樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

広葉樹は、植林なんてしちゃだめ !

2007-10-03 | 壊れかけてる森林
センセーショナルなタイトルでしょ。

先日、同じ日に二人に言われた(書かれた)。
一人は、父で 一人は 炭矢作さん。

私は たいして何も言ってはいないと思うし、私自身も実際に森林と接するようになって 広葉樹を植える事が「善」だと世の中が動いている事には疑問を感じはじめている。

同じ新聞でも 読んだのかなー。

まー とにかく 父も 炭をやいている。

言ってみれば、広葉樹と真剣に向き合い接している人たちだ。
広葉樹を伐って、更新させたり 大きくなりすぎた木がどんなだかを知っている人でもある。
今時の考えからすれば 一番 広葉樹が増えて喜ぶ立場の人でもある。
でも 二人とも 商売の事なんか二の次というタイプなので
己が為でないこともわかる。

100年先を考える。せめて 50年でもいいや
想像してみろと 言わんばかりの感じがしたなぁ。

これについては、みなさんも考えてみて下さい。
私も 勉強してみます。

長い先の事を考えているような 長伐期林という もう少し木が大きくなるまでそのままにしておきましょうという政策も 今の木の状態で ますます悪化する事を考えると よぉーく考えないとまずい気もする。

いやいや 実にショックだった。
杉の葉枯れを調べていたら 2005年に森林総研関西支所が九州で調査された資料をみつけた。
 

上の 葉枯れ つまり 悪い状態の杉の断面なんて ざらに見る。
去年は、玉伐りした丸太を800本近く チェックしてQRコード付のラベルを貼った。
ちょうど、何かの都合で少し早めに伐った丸太があったので写真を撮ってきた。
ほんと 枯れてないだけまし位なもので だめだめな杉の原因がてんこ盛りだ。



これで 樹齢40年以上ある。九州とは気候が違うので年輪の幅は少々違うだろうけど 明らかに成長が悪い。
スギカミキリの幼虫は、樹脂に巻き込まれたり 殺菌・抗菌作用のある成分で普通はほとんどが死んでしまうそうだ。

でも その樹脂を作るには多量の栄養資源を必要とする。
葉が少なくなり 光合成の量が少ないと幼虫の死亡率は低下するらしい。
もちろん土壌からの栄養や水分が必要なのはいうまでもない。
アルミが溶けたり、硫酸にさらされたりしたら 根や共生して栄養分をやり取りしている菌は、生きられない。

上から下から 災難このうえない状態なのよねぇ。

あーあ こんな話ばかり いやなんだけど 山の人って
男気がある人が多くて あまりしゃべらないのよね。
山の手入れがされてないから 悪いみたいな言い方されたりするれど
原因は 山の人にあるんじゃないという事も ちゃーんと伝えて行きたいと
思う次第です。

このブログは、私の資料づくりの為のネタ帖のようなものなので つまんなくて申しわけない事です。

早く すっきりさせて 次のステップに行きたいわん。


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8 コメント

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毎日コメントしてますが・・・ (炭矢作)
2007-10-03 01:28:43
こんばんわ炭矢作です(もう開き直った)
ホント、山に植林するのは、私たちの仕事じゃありません。それは、神の領域です。原生林へ行くたびに強くそれを思います。一本の大木が寿命尽きて倒れ、その空間に光と風が入り、たまたまその場所へ落ちたドングリから芽を出していた運のいい奴が生き延びます。その付近で一番生きる力の強い奴が生き延びます。その場所で生きることを許すかどうか、それを決めるのは母なる地球なんですね。
植林イベントをやると、都会の人を山奥に集めやすい(金が集まる)。みんな、いい事をしているような気持ちになれるから、わざわざ自分でやってくる。
でも、本質的に違う。一旦人間が植林した森は、人間がずっと手を入れ続けなければならない。植林してしまって、それが手入れされないから今の人工林問題になっているのに、また繰り返すのか?広葉樹だから、針葉樹だからじゃないと思う。理想なのは、混交林ですね。あらゆる植物が自生する森。自然のバランスの基に、生態系ピラミッドが構成されている環境。
そんな環境に戻すには、人工林を間伐して、後は母なる地球に任せるしかありあません。天然林や原生林が理想的だと言うのなら、植林なんてしちゃあいけない。山に広葉樹を植林するというのは、人間の思い上がりだと思います。
私たちを含め、動植物や微生物も地球に生かしてもらっています。

