樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

うれしいー。栗の木の土台

2007-08-27 | 建築と木材
今日、工場に行ったら なんと栗の木土台を発見した。
もうすぐ、上棟のある若いお施主さんの家の材料だ。
久しぶりだ。栗の土台を見るの…。
きれいでしょ。ずっと、前から私たちの地方では
土台に栗を使っていたの。


ちょいと横を見れば、梁材に込栓の穴がぁーーー。
地震と共存してきた、世界に誇れる日本の匠の技術だ。
その若いお施主さんは、二年以上前からプランにかかり
地元の木と伝統工法を選んでくれた。ウルウルする。



込栓というのは、とても小さな部材ですが
建物の形を調整したり、地震の時にはエネルギーを吸収分散して
持ち堪えられない力がかかった時には、自らが壊れる事で
梁や柱を守ります。
程度にもよりますが そうやって、建物が傾いても又小さな込栓を
新たに準備するだけで家の骨格が補修できるようにもなっているのです。
昔に学ぶ事は たくさんあります。







あー 久しぶりに建築の話が出来ました。
これも、育った年月以上 木を活かして
持続可能な森林環境を守り続くけていくのに
大切な事です。

あーでも気になるなぁ。
ナラ枯れと一緒に 栗の木もやられているらしい。

先生の卒業式

2007-08-25 | ひとり言
森林関係は 今日は休みます。
昨日届いた手紙について「ひとりごと」
私の最終学歴は 東京の桑沢デザイン研究所 である。
中学の時から憧れていたが、専門的な大学か関係する職業についてからでないと入学できないとか、専門学校なのに そこに入る為の予備校があると聞かされ 京都の美術系の短大でインテリアデザインをやってから、行く事になった。
結局、私が入学した時は そんなシステムはなくなっていたけど…。

が 思っていた通り とても実のある学校だった。
その時の担任の先生が退職されるというので 今年の5月 先生の卒業式をやろうと企画されて行ってきた。
その先生から 昨日届いた手紙が これ。

自分がどこにいるのか わからない。
昼間も夜間もあった専門学校だったので、誰が先生かわからない位年上の人もいて
その34年間の教え子たちが集まったのだから すごい人数。
もちろん、みんなが来ている訳ではないが これだけの人数が集まるというのは 先生の人柄なのだろう。

「何を教えてもらったのか具体的に覚えていないのよねー」と
話していたら、隣のグループでも 同じような事を言っていた。
ハハハッ。

が 仕事をしだして「あっ この事だ」と思う時がある。
デザインというと斬新だとか 変わってるとか 奇をてらうとかのイメージがあるが デザイン職人を育成するような学校だった。
今思うと 久しぶりに先生の話を聞いて 考え方の基礎を知らない間に刷り込まれていたんだなーと思った。

あまり 先生になつくタイプの人間ではないが
このブログにコメントを頂く 市川先生( 高校の担任)といい
この年になって 恩師のありがたさに気がついた私でした。

桑沢の市瀬先生は こんな方です
写真は、しっかり目に写ってますが テレテレ癒し系です。

桑沢は、こんな学校です。
これWikipedia なんだけど、はじめて知った事がいっぱい。
あの頃 インターネットがあれば 回り道しなくてもよかったかも…。

結局 今はインテリアデザイナーという肩書きはつけていない。
建築士は、国家資格なのでうそはつけないが( ちゃんと持ってますよ)
インテリアデザイナーは、名乗ればなれる。
が それだけにプロとして宣言するには、おそれ多い。

室内から見ていると 壁の中が気になって建築の勉強と現場に携わり
建築をすると柱が気になり、木材を調べ 木材を調べると森林が気になり
今は、土壌とか水とか空気とか そちらの方にきてしまった。
一番 苦手な化学式と今格闘している。

そんな訳で 炭焼き人さんから 頂いた 
「硫黄酸化物による樹木の立ち枯れと気候変化」の論文。
もう少し、自分の中で反芻してから 内容をUPします。
硫黄( イオウ)の「硫イ」と硫酸(りゅうさん)の「硫リュウ」が同じ漢字だと化学式の説明を読んで、初めて頭に入った。まだまだ たくさん出てくる化学式。先が思いやられる。
しかし、こんな私でも硫酸が怖いこと位は 知っている。それが森林環境と関係しているなんて…。ヴーーー。

人生とは どうなるかわからない
どんなものでも学んでおくというは大切だとしみじみ思い知っている。
理数系を避けて 美大に行ったのに・・・。

もう 間に合わないかもしれないけど やる。

2007-08-18 | 壊れかけてる森林
数日前のニュースで、大気汚染に強いはずの街路樹のポプラが外国の虫に食われて枯れている、被害は拡大していく模様…と 短い時間で伝えていた。
又 虫のせいで終わりにして 虫を殺す薬を樹木に与え、目に見える現象だけに後追いで対処していくのだろうと思うと、不安でいっぱいになっていた。

この夏は以前のブログにも書いたけど
症状に気がついた頃には手遅れだと言われ、何も対策がされないままの近くの山の松枯れ、ナラ枯れが毎日進行している様を見ている事しか出来なかった。

