育てられ、短槍の達人だったジグロから短槍を教えられます。
なぜバルサとジグロがカンバル王国から逃げなくてはいけなかったのかという謎がこの「闇の守り人」では明らかにされ、詳しい陰謀の様子がわかってきます。
そういう筋と並行して、カンバル王国の様子、制度、風景などが語られ、牧童と呼ばれる背の低い人々の存在や地下にある山の王国のことなど、細かい事柄がとてもリアルというかすてきで、読んでいてその世界にどっぷりとはまりこんでいきます。
まずは、洞窟を通っていろんな場所がつながっており、
「カンバルの洞窟は、奥に入るにつれて、すこしずつ地層が変わる。最初は石灰質の灰色の岩壁だが、すこし奥に入ると、つるつるの白磨石の岩壁に変わるのだ。そして、ずっとずっと奥になると緑白石の岩壁になり、山のもっとも深い底、<山の王>の宮殿は、みずから青く光る、この世でもっとも美しい宝石、ルイシャ<青光石>でできているといわれていた。」
という描写で、洞窟の広がりと深さが頭の中につんと入ってきます。
新しい国を世界を知る楽しさがこの著者の本にはあります。
前作同様、今回もバルサと少年の物語でもあります。
うまく言えないですが、この著者の描く世界が好きです。わくわくとした気持ちで読みました。
体調は良好です。


本「勝ち続ける力」

2014-11-20 09:02:27 | Book
羽生善治、柳瀬尚紀著「勝ち続ける力」を読了。
棋士の羽生善治とはほぼ同世代なので、ずっと注目していました。中学生の頃から将棋界で輝いていて、あっという間に竜王になって、最高ランクへと登りつめました。品行も良く、印象がよいです。
以前に羽生と同世代で若くして亡くなった棋士の村山聖について書かれた「聖の青春」(大崎善生著)を読んだのですが、仲間の棋士たちについての率直な思いも書かれていて、その中で彼が一人だけ尊敬しているというか、一目置いているのが羽生さんで、最後死期が近づいてくるなか病院を抜け出して、羽生に会いに行くシーンが私の記憶に残っています。
さて「勝ち続ける力」ですが、私は将棋は駒の動きかたをなんとか知っているくらいなので、将棋のことはわからないし、対談なので、なんか中身が薄い気がしました。柳瀬氏が羽生氏をすごく尊敬していているのはよくわかります。
羽生氏の受け答えがとてもしっかりしていて、すごいなあとも思います。自分を天才だとおごることなく、自分の努力を顕示することなく、少し謙虚で、良識的な返答です。かといってありきたりな返答ではなく、自分なりの分析や比較、独特の感覚を文学的ことばや論理的なことばで表現できるなど、こういう対談集や本がいろいろでている理由があるなあと思います。
本の中で「千日手」という言葉が何度も出てきて、私は意味を知りませんでした。Wikiで調べてみると「将棋においては駒の配置、両対局者の持ち駒の種類や数、手番が全く同じ状態が1局中に4回現れると千日手になる。千日手になった場合はその勝負をなかったことにする」ということでした。
私はもうこの手の本は買わないと思いますが、将棋が好きな人にはもっと味わい深く読める本なのだと思います。
体調は良好です。



本「精霊の守り人」

2014-11-15 11:10:09 | Book
上橋菜穂子著「精霊の守り人」を読了。
「獣の奏者」シリーズを読んでこの著者の作品にはまりました。独特の世界観、舞台は日本を思わせる、日本の四季の富んだ風景、そして人々。
「精霊の守り人」は、「獣の奏者」より10年も昔に書かれたシリーズで、もっと児童向けのような感じはします。しかし、作者も言っているように、児童向けに書いた作品ではなく、児童も大人も読める作品としてちゃんと成立しています。
この著者の書く世界が好きです。
美しい女性やカッコいい男性がでてくる物語ではなく、人それぞれの人生がその人の姿を魅力的なものにしているように描かれた人物描写。登場人物に生粋の悪人はおらず、立場やしがらみで苦しみながらも道を選択していく人物たち。
最後のほうで、
「なぜ、と問うてもわからないなにかが、突然、自分をとりまく世界を変えてしまう。それでも、その変わってしまった世界の中で、もがきながら、必死に生きていくしかないのだ。だれしもが、自分らしい、もがき方で生きぬいていく。まったく後悔のない生き方など、きっと、ありはしないのだ。」
とあります。
私の場合は病気が自分の世界を変えましたが、もっと大きな出来事、戦争や放射能汚染などで、自分をとりまく世界が変わってしまった人が世の中にはたくさんいます。
この物語は一話で完結して読めますが、シリーズは全10巻ほどあるそうなので読むのが楽しみです。
主人公バルサやチャグムが、自分の世界とどう取り組みながら生きていくのか、読みながら元気がもらえるとうれしいです。
体調は良好です。夫が風邪気味なので、うつらないように気を付けなきゃと思ってます。



