樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

硫黄酸化物による樹木の立ち枯れ 1

2007-09-22 | 壊れかけてる森林
昨日のブログは 工場長から迫力があるとメールを頂き、奥矢作炭やき人さんからは気合が入っているとコメントを頂き…。
もう 少しクールダウンしないとね。毎日枯れていく山見てると ついついボルテージが上がってしまうの。すみません。

昨日は、「酸性雨」について書きましたが 実はpHだけで判断してはいけません。
例えば黄砂の砂はアルカリ性なので、酸性が中和されてpHの値は良いのですが その中に含まれる物質がなくなる訳ではありません。
又、「酸性雨」のpHが5だからといって土壌のpHが5になるという訳でもありません。

おさらいと予習
「酸性雨」には、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)などが含まれています。森林が枯れる原因は、いっぱいありますが 今回は硫黄酸化物(SOx)を中心に話をします。

「硫黄酸化物」
硫黄酸化物(いおうさんかぶつ、sulfur oxide)は硫黄の酸化物の総称。
 一酸化硫黄 (SO)、
 二酸化硫黄(亜硫酸ガス)(SO2)
 三酸化硫黄 (SO3) などが含まれる。
化学式から  SOx (ソックス)と略称される。

『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、国立環境研究所の調査で 日本で観測される硫黄酸化物(SOx)のうち49%が中国起源のものとされ、続いて日本21%、火山13%、朝鮮12%とされています。
石炭や石油などの硫黄が含まれている化石燃料を燃やした時に発生します。二酸化炭素は、元々空気中に存在しますが 硫黄酸化物は火山の爆発以外は、産業革命以前は空気中に存在しない物質です。


以下、「奥矢作炭やき人」さんから頂いた元東邦大学の大森禎子先生がシンポジウムで発表された文献から引用させて頂きます。先生は とても小柄でチャーミングな女性らしいです☆

1. 酸性物質の濃縮現象
三酸化硫黄(SO3)は、雲や霧(水H2O)に溶けると硫酸りゅうさん(H2SO2)になります。
化学にうとい私でも、これを聞いただけでギョとしてしまいます。
硫酸は、無色なので見えませんが揮発しないので「台所の換気扇の羽が煙とほこりで真っ黒になる」がごとく、風で樹木に塗り重ねられ、水分のみ蒸発し、たとえ空気中に含まれる量が少なくても時間の経過で 濃縮と蓄積が繰り返されて濃度が高くなります。
そして、雨が降って葉や幹をつたい土壌に浸透していきます。
雨と一緒に降ってくるだけではなかったのですねぇ。
雲や霧がかかりやすい高い山のpHの酸性度が高いというのが これで納得できました。

2.風による硫酸の移動と塗り重ね
硫酸は、風が吹いている限り、接触した樹木に塗り重ねる。南米大陸最南端のフェゴ島では汚染源が無くても年間200日 西からの強風が吹くので枯れて倒れた西側の斜面からの水は、近くの湧き水の170倍の硫酸イオンが検出されたそうだ。

近所の松枯れも、風の強くあたる尾根のところに多い。
そうか、松は海風などの風除けに植えられる木だもんね。
海岸線で しかも日本海側から枯れ出したのも これで納得。
名神の多賀サービスエリア近辺は、冬のゲリア吹雪地帯で有名だ。
たぶん、琵琶湖 日本海 そして 中国からの風が鈴鹿山脈にバンバンあたっているんだろうなー。
又 いつか紹介しようと思うが 鈴鹿のササ枯れも西側の方 つまり琵琶湖側が枯れているとあった。

3.樹木の表面積による硫酸の付着量の差
4.硫黄酸化物によって樹木が立ち枯れる理由

と これからが本題だけど 長いので次回にします。

うーん。でも 日曜はブログは書かないので 先が知りたい方の為に ズボラして先生の文章を そのままペーストしたものを 次のブログにUPする事にしょう。
  

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