枯れる前は、子孫を残そうと大量に実をつける。その直後、体力を消耗してちょっとした気候の変化で バタバタッと枯れて行く。その後は制御不能になる。

最近 杉の木の様子がおかしい事に気がついた。
鹿が樹皮を食べた樹だけではない。
しかし 少なくとも私の周りでは騒がれていない。

日本の各地では、すでに枯れるものは枯れてしまい
なんとなく のど元を過ぎてしまった感じらしい。
知らなかった…。それで いいのだろうか。

なぜ 鹿が皮を剥き 樹液をすい 解毒に山椒を食べるのか。
そもそも 鹿は何を食べていたのだろうと検索すると
「ササ」だとわかった。また「ササ枯れ」で検索すると
見覚えのある風景の写真が目に入った。
8月1日のブログにUPした 鞍掛峠の三重県側の写真である。
 
「鈴鹿山系ササ枯れ調査委員会」が調査をして頂いているようだ。
びっくりした。
土壌pHは3.6
となり山である。しかも標高は高い。
こんな酸性では 枯れてしまって当然だろう。
鹿が食べたから ササがなくなったのではないと思う。
広葉樹を伐り、針葉樹をたくさん植えて 動物の餌になる
どんぐりがなくなったからだと書いてあるものもあるが
それも 違うと思う。 

何年も前から、杉は日本国中の人にSOSを発信していた。
これも、大量に植えられて手入れがされないことが原因で
間伐をしようと 言われているが これでいいのだろうか。
その他 虫のせいや 温暖化や自然遷移。
これで 片付けては やはりまずい。
誤診の上の治療ミスになりかねない。

でも「もう間に合わないかもしれない」
あまりに 山は広い。
炭を撒いてはどうかと思うが 行政に言っても
誰かが研究して 成果が出て 社会的コンセンサスが
得られてからでないと何も出来ないという。
又 症状がでなるか出ないかわからないものには
何も出来ないし、個人の山には難しいという。

症状が出てからでは 遅いとわかっていながら
何も出来ない無力感。
ぐったりしていたところに 左のリンクにある
「だいず先生の持続性学」のブログを読んで少し持ち直した。

樹の中や土の中、大気でおこっている人間の目には
見えない事にやはり目を向けないといけないと思った。

私は、専門家でも研究者でもない。
今から、研究しても間に合わない。
土壌の酸化を止めるのに炭を撒いてはどうかと思うが
松の場合も成果が現れるには数年かかるらしい。
成果が出ている松でさえ 業界ではアウトサイドである。

どなたか山林に炭を撒いて研究されている方をご存知なら
教えて頂きたい。
どんなデータがあれば、行政は動いて頂けるのでしょう。
・・・・・・・

秘湯の宿

2007-08-13 | ひとり言


美濃ICから1時間ほどの板取温泉に行ってきました。
旅館の入り口でパチリと撮りました。

アルカリ性のようで お肌がつるつるして
とても良いお湯です。

道はかなり細く山間の「秘湯」という感じがします。

最近は、景色の見方が変わり 樹の大きさや
枯れ具合、広葉樹と針葉樹の割合とかに目が行き
車の運転がとても危ないです。

長良川に合流する板取川沿いの山々は、計画的に
伐採・植林されているようで高さの違う木が
植わっていました。
「炭」という看板を発見しました。
昔から、炭の販売をしていたのでしょう。
そういえば、うちの近所のおじさんが 炭屋がガス屋に
なったと言ってたなぁ。
車が木で走っていた時代があって、国道沿いに
「薪あります」って看板がでていた事もあるそうです。
今の ガソリンスタンドですね。
まさに バイオマス!
しかも作るのに燃料はいらないし
近くの資源だから、アメリカやブラジルから入る
バイオマスガソリンより ずっと環境負荷が少ない。

あーしかし
そんな事を見たり考えたりしていると
バカンスになりませんねー。

なんでまた 山から山に旅行に行ってしまったんだろうと
ほんの少し 後悔しました。

でも 露天風呂は はずせないのよね。ヴーーー 

水源の森からのSOS

2007-08-09 | 壊れかけてる森林
今日、彦根市鳥居本あたりから 多賀町の霊山
大滝ダムの上流を見に行った。

望遠レンズがなくて とてもわかりにくいが
霊山の杉の木が一面 枯れている。真っ赤だ。


これは、鹿が木の皮を食べてしまうからだ。
話を聞くと、樹皮の下の樹液を吸っているとのことだ。
私は、思い違いをしていたかもしれない。
山に食べ物が無くなって、樹皮を食べる?
どう考えても、その辺りの草の方がおいしそうなのに
とは思っていたが もしかしたら 水かもしれない。
毒が入っている水より 一度 樹でろ過された水の方が
まずくても良い・・・という事はないのだろうか。


