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Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「ゲンロン1」

2016-03-13 14:48:52 | Book
本というか、雑誌「ゲンロン1」を読了。
こういう雑誌は、読みたいところから読んでいくと、最後に読む気があまりでないところばかり残ってしまって、結局読まずじまいになるので、今回は最初のページから読んでいくことにしました。
最近は読みやすい本ばかり読んでいるので、これほど頭を使って読むのは久しぶり。しかし、昔馴染んだ人名などがところどころに出てきて、若いころのことを思い出しました。
ドストエフスキーとテロの文学(亀山郁夫、東浩紀、上田陽光)、ダークツーリズム入門(井出明)、アレゴリー的衝動(クレイグ・オーウェンス)などが興味深かったです。
ディスクロニアの鳩時計(海猫沢めろん)も、最近読んでいる近未来ファンタジーと少しシンクロしていて、面白く読めました。完結したら、通して一気に読みたい作品です。
「ゲンロン2」もそろそろ出るようなので、購入しようかなと思っています。
体調は良好です。

本「ワイルド・ソウル」

2016-01-14 10:40:36 | Book
垣根涼介著「ワイルド・ソウル」を読了。
前後編の二巻からなる長編。男臭さを感じるクライム・エンターテイメント小説。
読みたいと思ったのは、戦後のブラジル移民の話が核になっているからです。南米への移民が戦後多数いたことは知っていましたが、実情はまったく知りませんでした。事実と違う約束を信じて、多数の人がブラジルへ渡り、たいへんな苦労をされたことが、この本を読むとわかります。
戦前の移民で成功された人もいますが、戦後の移民はさらに条件が悪く、人が住めないようなアマゾンの奥地で、農地に適さない酸性の土地と格闘して、土地の病気にかかり、医者にもかかれず、亡くなっていった人々がどれだけいたことか。
日本に帰りたくても日本は遠すぎて、またパスポートを取り上げられるという策も実行されたりして、酷い状況だったようです。
こういう事実を語るとともに、物語は、ある事件を起こすことと、その事件の進行、終焉について、息をつく間もないようなテンポで、語られていきます。
面白かったです。
大藪春彦賞、吉川英治文学賞、日本推理作家協会賞を同時受賞した作品です。
この作家の他の作品も読んでみようかなあと思っています。が、ちょっとハードボイルドすぎて、私には馴染み切れない文章の質感でもあります。
体調は良好です。


本「強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く」

2015-12-24 14:27:45 | Book
大栗博司著「強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く」を読了。
新書ですが、電子書籍で読みました。
この著者の別の本「重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る」を読んだことがあり、わかりやすく書かれていたので、この本も読んでみたいなあと思いました。
新聞をにぎわしたヒッグス粒子についての本です。ヒッグス粒子とは何なのかを説明するために、標準模型の説明が本の大部分です。多くの学者たちが長い年月を費やして、試行錯誤しながら作ってきた標準模型が、順番にわかりやすく解説されており、まだ学者たちがその功績でノーベル賞をとっていく話もからめ、興味深く描かれています。
日本人の貢献者も多く、いかに南部陽一郎博士が突出した考えをもっていたかということも書かれています。
また超伝導のしくみにも少しふれており、スーパーリニアモーターカーやCERNの加速器にこの超伝導が貢献している様子も描かれています。
ヒッグス粒子については、ヒッグス粒子は新聞などでよく言われた「水飴」という喩えは正しくないということを本書中で何度も言及しています。
宇宙とか素粒子とか、こういう本は興味があるのですが、読んでいるときは少しわかった気分になっているのですが、読んで少したつと何がなんだかすっかり抜けてしまっているのが、情けないところです。
若いときのように頭に刻み込まれないのですね。
でも、ほんの少しでもカスが残ってくれて、次何かを読んだり、SFの映画やテレビを見たり、ドキュメンタリーを見たりしたとき、少しでもああそういえば聞いたことがあるなあと思えれば、まあそれでいいかなと思っています。
体調は良好です。

本「シューマンの指」

2015-10-18 10:52:57 | Book
奥泉光著「シューマンの指」を読了。
この著者の作品を読むのははじめてです。シューマンの話が出てくるということと、ミステリー仕立てで面白そうなので購入しました。
シューマンのピアノ曲について解説というか薀蓄が散りばめられていて、興味深く読みました。シューマンがピアニストを目指していたが、20歳くらいで指を痛めて断念せざるをえず、作曲に打ち込んだなど、知らないことがいくつもありました。
主人公は高校時代に知り合った天才ピアニストの永峰修人がコンサートでピアノを弾いているのをドイツで見たという話、アメリカの新聞記事などを知ります。しかし、永峰は高校時代に一本の指を切断してしまっており、物理的にそれは不可能なことで、ここに大きなミステリーがあります。
話はさかのぼり、ピアノと音楽を愛する主人公が高校3年のときに、天才ピアニストの永峰修人が1年生で同じ高校に入学してきます。二人は、高校2年の友人を加え、3人でダヴィッド同盟という雑誌を作ろうと、ノートを回覧して、音楽について思うことを書いていきます。このノートは4冊にもなり、永峰はシューマンのこと、自らの音楽論を書きます。
そして、女子高生の殺人事件が起こり、このことがもう一つのミステリーとなります。
最後は二転三転のどんでん返しがあり、少し呆然としました。
最後を知ったうえで、もう一度最初から読んでみたいと思いました。
個人的にはシューマンについて知識が得られたのと、この本に出てくるシューマンの曲を聞いてみたいと思ったのが、収穫でした。
体調は良好です。今朝は霧が立ち込めています。