本「アルハンブラ物語」

2014-11-09 09:17:25 | Book
ワシントン・アーヴィング著「アルハンブラ物語」を読了。
9月頃に読んだ本です。
旅行でグラナダにあるアルハンブラ宮殿を訪れる予定だったので、この「アルハンブラ物語」を読んでおこうと思いました。
1832年に初版刊行の本で、もう2世紀近く前の本なのですが、アルハンブラ宮殿の雰囲気がよく出ているとても良い本です。たくさんの逸話というか、民間に伝わっているアルハンブラ周辺を舞台にした短い物語が入っており、それが興味深いです。
裁きの門に刻まれている手と鍵の意味、アベンセラヘの間の名にもなっているアベンセラヘ家のこと、二姉妹の間にまつわる話、ヘネラリフェ離宮のすばらしさなどのほか、さまざまな民間伝説がおさめられており、アルハンブラに人々が住んでいた時代の風景が活き活きと感じられてきます。
アルハンブラはモーロ人が築いた城ですが、イスラムの王たちの話、いかにモーロ人の軍隊が華麗だったかなど、イスラム文化を知るのにも有益でした。
アーヴィングは実際にこのアルハンブラ宮殿の一室に住んで、敷地内を歩き回り、土地の人の話を聞き、アーカイブを調べ、この本を書きました。
彼が滞在した部屋のドアの上には、レリーフがありました(写真)。
アルハンブラを訪れる前にこの本を読んでほんとうによかったです。アルハンブラが倍楽しめた気分でした。
岩波文庫で読んだんですけど、岩波の古い文庫の中には、今読んでもよいものがありますね。格式があるというか、古い感じはするんだけれど、それがまたいいんです。
英語版は無料でダウンロードできるようですね。古い本ですから著作権はとっくに切れてますから。
体調は良好です。日曜日は久しぶりにBataviastadへ行き、ショッピングをしてきました。快晴で思ったより暖かく、ぶらぶら歩きながらお店を回るのによかったです。試着したりして、身体を動かしたので、疲れました。



本「ナニワ・モンスター」

2014-09-06 09:24:19 | Book
海堂尊著「ナニワ・モンスター」を読了。
今回は関西を舞台にした作品。新型インフルエンザ「キャメル」が国外で発生し、国内での流行をくい止めるために空港でのチェックなどを高価な機械を導入して行うが、ある関西の町で患者が発生。その患者は国外渡航の経歴はない子どもだった…。
いかに情報操作によって、病気の流行に対する恐怖心を煽り、社会を操ることができるのかを見てとることができました。
デング熱やデボラウイルスなどニュースになる病気が目に付く昨今、あながち架空の話だと高を括ってはいられないなと思いました。
浪速府知事の村雨は、橋下知事をモデルにしているようです。
新しいキャラとしては、カマイタチこと検察庁特捜部の鎌形雅史が登場。
この関西を舞台にした作品は、今後まだまだ展開を見せそうです。
いつものように他の本に登場しているキャラもたくさん顔を見せ、読んでいて楽しかったです。
この著者の本を読むと、私自身は使わない言葉がよくでてきます。ピックアップすると、
「剣呑(けんのん)」危険な感じがするさま。不安を覚えるさま。
「経綸(けいりん)」国家の秩序をととのえ治めること。その方策。
「レッセフェール」自由放任主義。
ちなみに解説は津田大介が書いています。
体調は良好です。




本「聞く力 心をひらく35のヒント」

2014-08-31 12:09:28 | Book
阿川佐和子著「聞く力 心をひらく35のヒント」を読了。
文化放送のゴールデンラジオをポッドキャストでよく聞いているのですが、その月曜日担当アシスタントが阿川佐和子さんで、この文春新書の「聞く力」という本がベストセラーになっているという話をよく聞きました。
たまたまHontoのキャンペーンでこの電子書籍が実質上無料でダウンロードできたので、読んでみようと思いました。
253ページの本だそうですが、電子書籍として読んでいるとビューアーにページ表記がなかったので、すいすい読んでいるうちに終わりのページになってしまいました。3時間くらいで読めたように思います。
内容はインタビューの体験談がほとんどで、なかなか面白かったです。でも役に立つかと思うとそれほどでもないです。
ゴールデンラジオを聞いている人にはすでに知っているエピソードもたくさん入っています。
何百万部を売れたのは、読みやすいからかなあと思います。
わざわざ買ってまで読むような本でもないかなというのが本音です。
体調は良好です。


本「Een Mooie Jonge Vrouw」

2014-08-15 09:33:58 | Book
Tommy Wieringa(トミー・ヴィーリンガ)著「Een Mooie Jonge Vrouw(ある美しい若い女性)」を読了。
オランダの今年のBooks Week(読書週間)のプレゼントです。毎年、指名された著者がこのプレゼント用に中編を書下ろします。読書週間中にオランダ語の本を買うとこのプレゼントがもれなくもらえるのです。
題名と著者の洒落た外見にあまり食指が動かず、ずっと読まずにいたのですが、つい思いついて手に取りました。
100ページ弱の中編なので、読みやすいです。
話は、仕事に打ち込み業績を上げつつある微生物学研究者のEdwardが中年になりかけたころに、若い美しい女性と恋に落ち、結婚します。
20歳もの歳の差がありましたが、幸せでした。やりがいのある仕事、美しい妻をもち、幸せな人生のようでした。
その妻はベジタリアンで、小動物だって痛みを感じるのだから人間の都合で殺すのは酷いという気持ちを持っていました。
また妻の兄は、アル中で無職で妻には逃げられ、小さな息子と貧しい生活をしています。
Edwardは心の中でその兄のことを蔑み、また自分が仕事で使用する小動物には無感情です。
そして、二人の間に子どもができたことから、少しずつ歯車が別方向へ回っていきます。
途中読み飛ばしたところもあったのですが、全部読むと、弱者のことは自分が弱者になるまでわからない、弱者に対する想像力が欠如している、また人生は自分の力の及ばないところで突然弱者へと転落することがある、などというメッセージを読み取ることがありました。
タイトルが、美しい若い女性なので、恋愛小説かと思いますが、実際は中年男性の苦悩を描いたものでした。
最後のほうはどんどん読めて、よかったです。
この著者トミー・ヴィーリンガが現在47歳。オランダの文学賞をいくつも受賞している作家です。
さて、オランダは朝晩はかなり涼しくなり、日中も外が散歩に気持ちよいくらいになり、秋の気配を感じています。
体調は良好です。