これは、鹿の食害にあった杉の木。
こうなってしまったら、後は枯れていくしかない。
木はこんなに立派に育ったているのに…。

「杉の木の涙」

皮がはがれた所から 樹液が流れていた。
一生懸命、補修しようと出しているのだけど
泣いているみたいだった。
大切に育ててこられた方の気持ちも同じだろう。

鹿だって 泣きたいかもしれない。
杉が枯れている山に数年前まで 山椒の葉を摘みに行っていた。
でも 今は 鹿が「毒消し」の為に山椒の木を
食べてしまうそうで 今は山椒の木も枯れている。

大滝の山に移動した。
なんと 鹿と遭遇。
ピョンピョンと逃げていったが
しばらく こちらの様子を伺っている。

植林した小さな芽の先を食べてしまうそうだ。
杉の木は生長が遅いながらになんとか大きくなるらしいが
桧は、育たない。

自然に生えている樹はあまり食べず
どうも 人の手が入ったものがお好みらしい。

帰りの車では、鹿の生ハムについてとか
山で戦争ごっこをしている若者たちを正式に採用して
猟師に仕立てる話や
ストレスがたまっている中高年の方が猟師に向いている
という動物愛護団体からは 非難がきそうな話をしていた。

ふと 男の最後の道楽は、狩りだといった遊び人の
おじ様のことを思い出した。

しかし あの鹿の目は 何か言いたそうだったよなー。

「もののけ姫」も 物語でなくなる日も近いかもしれない。

自然からの警告だと 真摯にうけとめなくては。

多賀大社 万灯祭

2007-08-03 | ひとり言
8月3日~5日
今日から 多賀大社の万灯祭です。

近江猿楽多賀座が5日に踊ります。
これが ほんとすごい。
小さな子たちも クルクルバックテンをしながら町を
踊り歩いたり、一見の価値ありです。
中国雑技団とヨサコイ祭を幽玄にした感じ。

http://www.biwako.ne.jp/~fujita/page042.html



多賀大社の歴史から、湖東地域の森林を見ると
とても面白い。木地師や忍者 山伏 薬売り 近江商人…
歴史の裏側が 存在する山である。

それについては 又 いつか こってりUPします。

気分転換に 花火

2007-08-02 | ひとり言


昨日は、彦根の花火でした。
毎年、ベランダから見えていたのに打ち上げる場所が
変更になって見えなくなってしまった。

長年 その日はわが家の年に一度のビックイベントで
友達や兄弟一家が わーっと集まりにぎやかだったが
去年からは、それも出来なくなった。

でも ふふふっ。ちょっと うれしい。
接待していると、なかなかゆっくり花火が見られない。
打ち上げる場所は変わったけど 近くなった。

大きな声では言えないが、静かにしていれば 
彦根プリンスホテルよりも絶景のポイントがある。
サングリアを作って、浴衣を着て 
優雅にこっそり楽しみました。

旅行に行った時にもらった浴衣なので年齢を無視した柄
だけど…。

まだまだ 濃い濃いブログネタがあるので
ちょっと 小休止してみました。

おおっ 台風はいかがかと見てみたら
台風5号「ウサギ」だって…
なにゆえの命名なのだろー。

とうとう 多賀にもナラ枯れが・・・

2007-08-01 | 壊れかけてる森林
多賀の里の方で、日に日に目についてきました。
とうとう 見慣れた景色にナラ枯れが・・・。

2007年7月末の景色です。茶色のところは紅葉ではありません。


手前は お多賀さんの鎮守の森。
バックは鈴鹿山脈。遠くから見ると いつもと変わらない景色です。


万灯祭の準備が 着々と整っています。
でも 近づくと 鎮守の森の樹もかなり弱っています。

気になったので 犬上川の源流近くまで行ってきました。
306号線 鞍掛峠のトンネルです。

このあたりは、大丈夫でした。


この水がびわ湖まで流れます。
( あっ ここは 太平洋側かも・・・)

でも車で3分も走らないところは もう松枯れがきていました。
それより この下写真は 杉が枯れています。
鹿の食害かなー。最近、山の鹿も良くないものを食べて
いるようで 山椒の木を毒消しに食べてしまうそうです。
数年前までは、いっぱい山椒も採れたのに・・・


大君ヶ畑は大丈夫だろうと勝手に思っていたが
かなり松枯れがひどい。そこからまだ高いところにある
「どどめき橋」のあたりもきている。
余談だが ずっと なぜか「ときめき橋」だと思っていた私は
漢字で書くと「百々女鬼橋」だと知りダブルショックで フラフラ。


すこぶるおいしいサントリーの国産ミズナラ材の樽で出来た
ウィスキー。ほんと残したい日本の文化だと思った。
幸い、樽用のミズナラは被害のない地域のようで良かったが
日本からミズナラが無くなったらどうしょうと
気になりだして、調べだしたら わが町の山が危ない事に
気がついた。
不安をあおっちゃいけないので なるべく冷静になろうと思うが
リスク管理も必要よねぇ。
松枯れ → ナラ枯れ → 杉枯れ こんな感じで
進んでいるように思えてならない。
すでに 杉の葉っぱの下の方が茶色くなっている樹を
見かけるようになってしまった。
これは、ダイレクトにわが事に影響する。
やっぱり 少し 吠えてもいいかなぁ・・・・・