本「終わらざる夏」

2015-09-07 08:15:57 | Book
浅田次郎著「終わらざる夏」を読了。
上、中、下の3巻からなる長い物語。第二次世界大戦終了の1945年8月15日前後の話です。舞台は、千島列島の先端にある占守(シュムシュ)島です。
この島に陸軍の先鋭部隊がいたことを知りませんでした。というか、この島のことをまったく知りませんでした。また、終戦になっているのに、この島にソ連軍が攻め込んできたことも知りませんでした。そして、島にいた兵隊たちはその後シベリアなどに抑留されます。
この本では、終戦近くなって召集された40半ばの翻訳書編集者片岡、岩手の田舎で育ち3度も兵役に着き殊勲を挙げた荒くれものの鬼熊、岩手の医大をでて帝大で勉強中に召集された医師菊地など、それぞれの登場人物の人となりが描かれ、いかに戦争が人の人生を踏みにじっていくかを感じさせます。
また、ソ連側の兵士の物語も入っており、敵味方なく、個々の兵士はみな戦争で一つの駒として扱われており、戦争が終わり家に戻ることを切望しています。
日本の軍隊の戦略が失敗し、最後のほうはもうぼろぼろの状態で戦争を続けたことがわかります。
占守島の歴史にも触れられており、昔はアイヌの人々が住んでいた平和な島だったそうです。
いろいろな話が盛り込まれており、読みごたえのある本でした。
戦争とは直接関係ないですが、この本で、はっとした文章は、
「自分が幸福を感じたとき、その幸福がいったい誰によって、何によってもたらされたかのかを、必ず考えなければならない。そうでなければ幸福を受けとめる資格がない」
です。幸せを感じても、誰によってそれがもたらされたかを考えたことはないなあと思いました。でもその都度考えて、感謝することは大切なことでしょう。
それにしても日本の現代史をよく知らないので、こういう本でもっと知りたいと思いました。
体調はOKです。



本「マンチュリアン・リポート」

2015-08-18 15:51:18 | Book
浅田次郎著「マンチュリアン・リポート」を読了。
中国が舞台の「蒼穹の昴」「中原の虹」「珍妃の井戸」などに続く作品。このシリーズをずっと読んできたので、登場人物に馴染みがあり、興味深く読めました。
張作霖爆殺事件がテーマなんですが、この昭和の歴史上の大事件、学校ではあまりちゃんと習ってなかったので、どういう経緯でどんな状況下での出来事だったのかまったく知りませんでした。この本では、史実にかなり忠実に、でも脚色もあり、物語として面白く描かれています。
浅田次郎の描く張作霖はとても魅力的な人物です。
このシリーズ、まだまだ続いてほしいです。こういう形で中国史をもっと知りたいなあと思います。
最近ちょっと怠け気味でブログの更新が滞っています。
体調はまあまあ良好です。


本「空想ラジオ」

2015-08-07 13:24:48 | Book
いとうせいこう著「空想ラジオ」を読了。
いとうせいこうの本はずいぶん昔に読んでいて、「ノーライフキング」や「解体屋列伝」が記憶に残っています。
その後、長らく彼の本とはご無沙汰でした。
この本は、死んだ人と生きている人の関係性について書かれています。生きている人は、死んだ人と心の中で対話をします。そのときに、死んだ人は生きている人の中で再び行きます。死んだ人を悼むということは、死んだ人と心の中で対話することなんじゃないかと思います。小さな子どもならともかく、ある程度の年齢の人なら、死者のことをあれこれ思い出さない人はいないでしょう。ふと心の中に死んだ誰かを思い出し、あのときはこうだった、こんなことしたら、彼/彼女ならこう言うだろうなとか、いろいろ考えます。そういう意味で、生きている人は死者と共に生きているのです。生きている人のみで生きているわけではないのです。
突然の死、その死をどう受け止めるのか、どう心の中で折り合いをつけるのか、わかりやすい語り言葉でこの小説は描かれています。
東日本大震災もそうですが、広島や長崎という、何万人単位の人々を一瞬のうちに奪われてしまうという体験を、この百年で何回も経験したのは日本ぐらいでしょう。
犠牲者となって亡くなってしまった人々、またその場でその出来事を体験した人々、そしてこれらの当事者が家族にいる人々、それぞれの心の中は本人でしかわかりえないのは当然のこととして、それらの人々の心の中を想像することは、僭越な行為なのか、それともそういう想像力こそが必要なのか。
いろいろと考えさせられる小説でした。
体調はいまひとつ。夏バテか…。でも大丈夫そうです。