人工林を間伐して、30年待つ。結果を自分の目で見る事は無理。あきらめましょう。植林してる暇や金や労力があるなら、まず間伐。それが私の考えです。
訂正 (再び炭矢作)
2007-10-03 01:31:33
後は母なる地球に任せるしかありあません。



後は母なる地球に任せるしかありません。

に訂正します
もう少し書かせて (更に炭矢作)
2007-10-03 01:40:18
最後の杉の断面。このあたりじゃ「泥杉」って呼ぶ。
当然、価値は無い。
山の衆は、こっちでも寡黙です。手入れしていないんじゃなくて、したくてもできない。人工林を悪く言うのは簡単だけど、山の衆の苦悩もわかって欲しいですね。
もう一つ。
このブログ、充分面白いですよ
3つも… (樹子)
2007-10-03 09:55:18
三人もコメントが…と思ったら



奥矢作炭やきさん(^_^;)

熱くて 為になるメッセージありがとうございます☆

お言葉に甘えて、炭矢作さんで統一させて頂きます。m(_ _)m



間伐

そういう意味だったのですね。良くわかりました。納得



でも、今の間伐のイメージだと 広葉樹が生える場所はない感じですね。

広めの間伐か 小刻みな主伐か…



今後の持続可能な森林や社会を考えると、何十年後には メンテナンスなり 伐採なりが必要になってくるで よーく考えて 伐り方も育て方も 今 よーく考えないといけませんね。
炭矢作 パートフォー (炭矢作)
2007-10-03 10:30:53
そうです。間伐に二通りあって、一つは林業敵見地からの間伐。これは間引きですね。いい材を採るために、間引く。普通は必要最小限で行う。
次は、環境的見地からの間伐。これは大胆に行う。林分形状とか、相対幹距とかで間伐する度合いを決めて伐る。竹林なら大きめの傘をさして余裕で歩けるくらい。森林なら、思い切って、7割程度伐る。樹冠は大きく開きます。緑の穴と呼ばれる空間ですね。これがあれば日が射し、風が通る。いずれ鳥や風で種子が運ばれ、淘汰された結果生まれる命が宿るでしょう。
私たちができる事は、間伐し、それを片付け、固くて不毛となった土壌に炭を置き、大地が蘇ってくれるのを待つだけです。土壌が蘇れば、後は微生物と植物がやってくれます。植物が蘇れば、後は小動物や鳥がやってきます。小動物が蘇れば、後は食物連鎖が生まれ、生態系ピラミッドがキレイな三角形で構成されます。地球は、何億年もそうやって自らを浄化し、消費し、生み出し、循環させてきたんですね。
そんな環境をたった百年でここまで痛めつけてしまった私たちは、いったい・・・・・
百年の愚行のツケは、今後何倍かの時間で償っていかねばなりません。それが私たちの年代の仕事です。

何度もすみません (炭矢作)
2007-10-03 10:33:12
「林業敵」じゃないよね。「林業的」です。
あーびっくりした。
これは、覚えて置きたい。 (みぃにゃん)
2012-09-09 02:13:46
少し感銘を受けました。
某、生態学の泰斗の先生が、里山の概念も、そはやき要素も、一緒に考えて、千里が丘万博記念公園跡での成功を繰り返したがっていますが…。
あそこの管理と、インフラは、里山の薪炭林どころでは有りませんし、
この記事を、あたしのブログに転載したいぐらいです。
今、気がつきました (樹子)
2012-12-19 18:44:15
みぃにゃん 様
ごめんなさい。今 気がつきました。

あれから、5年もたったのかと、愕然と・・・。

この研究をされた先生とも、その後お会いしたり 実は 成長が悪い木という表現は、おかしかったと気がついたり・・・。今は、早く 大きくならない木の大切さが身にしみていたり という具合です。

間伐材も 間引きする悪い木ではなくて もう充分使える立派で上質な木に育っています。

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