試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ103-341[ツヌ318F] 動力ユニット整備 (モーター軸受部,DT33動力台車注油施工:駆動音低減試行)

2019-04-10 22:48:50 | 国鉄/JR103系
規格化。

2社3種混結で構成する国鉄103系ツヌ318F(Tc107)は先頭に立つクハ103-107,クハ103-112だけがグリーンマックス製である。
モハ103-340以下6両のKATO製量産冷房車にはクハ103形高運転台ATC車中央線快速仕様(Tc315)を充当した。
またサハ103-753,サハ103-754はKATO製101系サハ103-40,サハ103-40(朱色1号)のサハ103形750番代編入車だった。


国鉄103系モハ103-341(ツヌ318F:動力ユニット搭載車)。

KATO製モハ103-340以下8両は中古製品にて導入を図った車両で回着前の状態は掴めていない。
当然ながらクハ103形低運転台量産冷房車中央線快速仕様(Tc231)を改番したツヌ324F-1(Tc217)よりも経年は高い。
何れも複数回の入場を経てツヌ318Fへ行き着いており現状確認を行う事にした。
ツヌ324F-1は前回入場で予定していたサハ103-768,サハ103-769の車体更新だけに留まらず車体改修まで進んでいる。
まだ低経年編成と考えいたツヌ324F-1だが側面窓セル窓サッシ印刷に大幅な劣化が見られた。
ツヌ318Fはクハ103-217(ツヌ324F-1)以下8両よりLOTが遡るため改修突入も止む無しと思われた。


入工中のモハ103-341

ところが蓋を開けてみると全車とも側面窓セル窓サッシ印刷は健在であった。
最も不安視された101系800番代LOT窓セル装着車のサハ103-753,サハ103-754にも劣化は伺えない。
車体内側への朱色1号塗料粉付着も殆ど生じておらず拍子抜けした。
ツヌ318Fの入場前から引っ掛っていた箇所はモハ103-341が発する駆動音だった。
回着以降不具合無しとの判断はモハ103-338(ツヌ324F-1)の動力ユニット整備で覆される。
起動加速度が落ちていたモハ103-338はモーター軸受,DT33動力台車への注油で症状改善に至った。
付帯効果は製品仕様だと思っていた駆動音の低下に結び付く。


モハ103-338での失策を教訓とした動力ユニット分解。

KATO製モハ103形用動力ユニットには甲高い音を奏でるモーターが少なからず存在する。
長らく個体差と決め付けていたが一部は低騒音化が図れるとの考えに辿り付いた。
モハ103-341が搭載する動力ユニットは快調そのものでモーター音だけ気になった。
果たしてモーター軸受部とDT33動力台車への注油でモーター音が変化するか試行する。
KATO製モハ103形動力ユニット搭載車はモハ103-338が入場するまで不具合事例が少なかった。
整備施工車はJR103系モハ103-540(ラシ325F:Tc461),モハ103-149(ラシ337Fb:Mc69)に限られている。
そのため動力ユニットの整備工程が確立されておらずモハ103-338では片っ端から分解した。


注油を施したモーター軸受部。

ところが構造は複雑ではなくユニットカバーとモーターの分離が不要な設計であった。
この結果を基にモハ103-341の動力ユニット整備へ取り掛かる。
床下機器部品を取り外した後にユニットカバーと台枠側面の嵌合を解く。
両端モーター軸受部の奥に見える嵌合爪を押し込むと台枠とユニットカバーが分離できる。
ただモーターは端子部がユニットカバーと接続しているだけで余り負荷を与えたくない。
途中からモーターの直接支持に切り替え極力原形を維持されるよう配慮した。
現状が把握出来ていた関係から単独駆動試験を省略してモーター軸受部に注油している。


単独駆動試験終了後直ちに嵌合させたユニットカバーと台枠。

油脂が全体へ行き渡るようモーター軸をゆっくりと手動で回転させた。
その後の単独駆動試験では淀みない回転と低騒音化が直ぐに確認されている。
なお導電板は一点の曇りも無く特別な措置を要さずクリーナー清掃すら行っていない。
ユニットカバー周りの施工項目は存在しなかったため先に台枠と嵌合させた。
モーター軸受への注油だけでも甲高い駆動音は解消されると思われた。
しかし両DT33動力台車底面から見えるギア類は完全に艶が失われている。
製品仕様より摺動抵抗が増している可能性が高くDT33動力台車への注油も決定した。


ロアフレームを撤去したDT33動力台車(2エンド側)。

2pcs式のDT33動力台車は台車集電板両脇に覗かせる嵌合爪を押し込み分離する。
この時2エンド側DT33動力台車枠のスパイラルギア付近から綿埃がこぼれ落ちた。
モハ103-341の甲高いモーター駆動音にはこの綿埃が関与していたかもしれない。
DT33動力台車構成品は全て分解し歯ブラシで各部の埃を払い落としている。
金属製スパイラルギアにはクリーナーを浸したクロスを用い真鍮色へ戻した。
ピボット軸受部の研磨を要したモハ103-338とは対照的に台車集電板は良好な状態であった。
走行距離の割にピボット軸受部は黒ずみ,埃巻き込みと言った経年劣化が見られない。
念のため全体をクリーナーで清掃を行ったが清掃前と殆ど変わらなかった。


状態が改善されたスパイラルギアと殆ど変わりない台車集電板(1エンド側)。

性能が低下していたモハ103-338のその後は順調な経過を見せている。
起動加速度の落ちた動力ユニットは先ず台車集電板ピボット軸受部を疑っても損しないだろう。
ロアフレーム側のギアは事前に発覚した油脂切れが目立つ程度で不具合は無い。
綿埃を巻き込んでいた2エンド側DT33動力台車だがギア軸へ絡まずに済んでいる。
奇跡的に走行抵抗とはならなかった模様でモーターの過負荷は心配ないと思う。
思いの外状態が良くロアフレーム周りは歯ブラシでの清掃が中心となった。


注油を終えたDT33動力台車(2エンド側)。

動軸ギアもロアフレームギアと同様でクリーナーは使用していない。
そして各部の清掃を終えたDT33動力台車の組み立てへと戻った。
比較的動力台車枠の硬度が高く井形に組んだ台車集電板へ車輪を挟み落とし込む。
一方ロアフレームの嵌合はあっさりしており手応えの薄い装着感に留まった。
問題ないと思われたが車輪を回転させギア同士の噛み合わせ具合にて再確認した。
最後にロアフレーム中央のギア口からユニクリーンオイルを投入する。
再び手動で3ギア全体に艶が出るまで車輪を廻しDT33動力台車の整備を終えた。


動力ユニット整備が完了したモハ103-341

早速組み上げた動力ユニットの駆動試験を行ったところモーターは甲高い音を発しなくなった。
直接的な原因は不明であるがモーター軸受及びDT33動力台車への注油の効果だと思う。
中中速域でも安定した駆動を示し入場前と変わらない動きを見せてくれた。
万が一に備え床下機器部品の取り付けを先送りしていたがその必要は無かった。
取り敢えずモハ103-341は低騒音化を果たし竣工させている。
この結果はたまたまかもしれず同様の現象を抱えるモハ103形動力ユニット搭載車で試行を続ける。
動力ユニット整備工程順も定まり次期入場車は短時間で竣工させられると思う。
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