本「弱いつながり 検索ワードを探す旅」

2015-07-03 09:02:15 | Book
東浩紀著「弱いつながり 検索ワードを探す旅」を読了。
同著者の「一般意志2.0」も読みましたが、この本はそれとは違って、すごく読みやすい。電子書籍で読んだのですが、全部で90ページ弱、もう終わりっていう感じでした。
紀伊國屋じんぶん大賞2015の受賞作品でもありますが、この読みやすさが受賞に貢献しているのかなあと思いました。
強いつながりより、偶然から起こる弱いつながりに注目していて、旅に出て自らを違う環境に置くことで偶然に目にする事柄や会う人が異なり、それを起点として新しい世界が広がる。
確かに、今の若い人たちは小中学校に友人ともFACEBOOKやLINEなどで、ずっとつながりができていて、その絆を強くするために日夜FACEBOOKやラインに明け暮れる。強いつながりを作って、どこかの村(グループ)の住人となり、そこに相応しいように振る舞い続けるよりも、弱いつながりに触発されながらいろいろな村を観光する旅人的視点を持ったほうがいいのではないかということです。
本の中で紹介されている「Hans Rosling's 200 Countries, 200 Years, 4 Minutes - The Joy of Stats - BBC Four」という世界がこの200年でどれだけ豊かになったというYOUTUBEのビデオを見ましたが、確かに、平均寿命と収入において、世界じゅうが向上しているのがわかります。しかし、寿命が伸びるということは人口爆発の問題があり、収入が増える一方で、先進国都市層とそれ以外の差の拡大、資本主義経済の行方などの問題もあり、一筋縄に豊かになったよかったというわけには行かないでしょう。
あと、人間にはルソー的な憐れみと「性」の欲望があるために、ときどき非合理的な行動をとり、だからこそ社会を作ることができると書かれています。「国民と国民は言葉を介してすれちがうことしかできないけれど、個人と個人は「憐れみ」で弱く繋がることができる。」ともあります。
いろいろと示唆に富む内容が入っており、読んで面白かったし良かったです。
体調は良好です。





本「藝人春秋」

2015-06-19 08:13:41 | Book
水道橋博士著「藝人春秋」を読了。
北野武、松本人志、甲本ヒロト、そのまんま東、稲川淳二、三又又三、湯浅卓など、芸人である著者だからこそ身近に見て知りえる姿をエッセイとして綴っています。
文章は練られていて、タレント本というよりは、本職のエッセイストが書いたようで、読みごたえがあります。
登場人物が私にとってはこれといって思い入れのない人ばかりなのであっさりと読めましたが、テレビなど外では見せぬ姿が描かれているので、好きなタレントの項がある場合はもっと楽しみに読めたと思います。
そのまんま東の二面性や、文庫版の追加項である有吉の独特な才能についてなど、面白かったです。
感想なので、泣いたというものもいくつも見られたのですが、私はそこまでのものはありませんでした。
こういう(お笑い)タレントの内部をみつめ、著者も芸人なのでその視線から鋭く描くものを書ける人はあまりいないと思うので、今後も書いてもらえると読者としてはうれしいとです。
体調は良好です。

本「王妃の館」

2015-05-31 08:10:59 | Book
浅田次郎著「王妃の館」を読了。
「蒼穹の昴」がよかったので浅田次郎の本をまた読みたいと思い購入しました。
が、思ったのとはちがって、どたばたコメディでした。舞台がパリで、パリの観光名所が出てきます。
ルイ14世時代にこの王妃の館には、貴婦人ディアナと男の子が住んでおり、実はディアナは太陽王たるルイ14世の愛した女性で男の子は息子であるという設定です。
この昔の話と、現在のツアーでこのホテルに泊まった客たちの話がうまく相乗効果をあげて、繰り広げられます。
話のうまさは、さすがです。
私の興味は、ルイ14世の人となりや当時の話の部分で、面白いなあと思いました。
史実を踏まえながら、創作部分がからみます。
前後2冊で長く、エンターテイメントとしてはいいんでしょうが、日本人ツアー客たちの話(こっちがメインですが)は私にとってはどうでもいい部分でした。
最近この本が原作の映画も公開されたようです。水谷豊が主演。ルイ14世やディアナなど西洋人であるべきキャストも日本人で、コメディ全開ですね。
体調は良好です。