試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

東京地下鉄5000系5234[63F] 冷房改造車 車体高嵩下試行 (動力ユニット搭載車:導電板角度修正施工) ※旧製品

2019-11-16 21:47:58 | 5号東西線,営団線
浮遊。

所有するマイクロエース製動力ユニット搭載車は2015年9月より本格的な整備を開始した。
以前の導入編成では動力ユニット搭載車を回着整備入場対象に加えていなかった。
後年酸化した導電板や純正グリスの劣化が明らかとなり回着整備項目に加えている。


東京地下鉄5000系5234 冷房改造車(63F:動力ユニット搭載車)。
※旧製品。

2015年5月に導入したマイクロエース製東京地下鉄5000系63F冷房改造車(5813)は動力ユニット整備を受けずに出場している。
動力ユニット未整備編成への遡及施工はリリース時期や出場順に関係無く順不同で行われた。
63Fの動力ユニット整備入場は初出場から約1年4箇月が過ぎた2016年9月まで遅れる。
但し中古製品で導入した旧製品だったため実際の経年は2009年1月を起点とする約7年8箇月に達していた。
動力ユニットの整備が現行方式でほぼ固まった時期は2017年3月頃である。
5234(63F:動力ユニット搭載車)が入場を迎えた時点ではまだ模索中であり高経年と試行錯誤の重なる整備となった。


入工中の5234。

加速度低下を感じていた5234用動力ユニットは導電板とFS-502動力台車の整備が施された。
経年の影響からかユニットカバーへ焼き潰し固定されているはずの導電板は外れていた。
ユニットカバー取付脚の引き延ばしは不可能でゴム系接着剤での接着により凌いでいる。
この方法は現在でも採用し続けており対処に問題は無かった。
しかしこの後が拙く導電板両端は製品仕様よりも大幅に角度を持ち上げる措置が施される。
集電効率を向上させる手段として思い付いたが車体高を上げるだけの副作用しか得られずに終わった。


そこそこの状態を維持していた5234用動力ユニット。

竣工直後より若干落ち着いたものの5234は未だに63Fの編成見附を崩す車両だった。
マイクロエース製交通営団・東京地下鉄5000系列は動力ユニット搭載車だけ全高が高くなる癖が残る。
これに導電板の整形が重なった5234は余計にその存在を主張するようになってしまった。
動力ユニット本体の整備結果は良好で現在でも加速度低下は再発していない。
課題は車体高を下げる一点に限られており導電板の再整形が決定した。
久々に完全分解した5234用動力ユニットだが思いの外良好な状態が保たれていた。


暫定的な角度修正を施した導電板端部(西船橋寄)。

初回整備入場当時の導電板は製造過程で付着したと思われる指紋が残る状態だった。
磨き出しは現在とは異なりラプロス#8000,3M製研磨フィルム,クリーナーの三者併用で行われる。
ある程度の酸化進行は免れないと思われた導電板だが再研磨を行わなくても十分通用する輝きを帯びていた。
ただラプロス#8000,3M製研磨フィルム,クリーナーは何れも既に使用を見合わせている。
特に3M製研磨フィルムは扱いが難しく細かな擦過痕を生み出す要因になった。
今のうちにラプロス#4000で修正を施し現在の動力ユニット整備施工車水準に揃える。
導電板両端は一度での修正が困難に思え暫定的に角度を緩めるだけとした。


初施工となったモーター軸受部への注油。

ユニットカバー裏面両側に設けられたリブ嵩を導電板角度修正の目安に定めた。
通常ならこれだけで車体高が下がってくれるが生憎導電板はユニットカバーに固定されている。
導電板とユニットカバーの緩衝猶予が殆ど失われているため十分な嵩下代を確保できないと思われた。
取り敢えず導電板の角度修正から離れ前回入場時に見送られた施工項目を追加施工する。
当時は無用なモーター軸受部への注油を避ける方針が貫かれていた。
今のところおかしな挙動は発生していないが注油に対する不安が払拭されている。
5234の経年を考慮すると今回が施工時期に相応しいと思えた。
相変わらずモーター軸受部は油脂付着が見られない綺麗な状態で清掃を行わずに注油を行っている。


一箇所だけ修正した側面窓セル窓サッシ印刷。

茶褐色の純正グリスで覆われていたFS-502動力台車も整備完了直後と殆ど変わっていない。
但し灰色成形品だけにギア類の清掃が十分ではなかったと判明した。
ギア谷には僅かに純正グリスが残っており歯ブラシとクリーナーで除去している。
スパイラルギアも同時に整備を施したためタミヤ製グリスを再投入した。
車体関連ではTOMIX製PG16形パンタグラフの点検と側面窓セル窓サッシ印刷補修を行った。
TOMIX製PG16形パンタグラフは取付孔を拡大せずに換装したが嵌合が緩い個体の出現で溶着固定となった。
元々の取り付けに余裕があったせいか車体断面から剥がれる気配は感じ取れず強度面での不安は無い。
一方側面窓セル窓サッシ印刷は回着同時に気付いた剥離箇所があり油性メタリックマーカーを塗布した。


反力が抑えられたFS-502動力台車(西船橋寄)。

なお側面窓セルを取り外さない窓サッシ印刷補修は今回が初施工となっている。
銀色印刷の剥離箇所は一箇所のみで幅も狭く分解する手間を省く作戦に出た。
今回は上手く措置を施せたが失敗する危険性も高く積極採用に踏み切るつもりは更々無い。
5234用動力ユニットを組み立ていよいよ車体高嵩下げへと着手する。
暫定措置に留めた導電板角度のまま一旦5902(63F:6号車)との全高差異を確認した。
この状態でも大幅な連結面見附改善に至ったがまだ車体裾の段差が気になった。
ユニットカバーと導電板には僅かながら空間が残されており全高調整を続行している。
段階的にこの隙間を詰めその都度5902との連結試験を繰り返した。




5902+5234 (63F:非動力車+動力ユニット搭載車)。
※暫定導電板角度修正施工。

ようやく5902と車体裾が揃い今度は5622(63F:8号車)を基準に同様の作業を行った。
5234用導電板に塗布したゴム系接着剤は中野寄の面積が広く微妙な調整が難しかった。
先に5622との連結試験を行うべきだったが西船橋寄と中野寄でゴム系接着剤の塗布面積が異なるとは思わなかった。
導電板の剥離はせっかく5902に揃えた西船橋寄の全高を狂わせる恐れがあり見送っている。
ここまで作業を進めたからには現状のまま中野寄の車体高だけを落としたい。
そこでユニットカバーと導電板の隙間へプラスチックドライバーを差し込み中野寄成形部だけを持ち上げた。
後は平形ピンセットで導電板の折り返し部を押し戻し5622との車体裾段差解消まで漕ぎ着けている。


5902+5234 (63F:非動力車+動力ユニット搭載車)。
※導電板角度修正施工完了。


交通営団5000系5919+5337 (78F:非動力車+動力ユニット搭載車)。

前途の通り63Fと同時期に生産されたマイクロエース製品は動力ユニット搭載車だけ車体高が上がる傾向が強かった。
そのためユニットカバー裏面のリブ嵩に揃えた導電板角度でも製品仕様には復帰していたと思う。
更に導電板を追加整形した事で5234の全高は非動力車と同一水準まで下げられた。
少なくとも交通営団・東京地下鉄5000系列は導電板に手を加えれば編成見附を改善出来ると思われる。
台車集電板への反力が大幅に低減された導電板だがFS-502動力台車が底を打つ感触は無い。
試験走行でも特に支障ない稼働を示し通電性能低下には繋がらないと予想している。




5234(車体高嵩下試行:導電板両端部角度修正施工)。

入場前に比べ車体裾とFS-502動力台車の間隔が狭まり如何に車体高嵩下代が大きかったか手に取れた。
最低地上高も縮小され竣工した5234(63F)は編成で目立つ存在ではなくなり編成見附向上に寄与すると思われる。
前回施されなかったモーター軸受部にも注油が成され性能維持を両立できた入場となった。
無用な導電板への細工は余計な全高増大を招いたが今施工で十分以上の答を導き出せた。
交通営団5000系61F非冷房車中期仕様(5811),78F非冷房車後期仕様(5828),83F冷房改造車(5833)等にも展開出来ると思う。
構造都合が絡むため全形式に通用する手法ではないものの5234の結果を反映させる予定である。
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